資本剰余金と増資
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第四 2「資本剰余金」ア(資本準備金)・イ(その他資本剰余金※)。
0. どういう処理か
株主が払い込んだお金は、全額を資本金にしなくても構いません。
会社法では、払込金額のうち2 分の 1 を超えない額を資本金にしないことが認められています。
その資本金にしなかった部分が資本準備金(株式払込剰余金)です。
なぜ資本金にしないのか。 資本金は減らすのに株主総会の特別決議などが必要で、
手続きが重いからです。準備金にしておけば、あとで機動的に使えます。
資本剰余金は 2 つに分かれます。
| 中身 | |
|---|---|
| 資本準備金 | 払込金額のうち資本金にしなかった額、配当時の積立額 |
| その他資本剰余金 | 資本準備金を取り崩した額など |
どちらも「元手」なので、利益剰余金とは混ぜません。
増資の手続き
株式を発行するとき、申込みから払込みまでの間にお金を預かります。
この間は株式申込証拠金という一時的な勘定で受けます。
①申込み 別段預金 / 株式申込証拠金
②払込期日 株式申込証拠金 / 資本金・資本準備金
当座預金 / 別段預金
別段預金は、そのお金がまだ会社のものと確定していないことを示す預金です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 資本金にしないでよいのは払込金額の 2 分の 1 まで(それ以上は資本金)
- 払込期日までは株式申込証拠金(純資産の部に表示)
- 「原則」なら全額を資本金にする
1. 設立と増資の払込み
根拠: 出題区分表 商-四-2-ア
「原則は全額資本金」「容認は 2 分の 1 まで準備金」——この 2 択です。
株式を発行したとき、払込金額はいくらを資本金にするのが原則か?
全額
ただし会社法により、2 分の 1 を超えない額は資本金にしないことができる。
その部分は資本準備金になる。
株式 1,000 株を 1 株 ¥5,000 で発行し、全額の払込みを受けて当座預金とした。会社法の原則による仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 5,000,000 | 資本金 5,000,000 |
原則は全額を資本金にする。
上の払込みについて、「資本金には会社法が認める最低額を組み入れる」場合の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 5,000,000 | 資本金 2,500,000 |
| 資本準備金 2,500,000 |
2 分の 1 が資本金にしなくてよい上限なので、資本金は最低でも 2 分の 1。
株式申込証拠金はどんな勘定か?
純資産の部に表示する一時的な勘定
申込みから払込期日までの間、受け取ったお金を預かっている状態を示す。
払込期日に資本金・資本準備金へ振り替える。
株式の申込みを受け、証拠金 ¥5,000,000 を別段預金とした。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 別段預金 5,000,000 | 株式申込証拠金 5,000,000 |
別段預金は、まだ会社のものと確定していないお金を入れる預金。
払込期日が到来し、全額を資本金とするとともに別段預金を当座預金に預け替えた。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 株式申込証拠金 5,000,000 | 資本金 5,000,000 |
| 当座預金 5,000,000 | 別段預金 5,000,000 |
2 本セットで書く。片方だけだと預金が別段預金のまま残る。
株式の発行にかかった費用(株式交付費)はどう処理する?
支出時の費用(営業外費用)が原則。繰延資産として計上することもできる
繰延資産にした場合は3 年以内に定額法で償却する。
資本金から差し引かない。
2. その他資本剰余金
根拠: 出題区分表 商-四-2-イ
資本準備金を取り崩したときの受け皿です。利益剰余金と混ぜないのが要点です。
その他資本剰余金はどんなときに生じるか?
資本準備金を取り崩したときなど
株主総会の決議で資本準備金を減らすと、その他資本剰余金になる。
(自己株式の処分差益なども入るが、それは 1 級。)
資本準備金 ¥1,000,000 を取り崩し、その他資本剰余金とした。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 資本準備金 1,000,000 | その他資本剰余金 1,000,000 |
純資産の中での振替なので、資産・負債は動かない。総額も変わらない。
その他資本剰余金を財源として配当した場合、積み立てるのはどの準備金?
資本準備金
財源が資本なら資本準備金、利益なら利益準備金。
「元手と儲けを混ぜない」原則がここにも効いている。
その他資本剰余金と繰越利益剰余金の違いは?
| 出どころ | |
|---|---|
| その他資本剰余金 | 株主が払い込んだお金(元手) |
| 繰越利益剰余金 | 会社が稼いだお金(儲け) |
どちらも配当できるが、混ぜて表示しない。