為替予約の振当処理
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 16「外貨建取引※」ア(為替予約の振当処理を含むものの、
2 級では為替予約差額は期間配分をしない)。
0. どういう処理か
為替レートが動くと損益が振れます。それを避けるために、
あらかじめ銀行と「この日にこのレートで交換する」と約束しておくのが為替予約です。
予約したレートを先物為替相場(FR)といいます。
予約をすると、将来のレートが確定するので、それ以降の為替差損益は出ません。
帳簿の金額を予約レートで固定してしまう処理を振当処理といいます。
2 級で大事なのは、いつ予約したかで処理が変わることです。
| 予約のタイミング | 処理 |
|---|---|
| 取引と同時に予約 | 最初から予約レートで記帳する(為替差損益は出ない) |
| 取引の後で予約 | 記帳済みの金額を予約レートに直す(差額を為替差損益にする) |
そして区分表に明記があります。2 級では為替予約差額の期間配分をしません。
つまり、取引後に予約した場合の差額は全額を当期の為替差損益にします。
(直物為替相場の変動分と金利分に分けて、後者を期間配分するのは 1 級です。)
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 取引と同時の予約なら、最初から FR で記帳(差損益ゼロ)
- 取引後の予約なら、差額を全額その期の為替差損益にする(期間配分しない)
- 予約後は決算日にも換算し直さない(レートが固定されているため)
1. 取引と同時に予約した場合
根拠: 出題区分表 商-二-16-ア
最初から予約レートで書くだけです。為替差損益は一切出ません。
為替予約とは何か?
将来の一定の日に、あらかじめ決めたレートで外貨を売買する契約
そのレートを先物為替相場(FR)という。
レート変動のリスクを消すために行う。
振当処理とは?
外貨建ての債権債務を、予約した先物為替相場で換算して固定する処理
以後、直物レートがどう動いても帳簿の金額は変わらない。
商品 1,000 ドルを掛けで仕入れると同時に、決済日の為替予約(FR @¥142)を付した。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 142,000 | 買掛金 142,000 |
最初から予約レートで記帳する。直物レートは使わない。
取引と同時に予約した場合、決算日に換算し直すか?
しない
すでにレートが固定されているので、決算日の直物レートは関係ない。
為替差損益も出ない。
上の買掛金 1,000 ドルを、予約どおり決済した。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金 142,000 | 当座預金 142,000 |
予約レートで払うので差額は出ない。これが為替予約の目的そのもの。
2. 取引の後で予約した場合
根拠: 出題区分表 商-二-16-ア
記帳済みの金額を予約レートに直し、差額を為替差損益にする。
2 級ではその差額を期間配分しません。
すでに計上してある買掛金に、後から為替予約を付した場合の処理は?
帳簿の金額を予約レート(FR)に換算し直し、差額を為替差損益にする
以後は金額が固定されるので、決算日にも換算しない。
1 ドル ¥140 のときに 1,000 ドルを掛けで仕入れた。その後、FR @¥144 で為替予約を付した。予約時の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 為替差損益 4,000 | 買掛金 4,000 |
帳簿 ¥140,000 → ¥144,000 に直す。
負債が増えるので為替差損。
上の差額 ¥4,000 は、決算をまたぐ場合に期間配分するか?
しない(2 級では期間配分しない)
区分表に「2 級では為替予約差額は期間配分をしない」と明記されている。
全額を予約した期の為替差損益にする。
(直先差額を金利分と直物変動分に分けて配分するのは 1 級。)
為替予約を付した後の決算日には、どんな処理が必要か?
何もしない
予約レートで固定されているので、決算日の直物レートで換算し直さない。
売掛金に為替予約を付した場合、差額の符号はどうなるか?
予約レートが記帳時より高ければ為替差益、低ければ為替差損
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売掛金 ××× | 為替差損益 ××× |
資産が増えるなら差益。買掛金とは逆になる。
為替予約の目的を一言でいうと?
将来の為替レートを確定させ、為替変動による損益をなくすこと
「儲けるため」ではなく「ぶれをなくすため」。
だから予約後は為替差損益が出なくなる。