材料費
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第五「材料費計算」1〜6。
0. どういう処理か
材料費は 消費単価 × 消費数量 で求めます。
つまり決めることは 2 つ、いくらの単価で、何個使ったかです。
まず、材料は 5 種類に分かれ、直接材料費になるのは 2 つだけです。
| 材料 | 内容 | 直接/間接 |
|---|---|---|
| 主要材料費(素材費・原料費) | 製品の本体になるもの | 直接 |
| 買入部品費 | そのまま取り付ける部品 | 直接 |
| 補助材料費 | 燃料・塗料など補助的に使うもの | 間接 |
| 工場消耗品費 | 軍手・潤滑油など | 間接 |
| 消耗工具器具備品費 | 少額の工具・測定器具 | 間接 |
主要材料と買入部品だけが直接材料費、あとは全部間接材料費です。
次に、購入したときの金額(買入価額)には引取費用を含めます。
運賃・保険料・関税など、材料を手元に持ってくるまでにかかったものです。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 引取費用(材料副費のうち外部副費)は購入原価に含める
- 棚卸減耗費は間接経費(間接材料費ではない)
- 予定価格を使うと材料消費価格差異が出る。有利差異は貸方
1. 材料の分類と購入原価
根拠: 出題区分表 工-五-1、工-五-2、工-五-3
まず「いくらで資産に載せるか」を決めます。
買っただけでは原価にならない(消費して初めて原価)ことに注意してください。
直接材料費になるのはどの材料か?
主要材料費(素材費・原料費)と買入部品費
補助材料費・工場消耗品費・消耗工具器具備品費は間接材料費。
「製品の本体になるか、そのまま取り付けるか」で分かれる。
材料の購入原価はどう求める?
購入代価 + 材料副費
材料副費のうち、引取運賃・保険料・関税などの外部副費は必ず購入原価に含める。
検収費・保管費などの内部副費は、含めることも費用処理することもできる(指示に従う)。
材料 ¥300,000 を掛けで購入し、引取運賃 ¥5,000 を現金で支払った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 材料 305,000 | 買掛金 300,000 |
| 現金 5,000 |
引取運賃は材料の取得原価に含める。運賃を独立の費用にしない。
材料副費を予定配賦している場合、購入時の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 材料 ××× | 買掛金 ××× |
| 材料副費 ×××(予定配賦額) |
実際に発生した材料副費は材料副費勘定の借方に集まり、
予定配賦額との差が材料副費差異になる。
材料元帳には何を記録するか?
材料の種類ごとに、受入・払出・残高の数量と単価と金額
総勘定元帳の「材料」勘定は金額の合計しか持たないので、
どの材料が何個残っているかは材料元帳でしか分からない。
2. 消費量の計算
根拠: 出題区分表 工-五-4
「何個使ったか」の求め方は 2 つあります。
継続記録法と棚卸計算法で、精度と手間が逆になります。
継続記録法とは?
材料の受け入れと払い出しをそのつど記録し、消費量を直接把握する方法
材料元帳を常に更新する。手間はかかるが、
帳簿残高が分かるので棚卸減耗を把握できる。直接材料に使う。
棚卸計算法とは?
「月初有高 + 当月受入高 − 月末実地棚卸高」で消費量を逆算する方法
払い出しを記録しないので手間が少ない。ただし
減耗も消費に含まれてしまうため、棚卸減耗が分からない。工場消耗品などに使う。
継続記録法で、帳簿残高 200 個に対し実地棚卸が 195 個だった。差の 5 個は?
棚卸減耗
継続記録法だからこそ、帳簿と実地の差として把握できる。
棚卸減耗費は何費として処理する?
間接経費(原価計算基準上、経費に分類される)
材料が減っているのに間接材料費ではない点が引っかけ。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 製造間接費 ××× | 材料 ××× |
異常な減耗は非原価項目にする。
3. 消費単価の計算
根拠: 出題区分表 工-五-5
「いくらの単価か」の求め方です。実際価格を使うと月末まで単価が決まりません。
そこで予定価格を使い、差額を後から差異として処理します。
実際の消費単価を求める方法を 2 つ挙げよ。
先入先出法と平均法(移動平均法・総平均法)
材料元帳の払出単価をどう決めるかの話。
3 級の商品有高帳と同じ考え方。
予定価格(予定消費単価)を使う理由は?
- 月末を待たずに製品原価を計算できる
- 価格の変動が製品原価に紛れ込まない(消費量の管理がしやすくなる)
実際価格だと、同じ材料を同じだけ使っても月によって原価が変わってしまう。
予定消費単価 @¥500、実際消費量 400 個のときの消費額と仕訳は?(うち直接分 350 個)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕掛品 175,000 | 材料 200,000 |
| 製造間接費 25,000 |
@¥500 × 350 個 = ¥175,000(直接材料費)、@¥500 × 50 個 = ¥25,000(間接材料費)。
消費額は予定単価で計算する。
予定消費単価 @¥500、実際単価 @¥520、消費量 400 個。材料消費価格差異は?
¥8,000 の不利差異(借方差異)
予定 ¥200,000 − 実際 ¥208,000 = △¥8,000。
予定より実際が高くついたので不利。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 材料消費価格差異 8,000 | 材料 8,000 |
材料消費価格差異が貸方に出た場合、それは有利差異か不利差異か?
有利差異
貸方に出る=予定より実際の方が安かった、ということ。
貸方=有利、借方=不利は、工業簿記のすべての差異に共通する。
材料消費価格差異は、会計年度末にどう処理する?
原則として売上原価に加減する
| 差異 | 処理 |
|---|---|
| 不利差異(借方) | 売上原価に加算 |
| 有利差異(貸方) | 売上原価から減算 |
予定で計算した原価を、実際に近づけるための調整。
4. 期末棚卸高
根拠: 出題区分表 工-五-6
月末に残っている材料は資産です。原価にはなりません。
月末に残っている材料は、原価と資産のどちらか?
資産(材料勘定の残高として次月へ繰り越す)
消費していない以上、原価になっていない。
「買った額 = 当月の材料費」ではないことの根拠。
当月材料費を求める式は?
月初材料棚卸高 + 当月材料仕入高 − 月末材料棚卸高
(棚卸減耗があれば、その分を差し引いて間接経費に振り替える。)