財務諸表の区分表示
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第三 9「損益計算書と貸借対照表の作成(報告式)※」・
第三 10「財務諸表の区分表示」、第一 1「基礎概念」ア(純資産と資本の関係)。
0. どういう処理か
3 級では勘定式(左右に並べる形)でしたが、2 級では報告式(上から下へ並べる形)を扱います。
そして、区分ごとに何が入るかが決まっています。
損益計算書(報告式)
| 段 | 出てくる利益 | 意味 |
|---|---|---|
| 売上高 − 売上原価 | 売上総利益 | 商品を売って得た粗利 |
| − 販売費及び一般管理費 | 営業利益 | 本業で稼いだ利益 |
| ± 営業外収益・営業外費用 | 経常利益 | 毎期繰り返す活動の利益 |
| ± 特別利益・特別損失 | 税引前当期純利益 | 臨時のものを含めた利益 |
| − 法人税等 ± 法人税等調整額 | 当期純利益 | 最終的な利益 |
どの区分に入れるかは「本業か/毎期繰り返すか」で決まります。
- 本業に関係する → 販売費及び一般管理費
- 本業ではないが毎期ある(利息・配当・為替差損益)→ 営業外
- 臨時・異常(固定資産売却損益・火災損失)→ 特別
貸借対照表の資産・負債
流動と固定の分け方には 2 つの基準があります。
| 基準 | 内容 | 優先 |
|---|---|---|
| 正常営業循環基準 | 本業のサイクルに入るものは無条件で流動 | こちらが先 |
| 1 年基準 | 決算日の翌日から 1 年以内かどうか | 循環基準で決まらないものに適用 |
売掛金・買掛金・商品は、回収が 1 年を超えても流動です(正常営業循環基準)。
貸付金・借入金は1 年基準で分かれます。
純資産の部
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 株主資本 | 資本金、資本剰余金、利益剰余金 |
| 評価・換算等差額等 | その他有価証券評価差額金 |
「資本」と「純資産」は同じではありません。
純資産のうち株主のものが株主資本で、評価差額金はまだ実現していないので別区分です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 売掛金・商品は1 年を超えても流動(正常営業循環基準が優先)
- その他有価証券評価差額金は株主資本ではない
- 貸倒引当金は資産から控除する形で表示する
1. 損益計算書の区分
根拠: 出題区分表 商-三-9、商-三-10
「本業か/毎期繰り返すか」の 2 問で区分が決まります。
営業利益はどう求める?
売上総利益 − 販売費及び一般管理費
本業で稼いだ利益。
給料・広告宣伝費・減価償却費・貸倒引当金繰入(営業債権分)・のれん償却などが引かれる。
経常利益はどう求める?
営業利益 + 営業外収益 − 営業外費用
営業外には受取利息・受取配当金・有価証券利息・有価証券売却益・為替差益(収益側)、
支払利息・手形売却損・有価証券評価損・為替差損(費用側)などが入る。
特別利益・特別損失に入るものは?
臨時・異常なもの
固定資産売却益/売却損、火災損失、災害損失、負ののれん発生益など。
毎期繰り返さないのが判定基準。
貸倒引当金繰入は、損益計算書のどの区分に載るか?
債権の性質による
| 債権 | 区分 |
|---|---|
| 売掛金など営業債権 | 販売費及び一般管理費 |
| 貸付金など営業外債権 | 営業外費用 |
同じ勘定名でも区分が変わる。
「報告式」の損益計算書とは?
上から下へ順に並べ、途中で 5 つの利益を示す形式
3 級で扱った勘定式(左に費用、右に収益)と違い、
売上総利益 → 営業利益 → 経常利益 → 税引前当期純利益 → 当期純利益 が段階的に出る。
2. 貸借対照表の区分
根拠: 出題区分表 商-三-10
正常営業循環基準が 1 年基準より優先。これが最大のポイントです。
流動・固定を分ける 2 つの基準と、その優先順位は?
- 正常営業循環基準(本業のサイクルに入るものは無条件で流動)
- 1 年基準(決算日の翌日から 1 年以内かどうか)
正常営業循環基準が優先。それで決まらないものに 1 年基準を使う。
回収が 2 年後になる売掛金は、流動資産か固定資産か?
流動資産
営業のサイクルから生じた債権なので、正常営業循環基準で無条件に流動。
1 年基準を適用しない。
返済が 2 年後の貸付金は、流動資産か固定資産か?
固定資産(投資その他の資産の「長期貸付金」)
営業のサイクルとは無関係なので 1 年基準で判定する。
貸倒引当金は貸借対照表にどう表示する?
該当する債権から控除する形で示す
売掛金 500,000 / 貸倒引当金 △10,000 / 490,000 のように、
純額が分かる形にする。負債の側には載せない。
繰越商品は貸借対照表で何という名前になるか?
商品
勘定名と表示名が違う代表例。ほかに
売買目的有価証券 → 有価証券、その他有価証券 → 投資有価証券、
子会社株式・関連会社株式 → 関係会社株式。
3. 純資産の部
根拠: 出題区分表 商-一-1-ア、商-三-10
「純資産 = 株主資本」ではありません。 ここが 2 級で新しく入る考え方です。
純資産と株主資本の関係は?
純資産のうち、株主に帰属する部分が株主資本
純資産 = 株主資本 + 評価・換算等差額等(2 級ではその他有価証券評価差額金)。
「純資産 = 資本」ではない。
株主資本はどう区分されるか?
| 区分 | 中身 |
|---|---|
| 資本金 | |
| 資本剰余金 | 資本準備金、その他資本剰余金 |
| 利益剰余金 | 利益準備金、その他利益剰余金(任意積立金・繰越利益剰余金) |
元手(資本)と儲け(利益)を混ぜないのが基本の考え方。
その他有価証券評価差額金は、純資産のどこに載るか?
評価・換算等差額等(株主資本とは別の区分)
まだ売っていない含み損益なので、株主が稼いだ利益とは区別する。
利益剰余金に混ぜない。
資本剰余金と利益剰余金を分ける理由は?
元手(株主が払い込んだお金)と、儲け(会社が稼いだお金)は性質が違うから
配当できる範囲や、資本金への組入れの扱いが変わる。
混ぜてしまうと、株主が払い込んだお金を利益として配当しかねない。