みならいノート

簿記 2 級 2027年度版

税効果会計

みならいノートで覚える(無料)

このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

出題区分表 商業簿記 第二 20「税効果会計※」。

0. どういう処理か

2 級で最も抽象的な論点ですが、目的は 1 つです。

利益と税金が対応するように、法人税等を調整する。

たとえば貸倒引当金を ¥100,000 繰り入れたのに、税法では ¥60,000 しか認められない場合。
差額 ¥40,000 は課税所得に加算され、その分だけ税金を多く払います。

ですが、その貸倒れが実際に起きれば、そのときは税法も認めてくれます。
つまりいま多く払った税金は、将来取り戻せる。前払いしているのと同じです。

そこで、前払いした税金を資産に計上します。

繰延税金資産(資産) / 法人税等調整額(法人税等のマイナス)

繰延税金資産は「将来の税金の前払い」です。逆に、いま税金が少なくて
将来多く払うことになるなら繰延税金負債(未払い)です。

一時差異と永久差異

税効果会計の対象になるのは「一時差異」だけです。

内容 税効果
一時差異 いまはずれているが、いずれ解消する 対象になる
永久差異 永久に解消しない(交際費の損金不算入など) 対象にならない

交際費は将来も損金になりません。取り戻せないので前払いではないのです。

2 級で対象になるのは 3 つだけ

区分表に明記されています。

  1. 引当金(繰入限度超過額)
  2. 減価償却(償却限度超過額)
  3. その他有価証券(評価差額)

繰延税金資産の回収可能性の検討は 2 級では除外されています。

引っかけの分かれ目は次の 3 つ。

1. 一時差異と繰延税金資産

根拠: 出題区分表 商-二-20

「いずれ解消するか」——これだけで対象かどうかが決まります。

税効果会計の目的は?

会計上の利益と法人税等を対応させること

会計と税法のずれで税金だけが多く(少なく)なると、
税引後当期純利益が実態を表さなくなる。それを調整する。

一時差異と永久差異の違いは?

内容 税効果会計の対象
一時差異 いずれ解消する(引当金・減価償却など) 対象
永久差異 永久に解消しない(交際費の損金不算入など) 対象外

将来取り戻せるかどうかが分かれ目。

繰延税金資産とは何か?

将来の税金の前払い(将来、税金が減る効果)

会計上の費用が税法で認められず、いま多く税金を払ったとき、
その分を資産として計上する。

貸倒引当金繰入 ¥100,000 のうち ¥40,000 が損金不算入。法定実効税率 30%。税効果の仕訳は?

借方 貸方
繰延税金資産 12,000 法人税等調整額 12,000

¥40,000 × 30% = ¥12,000。
差異の額そのものではなく、税率を掛けた額を計上する。

法人税等調整額が貸方に出ると、損益計算書ではどうなる?

法人税等が減額される(=当期純利益が増える)

損益計算書
税引前当期純利益 ×××
法人税、住民税及び事業税 ×××
法人税等調整額 △××× ← 貸方なら控除
当期純利益 ×××

翌期に差異が解消した(貸倒れが実際に発生した)ときの仕訳は?

借方 貸方
法人税等調整額 12,000 繰延税金資産 12,000

設定時の逆仕訳。前払いしていた税金を取り戻した形になる。

繰延税金負債はどんなときに生じるか?

いま税金が少なく、将来多く払うことになるとき

会計上の収益が税法上まだ益金にならない場合など。
2 級ではその他有価証券の評価差益で出てくる。

2. 減価償却の限度超過額

根拠: 出題区分表 商-二-20

引当金とまったく同じ形です。認められなかった分に税率を掛けるだけです。

会計上の減価償却費 ¥300,000、税法上の限度額 ¥250,000。実効税率 30%。税効果の仕訳は?

借方 貸方
繰延税金資産 15,000 法人税等調整額 15,000

超過額 ¥50,000 × 30% = ¥15,000。

減価償却の限度超過額が一時差異になるのはなぜか?

耐用年数が終われば、償却総額は会計も税法も同じになるから

会計のほうが早く償却しているだけで、いずれ追いつく。
だから一時差異。

3. その他有価証券の税効果

根拠: 出題区分表 商-二-20、商-三-7

ここだけ形が違います。 相手勘定が法人税等調整額ではありません。

その他有価証券の評価差額に税効果を適用するとき、相手勘定は何か?

その他有価証券評価差額金(法人税等調整額ではない)

評価差額はもともと損益を通さず純資産に直接入れるので、
その税効果も損益を通さない。

その他有価証券(取得原価 ¥500,000)の期末時価が ¥540,000。実効税率 30%。決算の仕訳は?

借方 貸方
その他有価証券 40,000 繰延税金負債 12,000
その他有価証券評価差額金 28,000

評価差益 ¥40,000 のうち 30%(¥12,000)は将来の税金なので繰延税金負債。
評価差額金は税引後の ¥28,000 になる。

その他有価証券の期末時価が取得原価を下回った場合、税効果はどうなる?

繰延税金資産が計上される

借方 貸方
繰延税金資産 12,000 その他有価証券 40,000
その他有価証券評価差額金 28,000

評価差損なので将来の税金が減る=前払い。

繰延税金資産・繰延税金負債は貸借対照表のどこに載る?

区分
繰延税金資産 投資その他の資産(固定資産)
繰延税金負債 固定負債

流動には載せない。

2 級で税効果会計の対象になる 3 つは?

引当金・減価償却・その他有価証券(に係る一時差異)

区分表に「2 級ではこれらに限る」と明記されている。
また繰延税金資産の回収可能性の検討は除外されている。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

みならいノートで覚える(無料)

答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 法人税等と課税所得
研究開発費と繰延資産 次

このノートは無償で公開しています。当方は内容の正確性・完全性・最新性を保証しません。学習にあたっては、法令の原文・公式の出題範囲その他の一次資料を必ずご確認ください。試験への合格その他の効果を保証するものでもありません。

本文の転載・再配布はお断りしています(利用規約)。手元に置いて使いたい方は、ストアから Markdown ファイルとして入手できます。