無形固定資産とのれん
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 11「無形固定資産」ア〜オ。
0. どういう処理か
形の無い資産です。特許権・商標権・のれん・ソフトウェアなどが該当します。
有形固定資産との違いは 3 つです。
| 有形固定資産 | 無形固定資産 | |
|---|---|---|
| 記帳法 | 間接法(減価償却累計額) | 直接法(資産から直接引く) |
| 残存価額 | 問題文による | ゼロ |
| 償却方法 | 定額法・定率法など | 定額法が原則 |
「直接法・残存価額ゼロ・定額法・月割り」——この 4 点セットで覚えてください。
のれん
買収した会社の値段が、その会社の純資産より高かったときの差額です。
のれん = 支払った金額 − 受け入れた純資産(時価)
ブランド力・顧客との関係・技術力など、帳簿に載っていない価値に対して払ったお金です。
のれんは 20 年以内に定額法で償却します。
(逆に純資産より安く買えた場合は負ののれん発生益という収益で、償却しません。)
ソフトウェア
2 級で扱うのは自社利用の場合だけです。
将来の収益獲得または費用削減が確実なら資産に計上し、
5 年以内に定額法で償却します(実務上の目安)。
完成前に払った金額は ソフトウェア仮勘定(建設仮勘定と同じ発想)に入れます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 無形固定資産の償却は直接法(累計額を使わない)
- 償却額の勘定は「減価償却費」ではなく のれん償却・ソフトウェア償却
- 負ののれんは償却しない(発生時に一括して収益)
1. 無形固定資産の償却
根拠: 出題区分表 商-二-11-ウ、商-二-11-エ
4 点セットを毎回確認してください。有形と混ざりやすいところです。
無形固定資産の償却は直接法・間接法のどちらか?
直接法
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 特許権償却 ××× | 特許権 ××× |
減価償却累計額を使わない。貸借対照表には償却後の残高だけが載る。
無形固定資産の残存価額はいくらか?
ゼロ
形が無いので、使い終わったあとに売れる価値が無い。
そのため取得原価をそのまま耐用年数で割る。
特許権 ¥800,000 を取得し、8 年で償却する。期首取得の場合、当期の償却額と仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 特許権償却 100,000 | 特許権 100,000 |
¥800,000 ÷ 8 年 = ¥100,000。残存価額ゼロ・定額法。
期中(7 月 1 日)に取得した無形固定資産の償却は?(決算 3 月 31 日)
月割りで計算する
年間償却額 × 9 か月 / 12 か月。
生産高比例法と違い、無形固定資産は月割りする。
無形固定資産の償却に使う勘定名は?
「◯◯償却」(特許権償却、のれん償却、ソフトウェア償却)
「減価償却費」は使わない。
無形固定資産にはどんなものがあるか?
のれん・特許権・商標権・実用新案権・意匠権・鉱業権・ソフトウェア・借地権
このうち借地権は償却しない(期限が無いため)。
2. のれん
根拠: 出題区分表 商-二-11-ア
「純資産より高く買った差額」。連結会計でも同じ考え方が出てきます。
のれんとは何か?
企業を買収したときに、支払った金額が受け入れた純資産(時価)を上回った差額
ブランド力・顧客基盤・技術力など、帳簿に載っていない価値に対して払った分。
純資産(時価)¥8,000,000 の会社を ¥9,500,000 で買収した。のれんはいくらか?
¥1,500,000
9,500,000 − 8,000,000 = ¥1,500,000。
資産として計上する。
のれんの償却期間と方法は?
20 年以内に、定額法その他の合理的な方法で償却する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| のれん償却 ××× | のれん ××× |
問題文で期間が示される。20 年を超える指示は出ない。
のれん償却は損益計算書のどこに載る?
販売費及び一般管理費
営業活動から生じた資産の償却なので、営業利益より上に入る。
純資産より安く買収できた場合はどうなるか?
負ののれん発生益(収益)として、発生した期に一括して計上する
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 諸資産 ××× | 諸負債 ××× |
| 当座預金など ××× | |
| 負ののれん発生益 ××× |
償却しない。損益計算書では特別利益に載る。
3. ソフトウェア
根拠: 出題区分表 商-二-11-イ、商-二-11-オ
2 級は自社利用だけ。完成前の支払いは仮勘定に置きます。
2 級で扱うソフトウェアはどんな場合か?
自社利用の場合だけ
市場販売目的・受注制作のソフトウェアは 1 級。
区分表にも「2 級では自社利用の場合に限る」とある。
自社利用のソフトウェアを資産に計上できるのはどんなときか?
将来の収益獲得または費用削減が確実であると認められるとき
確実でなければ費用として処理する。
ソフトウェアの開発中に支払った ¥1,200,000 の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| ソフトウェア仮勘定 1,200,000 | 当座預金 1,200,000 |
完成前なので「ソフトウェア」にはしない。建設仮勘定と同じ発想。
完成時に ソフトウェア / ソフトウェア仮勘定 で振り替える。
自社利用ソフトウェアの償却期間と方法は?
5 年以内に定額法(利用可能期間にわたって償却)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| ソフトウェア償却 ××× | ソフトウェア ××× |
無形固定資産なので直接法・残存価額ゼロ。
固定資産台帳には何を記録するか?
資産ごとの取得日・取得原価・耐用年数・償却方法・償却累計額・帳簿価額
有形・無形を問わず、個々の資産を追うための補助簿。
総勘定元帳の残高だけでは、どの資産がいくら残っているか分からない。