仕入割戻と総平均法
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 商業簿記 第二 7「商品の売買」ア(3 分法・月次による処理)・エ(仕入割戻)・
キ(商品有高帳・総平均法)。
0. どういう処理か
割戻・値引・返品・割引の区別
名前が似ていて必ず混乱するので、先に表で片付けます。
| 名前 | 何が起きたか | 仕入の減少か |
|---|---|---|
| 返品 | 品違いなどで返した | 減る(仕入を取り消す) |
| 値引 | 品質不良などで代金をまけてもらった | 減る |
| 割戻(リベート) | たくさん買ったのでまけてもらった | 減る |
| 割引 | 早く払ったので利息ぶんをまけてもらった | 減らない(営業外収益) |
割戻と割引の違いが最重要です。
- 割戻は数量に対するお礼 → 商品の原価が下がる → 仕入を減らす
- 割引は早期支払いに対する利息 → 商品の原価とは無関係 → 仕入割引(収益)
なお 2027 年度の区分表では、仕入割引・売上割引は 1 級の範囲です。
2 級で扱うのは仕入割戻のほうです。
総平均法
3 級では先入先出法と移動平均法を扱いました。2 級では総平均法が加わります。
総平均単価 =(月初有高 + 当月受入高の金額合計)÷(月初数量 + 当月受入数量)
期末(月末)に一度だけ計算するのが移動平均法との違いです。
そのため、期中は払出単価が決まりません。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 割戻は仕入を減らす、割引は収益(減らさない)
- 総平均法の単価は月末に 1 回だけ計算する
- 月次による処理では、毎月末に売上原価を算定する
1. 仕入割戻
根拠: 出題区分表 商-二-7-エ
「たくさん買ったから安くしてもらった」=商品の原価そのものが下がった、と考えます。
仕入割戻とは何か?
一定期間に大量に仕入れたことに対して、代金の一部を返してもらうこと(リベート)
たくさん買ったお礼なので、商品の取得原価が下がったと考える。
買掛金 ¥500,000 のうち、仕入割戻 ¥20,000 を受け、残額を当座預金で支払った。仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 買掛金 500,000 | 仕入 20,000 |
| 当座預金 480,000 |
仕入を減らす(収益にしない)。
仕入割戻と仕入割引の違いは?
| 理由 | 処理 | |
|---|---|---|
| 割戻 | 数量が多かったお礼 | 仕入を減らす |
| 割引 | 早く支払ったことによる利息相当 | 仕入割引(営業外収益) |
割引は商品の価値と無関係なので仕入を減らさない。
なお 2027 年度の区分表では、割引は 1 級の範囲。
売上割戻を受けた(得意先に支払った)ときの処理は?
売上を減らす
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 売上 ××× | 売掛金 ××× |
仕入割戻の裏返し。費用にはしない。
返品・値引・割戻に共通する処理は?
すべて仕入(または売上)を減らす
理由は違うが、いずれも商品そのものの金額が変わったという点で共通する。
減らさないのは割引だけ。
2. 総平均法
根拠: 出題区分表 商-二-7-キ
月末に 1 回だけ単価を出します。移動平均法との違いはそこだけです。
総平均法の単価はどう求める?
(月初有高の金額 + 当月受入高の金額)÷(月初数量 + 当月受入数量)
月末に一度だけ計算する。
月初 100 個 @¥200、10 日に 300 個 @¥240 仕入、20 日に 100 個 @¥260 仕入。総平均単価は?
@¥236
- 金額 = 20,000 + 72,000 + 26,000 = ¥118,000
- 数量 = 100 + 300 + 100 = 500 個
- 118,000 ÷ 500 = @¥236
払出も月末在庫もこの 1 つの単価で計算する。
総平均法と移動平均法の違いは?
| 単価を計算するタイミング | |
|---|---|
| 移動平均法 | 仕入れるたびに計算し直す |
| 総平均法 | 月末(期末)に 1 回だけ |
総平均法は計算が楽だが、期中は払出単価が決まらない。
総平均法で、月末在庫の金額はどう求める?
総平均単価 × 月末数量
払出も同じ単価なので、売上原価 = 総平均単価 × 払出数量。
先入先出法のように単価が層になることがない。
3. 月次による処理
根拠: 出題区分表 商-二-7-ア
3 級では年 1 回だった売上原価の算定を、毎月末に行うものです。
三分法の「月次による処理」とは?
毎月末に売上原価を算定し、月次の損益を把握する処理
決算整理仕訳(仕入 / 繰越商品、繰越商品 / 仕入)を毎月末に行う。
年 1 回だと、月ごとの業績が分からないため。
月次処理を行う場合、月末の仕訳は?
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 仕入 ×××(月初商品) | 繰越商品 ××× |
| 繰越商品 ×××(月末商品) | 仕入 ××× |
年度末の決算整理とまったく同じ形を、毎月末に繰り返す。
月次処理をしている会社の、年度末の決算整理はどうなるか?
12 か月目の月次処理がそのまま年度末の決算整理になる
毎月やっているので、年度末に特別なことはしない。
(棚卸減耗損・商品評価損の計上は年度末に行うのが通常。)