連結会社間取引の消去
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第六 4「連結会社間取引の処理」。
0. どういう処理か
グループの中でやりとりした取引は、外部との取引ではありません。
そのまま合算すると、売上も債権も水増しされます。
消すものは 3 つです。
| 消すもの | 仕訳 |
|---|---|
| 売上と仕入 | 売上高 / 売上原価 |
| 債権と債務 | 買掛金 / 売掛金 |
| 利息の受払い | 受取利息 / 支払利息 |
貸借を逆にして相殺するだけなので、機械的です。
そして 1 つだけ注意が要ります。
債権を消したら、それに対する貸倒引当金も減らします。
グループ内の売掛金が消えるなら、その売掛金に積んでいた引当金も要りません。
貸倒引当金 / 貸倒引当金繰入
アップストリーム(子会社 → 親会社)の場合は、
子会社の利益が減るので、非支配株主にも負担させます。ここが試験でよく問われます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 売上と相殺するのは売上原価(仕入ではない。連結 P/L の科目名で書く)
- 債権を消したら貸倒引当金も減らす
- アップストリームの引当金修正は非支配株主にも按分する
1. 取引高と債権債務の相殺
根拠: 出題区分表 商-六-4
貸借を逆に書いて消すだけです。科目名だけ気をつけてください。
親会社が子会社に商品 ¥500,000 を売り上げた。連結修正仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売上高 500,000 | 売上原価 500,000 |
グループ内の取引なので両方消す。
借方は「売上」ではなく売上高、貸方は「仕入」ではなく売上原価(連結 P/L の科目名)。
連結会社間の売掛金 ¥200,000 と買掛金 ¥200,000 がある。連結修正仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金 200,000 | 売掛金 200,000 |
グループ内の貸し借りなので相殺して消す。
連結会社間の貸付金・借入金と、それに伴う受取利息・支払利息はどうするか?
すべて相殺消去する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 借入金 ××× | 貸付金 ××× |
| 受取利息 ××× | 支払利息 ××× |
未収・未払の利息があればそれも相殺する。
連結会社間の手形取引や、受取配当金はどうするか?
同じく相殺消去する
受取配当金は「子会社の配当の修正」として処理する(→ 開始仕訳と当期の処理)。
グループ内の取引はすべて消す、という一貫した原則。
2. 貸倒引当金の修正
根拠: 出題区分表 商-六-4
債権を消したら引当金も消す。 そしてアップストリームなら非支配株主にも按分します。
連結会社間の売掛金を消去したとき、貸倒引当金はどうするか?
その売掛金に対して設定していた分を減額する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 貸倒引当金 ××× | 貸倒引当金繰入 ××× |
消えた債権に引当金は要らない。費用も取り消す。
親会社の子会社に対する売掛金 ¥200,000 を消去した。貸倒引当金は 2% 設定している。修正仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 貸倒引当金 4,000 | 貸倒引当金繰入 4,000 |
¥200,000 × 2% = ¥4,000。
子会社の親会社に対する売掛金(アップストリーム)を消去した場合、貸倒引当金の修正で追加の処理はあるか?
ある。非支配株主にも按分する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 貸倒引当金 4,000 | 貸倒引当金繰入 4,000 |
| 非支配株主に帰属する当期純利益 800 | 非支配株主持分当期変動額 800 |
子会社の利益が増える修正なので、その 20%(持分割合)は非支配株主のもの。
なぜダウンストリームでは非支配株主への按分が要らないのか?
修正の対象が親会社の損益だから
親会社の利益に非支配株主は関係しない。
アップストリーム(子会社の損益を修正する場合)だけ按分する。
連結修正で「ダウンストリーム」「アップストリーム」とは何を指すか?
| 向き | |
|---|---|
| ダウンストリーム | 親会社 → 子会社(親が売る) |
| アップストリーム | 子会社 → 親会社(子が売る) |
川上(親)から川下(子)へ流れるのがダウンストリーム。
どちらの損益を修正するかで、非支配株主への按分の有無が変わる。