決算整理の全体像
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第三 3「決算整理」、第一 4「帳簿」イ(記帳内容の集計・把握)。
0. どういう処理か
決算整理はバラバラの作業に見えて、順番が決まっているものがあります。
そこを外すと、あとの計算がずれます。
先にやらないといけないもの
| 順番 | やること | なぜ先か |
|---|---|---|
| 1 | 現金過不足・仮払金・仮受金の整理 | 相手が売掛金なら、貸倒引当金の計算に影響する |
| 2 | 当座借越の振替 | 負債への振替 |
| 3 | 売上原価の算定 | 棚卸減耗損・商品評価損の前提 |
| 4 | 棚卸減耗損・商品評価損 | 売上原価の算定後 |
| 5 | 貸倒引当金の設定 | 売掛金の額が確定してから |
| 6 | 有価証券の評価 | — |
| 7 | 減価償却・無形固定資産の償却 | — |
| 8 | 経過勘定(前払・前受・未払・未収) | — |
| 9 | その他の引当金 | — |
| 10 | 法人税等 | 税引前当期純利益が出てから |
| 11 | 税効果会計 | 差異が全部出そろってから |
10 と 11 は必ず最後です。利益が決まらないと計算できません。
そして 2 級で増える決算整理は次のとおりです(区分表の第三 3 に列挙されています)。
- 棚卸減耗、商品の評価替
- 引当金の処理(貸倒以外の 4 つ)
- 無形固定資産の償却
- 有価証券の評価替(売買目的・満期保有目的・その他有価証券)
- 繰延税金資産・負債の計上
- 外貨建売上債権・仕入債務の換算
- 製造業を営む会社の決算処理
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 仮払金・仮受金の整理が先(売掛金が動くと引当金がずれる)
- 法人税等は税引前当期純利益が確定してから
- 製造業の会社は売上原価でなく「製品」で計算する
1. 決算の手順
根拠: 出題区分表 商-三-3
順番が意味を持つものだけを覚えれば足ります。
決算整理で、貸倒引当金の設定より先にやるべきことは?
仮受金・仮払金の整理と、売掛金・買掛金に関する未処理事項
売掛金の残高が動くと引当金の計算が変わる。
「仮受金は売掛金の回収だった」という指示は必ず先に処理する。
決算整理で、棚卸減耗損・商品評価損より先にやることは?
売上原価の算定(仕入 / 繰越商品、繰越商品 / 仕入)
期末商品の振替に帳簿棚卸高を使ってから、
そこから減耗損・評価損を落とす。順番が逆だと二重に減る。
法人税等の計上はいつやるか?
すべての決算整理が終わり、税引前当期純利益が確定してから
利益に税率を掛けるので、利益が決まらないと計算できない。
第 3 問では最後に置かれる。
決算整理前残高試算表に「仮受金 ¥50,000」があり、「売掛金の回収額であることが判明した」とある。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仮受金 50,000 | 売掛金 50,000 |
これを先にやらないと、貸倒引当金の計算に使う売掛金の額が ¥50,000 過大になる。
当座預金が貸方残高になっている場合、決算でどうするか?
当座借越(または短期借入金)として負債に振り替える
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 当座預金 ××× | 当座借越 ××× |
資産のマイナスのまま貸借対照表に載せない。
製造業を営む会社の決算整理で、商品売買業と違う点は?
「仕入」ではなく「製品」で売上原価を計算する
期首製品棚卸高 + 当期製品製造原価 − 期末製品棚卸高 = 売上原価。
仕掛品・材料も棚卸資産として貸借対照表に載る。
2. 帳簿と補助簿の集計
根拠: 出題区分表 商-一-4-イ
決算の出発点は試算表です。その内訳を持つのが補助簿です。
決算整理前残高試算表は何のために作るか?
総勘定元帳の各勘定の残高を一覧にし、貸借が一致することを確かめるため
ここから決算整理を始める。
第 3 問では、この試算表と決算整理事項が与えられる。
補助簿は決算でどう使うか?
総勘定元帳の残高の内訳を確かめ、必要な決算整理を洗い出すために使う
売掛金元帳なら得意先ごとの残高(個別評価する債権の特定)、
商品有高帳なら帳簿棚卸数量、固定資産台帳なら償却計算の基礎。
固定資産台帳から決算整理で読み取るのは何か?
取得日・取得原価・耐用年数・償却方法・期首の減価償却累計額
期中に取得した資産は月割りが必要なので、取得日を必ず確認する。
補助簿の記帳内容を集計・把握することの意味は?
総勘定元帳だけでは分からない情報を、決算の判断に使えるようにすること
たとえば「A 社に対する売掛金だけ回収不能のおそれが高い」という個別評価は、
売掛金元帳を見なければできない。