収益認識の基本
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 8「様々な財又はサービスの顧客への移転」
ア(一時点で充足される履行義務、一定の期間にわたり充足される履行義務)・
イ(検収基準・出荷基準・着荷基準)。
0. どういう処理か
「いつ売上を計上してよいか」を決める規則です。
答えは 1 つだけ。履行義務を果たしたときです。
履行義務とは、契約で約束した「顧客に財やサービスを渡す義務」のことです。
渡し終われば売上を計上してよく、まだなら計上できません(受け取ったお金は契約負債)。
そして履行義務には 2 種類あります。
| 種類 | いつ果たされるか | 例 |
|---|---|---|
| 一時点で充足 | 引き渡したその瞬間 | 商品の販売 |
| 一定の期間にわたり充足 | 期間を通じて少しずつ | 保守サービス、清掃契約 |
商品の販売は一時点ですが、「引き渡した瞬間」がいつなのかは
どこを基準にするかで変わります。ここが 3 つの基準です。
| 基準 | 売上を計上する時点 | 早い順 |
|---|---|---|
| 出荷基準 | 商品を出荷したとき | 1 番早い |
| 着荷基準 | 商品が相手に届いたとき | 2 番目 |
| 検収基準 | 相手が中身を確かめて合格としたとき | 1 番遅い |
原則は検収基準です。相手が受け取ったと認めて初めて、義務を果たしたといえるからです。
ただし国内販売など出荷から検収までが短い場合は、出荷基準・着荷基準も認められます。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 3 基準のうちもっとも遅いのは検収基準、早いのは出荷基準
- どの基準でも期末をまたぐ取引の売上計上時期が変わる(第 3 問で問われる)
- 一定期間にわたる履行義務は、進捗度に応じて売上を計上する
1. 履行義務と収益の計上時点
根拠: 出題区分表 商-二-8-ア
「義務を果たしたか」だけを問う——これで判断できます。
収益(売上)はいつ計上するか?
履行義務を充足したとき(顧客に財またはサービスの支配が移転したとき)
代金を受け取ったときでも、契約を結んだときでもない。
履行義務とは何か?
契約において、顧客に財またはサービスを移転する約束
商品を引き渡す、サービスを提供する、といった約束のこと。
1 つの契約に複数の履行義務が含まれることもある。
一時点で充足される履行義務と、一定の期間にわたり充足される履行義務の違いは?
| いつ収益を計上するか | 例 | |
|---|---|---|
| 一時点 | その時点で全額 | 商品の販売 |
| 一定の期間 | 進捗度に応じて期間中に少しずつ | 保守・清掃・警備などの役務 |
商品の販売は一時点、サービスの提供は一定期間になることが多い。
代金を先に受け取ったが、まだ商品を引き渡していない。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 現金など ××× | 契約負債 ××× |
履行義務を果たしていないので売上にできない。
引き渡した時点で契約負債を売上に振り替える。
1 年分の保守料 ¥120,000 を期首に受け取り、当期は 12 か月のうち 12 か月が経過した。当期の収益は?
¥120,000 全額
一定の期間にわたり充足される履行義務なので、経過した期間に応じて計上する。
期中に契約した場合は月割りで按分する。
2. 出荷基準・着荷基準・検収基準
根拠: 出題区分表 商-二-8-イ
期末をまたぐ取引でどれを使うかが問われます。3 つの時点の順番を固定してください。
出荷基準・着荷基準・検収基準を、収益計上が早い順に並べよ。
出荷基準 → 着荷基準 → 検収基準
出荷(自社を出る)→ 着荷(相手に届く)→ 検収(相手が合格と判定)の順に時間が進む。
収益認識の原則的な基準はどれか?
検収基準
相手が検収して初めて「支配が移転した」といえるため。
ただし出荷から検収までの期間が通常の日数であれば、出荷基準・着荷基準も認められる。
3 月 30 日に出荷、3 月 31 日に着荷、4 月 2 日に検収された商品がある。決算日が 3 月 31 日のとき、検収基準では当期の売上に含まれるか?
含まれない(翌期の売上になる)
検収が翌期なので、当期末時点では履行義務を果たしていない。
出荷基準・着荷基準なら当期の売上になる。基準によって期がずれる。
決算で「出荷済みだが未検収の商品」があった場合、どんな修正が必要か?
検収基準なら、売上と売掛金を取り消す
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売上 ××× | 売掛金 ××× |
さらに、その商品はまだ自社のものなので期末商品棚卸高に含める必要がある。
売上の取消だけで終わらせない。
基準を選んだら、期ごとに変えてよいか?
変えてよくない(継続性の原則)
毎期同じ基準を使う。変えると期間比較ができなくなる。