資本連結とのれん
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第六 1「資本連結」・2「非支配株主持分」・3「のれん」。
0. どういう処理か
親会社の貸借対照表には子会社株式があり、子会社の貸借対照表には純資産があります。
これは同じものを 2 回書いている状態です。単純合算すると二重計上になります。
そこで、投資(子会社株式)と資本(子会社の純資産)を相殺します。これが資本連結です。
相殺のとき、2 つのものが出てきます。
| 出てくるもの | 何か |
|---|---|
| 非支配株主持分 | 子会社の純資産のうち、親会社以外の株主のもの |
| のれん | 支払った金額と、取得した持分の差額 |
計算の順番は決まっています。
- 子会社の資産・負債を支配獲得日の時価に評価替えする(評価差額を純資産に加える)
- 子会社の純資産 ×(1 − 持株比率)= 非支配株主持分
- 子会社株式 −(子会社の純資産 × 持株比率)= のれん
1 を忘れないでください。 買収するときは時価で値段を決めているので、
子会社の帳簿価額のままでは、のれんが実態とずれます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 子会社の資産・負債は支配獲得日の時価に評価替えする(評価差額も純資産)
- 非支配株主持分は時価評価後の純資産に持分割合を掛ける
- のれんは20 年以内に定額法で償却する(負ののれんは償却しない)
1. 投資と資本の相殺
根拠: 出題区分表 商-六-1、商-六-2
評価替え → 非支配株主持分 → のれん、の順で必ず計算してください。
資本連結とは何か?
親会社の「子会社株式」と、子会社の「純資産」を相殺消去すること
同じものを 2 回計上している状態なので、片方を消す。
支配獲得日に、子会社の資産・負債はどう評価するか?
支配獲得日の時価に評価替えする(全面時価評価法)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 土地 ××× | 評価差額 ××× |
評価差額は子会社の純資産に加わるので、のれんと非支配株主持分の計算に影響する。
非支配株主持分とは何か?
子会社の純資産のうち、親会社以外の株主に帰属する部分
親会社が 80% 持っているなら、残りの 20% が非支配株主持分。
連結貸借対照表では純資産の部に載る(株主資本とは別区分)。
S 社の支配獲得日の純資産は資本金 ¥3,000,000、利益剰余金 ¥1,000,000、土地の評価差額 ¥500,000。P 社は 80% を ¥4,000,000 で取得した。のれんと非支配株主持分は?
- 純資産合計 = 3,000,000 + 1,000,000 + 500,000 = ¥4,500,000
- 非支配株主持分 = 4,500,000 × 20% = ¥900,000
- 親会社持分 = 4,500,000 × 80% = ¥3,600,000
- のれん = 4,000,000 − 3,600,000 = ¥400,000
上の資本連結の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 資本金 3,000,000 | S 社株式 4,000,000 |
| 利益剰余金 1,000,000 | 非支配株主持分 900,000 |
| 評価差額 500,000 | |
| のれん 400,000 |
子会社の純資産を全部消して、株式と非支配株主持分に置き換える。
差額がのれん。
親会社が 100% を取得した場合、非支配株主持分はどうなる?
生じない
子会社の純資産のすべてが親会社に帰属するため。
のれん = 取得原価 − 子会社の純資産(時価)。
2. のれんの償却
根拠: 出題区分表 商-六-3
合併のときと同じです。20 年以内に定額法で償却します。
連結で計上したのれんは、どう処理するか?
20 年以内に定額法などで償却する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| のれん償却 ××× | のれん ××× |
連結損益計算書では販売費及び一般管理費に載る。
のれん ¥400,000 を 10 年で償却する。当期(支配獲得から 1 年目)の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| のれん償却 40,000 | のれん 40,000 |
¥400,000 ÷ 10 年 = ¥40,000。
支配獲得が期中なら月割りする。
のれんの償却は、非支配株主にも負担させるか?
させない
のれんは親会社が支払った超過額から生じたもので、
非支配株主は関係しない。全額が親会社の負担。
取得原価が子会社の純資産の持分額を下回った場合は?
負ののれん発生益(特別利益)として、発生した期に一括計上する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 資本金など ××× | S 社株式 ××× |
| 非支配株主持分 ××× | |
| 負ののれん発生益 ××× |
償却しない。
連結貸借対照表で、のれんはどこに載る?
無形固定資産
親会社の個別貸借対照表には載らない(連結修正で初めて出てくる)。