法人税等と課税所得
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 19「税金」イ(法人税・住民税・事業税/課税所得の算定方法)。
0. どういう処理か
法人税は利益にかかる税金ですが、会計の利益にそのまま税率を掛けるわけではありません。
会計は「正しい業績を示す」ためのもの、税法は「公平に税を取る」ためのもので、
目的が違うからです。そのため費用として認める範囲がずれます。
課税所得 = 会計上の利益 + 加算項目 − 減算項目
| 調整 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 加算 | 会計では費用だが、税法では損金にならない | 引当金繰入の超過額、減価償却の超過額、交際費の一部 |
| 減算 | 会計では収益だが、税法では益金にならない | 受取配当金の一部 |
税法で認められない費用を足し戻すのが加算です。
費用を認めてもらえない=その分だけ所得が大きい=税金が増える、ということです。
そして納付の流れは 2 段階です。
| 時期 | 何をするか |
|---|---|
| 期中(中間申告) | 前期の半分程度を仮払いする(仮払法人税等) |
| 決算 | 年税額を確定し、仮払分を差し引いた残りを未払法人税等にする |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 課税所得は会計上の利益に加算・減算をしたもの(利益そのものではない)
- 中間納付額は仮払法人税等(費用ではない)
- 決算で計上するのは年税額全体、未払いになるのは残額だけ
1. 課税所得の算定
根拠: 出題区分表 商-二-19-イ
「会計の利益 → 税法の所得」への翻訳です。ずれる理由を押さえてください。
課税所得はどう求める?
会計上の利益 + 加算項目 − 減算項目
会計と税法では費用(損金)・収益(益金)として認める範囲が違うため、
利益をそのまま使えない。
「加算項目」とはどういうものか?
会計では費用にしたが、税法では損金として認められないもの
引当金繰入の超過額、減価償却の限度超過額、交際費の一部など。
損金にならない=その分だけ所得が増えるので加算する。
「減算項目」とはどういうものか?
会計では収益にしたが、税法では益金にならないもの
受取配当金の一部など(二重課税を避けるため)。
所得が減るので税金も減る。
会計上の利益 ¥5,000,000、損金不算入となる引当金繰入超過額 ¥300,000、益金不算入の受取配当金 ¥100,000。課税所得は?
¥5,200,000
5,000,000 + 300,000 − 100,000 = ¥5,200,000。
これに税率を掛けたものが法人税等の年税額になる。
なぜ会計の利益と税法の所得がずれるのか?
目的が違うから
| 目的 | |
|---|---|
| 会計 | 企業の正しい業績を示す |
| 税法 | 公平に税を取る |
見積りに基づく費用(引当金など)は、会計では認めても
税法では「まだ確定していない」として認めないことがある。
2. 法人税等の記帳
根拠: 出題区分表 商-二-19-イ
中間で仮払い、決算で確定。2 段階の流れを固定してください。
中間申告で法人税等 ¥400,000 を当座預金から納付した。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仮払法人税等 400,000 | 当座預金 400,000 |
費用ではなく資産(仮払い)。年税額が確定するまでの一時的な置き場。
決算で年税額が ¥1,000,000 と確定した。中間納付額は ¥400,000。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 1,000,000 | 仮払法人税等 400,000 |
| 未払法人税等 600,000 |
費用は年税額の全額、未払いになるのは差額だけ。
未払法人税等は貸借対照表のどこに載る?
流動負債
決算日の翌日から 2 か月以内に納付するため。
確定申告で未払法人税等 ¥600,000 を当座預金から納付した。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 未払法人税等 600,000 | 当座預金 600,000 |
負債を消すだけ。費用は前期の決算で計上済み。
中間納付額が年税額を上回った場合はどうなる?
差額は「未収還付法人税等」(資産)になる
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税 ××× | 仮払法人税等 ××× |
| 未収還付法人税等 ××× |
払いすぎた分が戻ってくるので資産。
法人税等は損益計算書のどこに載る?
税引前当期純利益の下
売上高 … 経常利益 … 税引前当期純利益 → 法人税、住民税及び事業税 → 当期純利益。
費用だが、営業費用でも営業外費用でもない独立の区分。