建設仮勘定と生産高比例法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 10「有形固定資産」エ(建設仮勘定)・オ((直接法)(生産高比例法))。
0. どういう処理か
建設仮勘定
建物や大型機械は、注文してから完成まで何か月もかかります。
その間に手付金や中間金を払いますが、まだ建物は建っていません。
払ったお金を「建物」にしてしまうと、存在しない建物を減価償却することになります。
そこで完成までは建設仮勘定という置き場に入れておきます。
| 性質 | |
|---|---|
| 建設仮勘定 | 有形固定資産(ただし減価償却しない) |
| 完成引渡時 | 建設仮勘定 → 建物 に振り替え、そこから減価償却が始まる |
減価償却しないのは、まだ使っていないからです。
生産高比例法
減価償却を時間ではなく、使った量に比例させる方法です。
減価償却費 =(取得原価 − 残存価額)× 当期の利用量 ÷ 総利用可能量
車両の走行距離、機械の生産量、鉱山の採掘量などに使います。
この方法だけは月割計算をしません。 期中に取得しても、
「その期に何 km 走ったか」で決まるので、期間の按分が要らないからです。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 建設仮勘定は減価償却しない
- 生産高比例法は月割りしない(定額法・定率法とは違う)
- 直接法では減価償却累計額を使わず、資産から直接引く
1. 建設仮勘定
根拠: 出題区分表 商-二-10-エ
完成するまでは建物ではない——ここだけです。
建物の建設中に手付金 ¥2,000,000 を当座預金から支払った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 建設仮勘定 2,000,000 | 当座預金 2,000,000 |
まだ建物は完成していないので「建物」にはできない。
建物が完成し引き渡された。工事代金の総額は ¥5,000,000 で、残額 ¥3,000,000 を当座預金から支払った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 建物 5,000,000 | 建設仮勘定 2,000,000 |
| 当座預金 3,000,000 |
建設仮勘定を全額取り崩して建物に振り替える。
建設仮勘定は減価償却するか?
しない
まだ使用を開始していないので、価値の減少が起きていない。
減価償却は完成して使い始めてから。
建設仮勘定は貸借対照表のどこに載る?
有形固定資産
減価償却しないが、固定資産であることに変わりはない。
期中(10 月 1 日)に建物が完成した。決算が 3 月 31 日、耐用年数 20 年・定額法・残存価額ゼロ、取得原価 ¥5,000,000。当期の減価償却費は?
¥125,000
年間 ¥250,000(5,000,000 ÷ 20 年)× 6 か月 / 12 か月。
完成した月から月割りで計算する(支払った月からではない)。
2. 生産高比例法
根拠: 出題区分表 商-二-10-オ
使った量の割合を掛けるだけ。月割りが不要なのが最大の特徴です。
生産高比例法の式は?
(取得原価 − 残存価額)× 当期の利用量 ÷ 総利用可能量
時間ではなく使った量に比例させる。
取得原価 ¥3,000,000、残存価額ゼロ、総走行可能距離 300,000km の車両を、当期に 40,000km 走行した。減価償却費は?
¥400,000
3,000,000 × 40,000 / 300,000 = ¥400,000。
生産高比例法で、期中に取得した場合は月割りするか?
しない
「その期に何 km 走ったか」で決まるので、期間の按分が不要。
定額法・定率法とは扱いが違う——ここが最頻出の引っかけ。
生産高比例法はどんな資産に向いているか?
利用量と価値の減少が比例する資産
車両(走行距離)、航空機(飛行時間)、鉱山(採掘量)など。
建物のように時間で劣化するものには向かない。
直接法による記帳とはどういうものか?
減価償却累計額を使わず、資産の勘定から直接減らす方法
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 減価償却費 ××× | 建物 ××× |
貸借対照表には減価償却後の残高だけが載る。
直接法と間接法で、貸借対照表の見え方はどう違う?
| 表示 | |
|---|---|
| 間接法 | 取得原価と減価償却累計額を両方示す |
| 直接法 | 残高だけを示す(取得原価が分からない) |
有形固定資産は間接法が原則だが、無形固定資産は直接法。