税効果会計
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 20「税効果会計※」。
0. どういう処理か
2 級で最も抽象的な論点ですが、目的は 1 つです。
利益と税金が対応するように、法人税等を調整する。
たとえば貸倒引当金を ¥100,000 繰り入れたのに、税法では ¥60,000 しか認められない場合。
差額 ¥40,000 は課税所得に加算され、その分だけ税金を多く払います。
ですが、その貸倒れが実際に起きれば、そのときは税法も認めてくれます。
つまりいま多く払った税金は、将来取り戻せる。前払いしているのと同じです。
そこで、前払いした税金を資産に計上します。
繰延税金資産(資産) / 法人税等調整額(法人税等のマイナス)
繰延税金資産は「将来の税金の前払い」です。逆に、いま税金が少なくて
将来多く払うことになるなら繰延税金負債(未払い)です。
一時差異と永久差異
税効果会計の対象になるのは「一時差異」だけです。
| 内容 | 税効果 | |
|---|---|---|
| 一時差異 | いまはずれているが、いずれ解消する | 対象になる |
| 永久差異 | 永久に解消しない(交際費の損金不算入など) | 対象にならない |
交際費は将来も損金になりません。取り戻せないので前払いではないのです。
2 級で対象になるのは 3 つだけ
区分表に明記されています。
- 引当金(繰入限度超過額)
- 減価償却(償却限度超過額)
- その他有価証券(評価差額)
繰延税金資産の回収可能性の検討は 2 級では除外されています。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 対象は一時差異だけ(永久差異は対象外)
- 繰延税金資産は資産、法人税等調整額は法人税等の調整(貸方なら税金が減る)
- その他有価証券の税効果は、評価差額金を税引後にする(損益を通さない)
1. 一時差異と繰延税金資産
根拠: 出題区分表 商-二-20
「いずれ解消するか」——これだけで対象かどうかが決まります。
税効果会計の目的は?
会計上の利益と法人税等を対応させること
会計と税法のずれで税金だけが多く(少なく)なると、
税引後当期純利益が実態を表さなくなる。それを調整する。
一時差異と永久差異の違いは?
| 内容 | 税効果会計の対象 | |
|---|---|---|
| 一時差異 | いずれ解消する(引当金・減価償却など) | 対象 |
| 永久差異 | 永久に解消しない(交際費の損金不算入など) | 対象外 |
将来取り戻せるかどうかが分かれ目。
繰延税金資産とは何か?
将来の税金の前払い(将来、税金が減る効果)
会計上の費用が税法で認められず、いま多く税金を払ったとき、
その分を資産として計上する。
貸倒引当金繰入 ¥100,000 のうち ¥40,000 が損金不算入。法定実効税率 30%。税効果の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰延税金資産 12,000 | 法人税等調整額 12,000 |
¥40,000 × 30% = ¥12,000。
差異の額そのものではなく、税率を掛けた額を計上する。
法人税等調整額が貸方に出ると、損益計算書ではどうなる?
法人税等が減額される(=当期純利益が増える)
| 損益計算書 | |
|---|---|
| 税引前当期純利益 | ××× |
| 法人税、住民税及び事業税 | ××× |
| 法人税等調整額 | △××× ← 貸方なら控除 |
| 当期純利益 | ××× |
翌期に差異が解消した(貸倒れが実際に発生した)ときの仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 法人税等調整額 12,000 | 繰延税金資産 12,000 |
設定時の逆仕訳。前払いしていた税金を取り戻した形になる。
繰延税金負債はどんなときに生じるか?
いま税金が少なく、将来多く払うことになるとき
会計上の収益が税法上まだ益金にならない場合など。
2 級ではその他有価証券の評価差益で出てくる。
2. 減価償却の限度超過額
根拠: 出題区分表 商-二-20
引当金とまったく同じ形です。認められなかった分に税率を掛けるだけです。
会計上の減価償却費 ¥300,000、税法上の限度額 ¥250,000。実効税率 30%。税効果の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰延税金資産 15,000 | 法人税等調整額 15,000 |
超過額 ¥50,000 × 30% = ¥15,000。
減価償却の限度超過額が一時差異になるのはなぜか?
耐用年数が終われば、償却総額は会計も税法も同じになるから
会計のほうが早く償却しているだけで、いずれ追いつく。
だから一時差異。
3. その他有価証券の税効果
根拠: 出題区分表 商-二-20、商-三-7
ここだけ形が違います。 相手勘定が法人税等調整額ではありません。
その他有価証券の評価差額に税効果を適用するとき、相手勘定は何か?
その他有価証券評価差額金(法人税等調整額ではない)
評価差額はもともと損益を通さず純資産に直接入れるので、
その税効果も損益を通さない。
その他有価証券(取得原価 ¥500,000)の期末時価が ¥540,000。実効税率 30%。決算の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| その他有価証券 40,000 | 繰延税金負債 12,000 |
| その他有価証券評価差額金 28,000 |
評価差益 ¥40,000 のうち 30%(¥12,000)は将来の税金なので繰延税金負債。
評価差額金は税引後の ¥28,000 になる。
その他有価証券の期末時価が取得原価を下回った場合、税効果はどうなる?
繰延税金資産が計上される
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 繰延税金資産 12,000 | その他有価証券 40,000 |
| その他有価証券評価差額金 28,000 |
評価差損なので将来の税金が減る=前払い。
繰延税金資産・繰延税金負債は貸借対照表のどこに載る?
| 区分 | |
|---|---|
| 繰延税金資産 | 投資その他の資産(固定資産) |
| 繰延税金負債 | 固定負債 |
流動には載せない。
2 級で税効果会計の対象になる 3 つは?
引当金・減価償却・その他有価証券(に係る一時差異)
区分表に「2 級ではこれらに限る」と明記されている。
また繰延税金資産の回収可能性の検討は除外されている。