原価の意義と非原価項目
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
出題区分表 工業簿記 第二 1「原価の意義」ア(原価の一般概念)・ウ(原価計算基準の原価)、
第二 3「非原価項目」。
0. どういう処理か
「費用」と「原価」は同じではありません。
会社が使ったお金のうち、製品を作って売るという本来の活動のために使ったものだけが原価です。
それ以外は、費用ではあっても原価ではありません。これを非原価項目といいます。
原価計算基準は、原価であるための条件を 4 つ挙げています。
| 条件 | 意味 | 外れる例 |
|---|---|---|
| 経済価値の消費であること | 物やサービスを使ったこと | 単なる資金の移動 |
| 給付に転嫁されること | 製品やサービスに結びつくこと | 本業と無関係の支出 |
| 経営目的に関連すること | 本来の営業活動のためであること | 支払利息などの財務費用 |
| 正常なものであること | 異常でないこと | 火災損失、異常な仕損 |
「正常なもの」の条件が試験でよく問われます。
同じ火災でも、通常起こりうる程度なら原価、異常な規模なら非原価項目です。
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 支払利息は非原価項目(経営目的に関連しない財務活動の費用)
- 異常な仕損・減損は非原価項目。正常なぶんは原価に含める
- 販売費・一般管理費は原価ではあるが製造原価ではない(総原価には含まれる)
1. 原価の一般概念
根拠: 出題区分表 工-二-1-ア、工-二-1-ウ
まず「原価とは何か」を 4 条件で言えるようにします。
非原価項目の判定は、この 4 条件のどれかに当てはまらないかを見るだけです。
原価計算基準がいう「原価」の 4 つの条件は?
- 経済価値の消費であること
- 給付(製品・サービス)に転嫁される価値であること
- 経営目的に関連したものであること
- 正常なものであること
4 つすべてを満たしたものだけが原価。1 つでも外れれば非原価項目。
「経済価値の消費」とはどういう意味か?
物やサービスを実際に使って、その価値が減ったこと
材料を買っただけでは原価にならない(資産が現金から材料に変わっただけ)。
製造のために使ったときに初めて原価になる。
「経営目的に関連する」とはどういう意味か。外れる例は?
製品を作って売るという本来の営業活動のためであること
外れる例は支払利息・社債利息などの財務費用。
お金を借りるのは資金調達であって、製造活動そのものではない。
「正常なもの」という条件が付いているのはなぜか?
異常な事象による損失を混ぜると、製品原価が実態を表さなくなるから
火災による損失や異常な仕損が製品原価に入ると、
「この製品を作るのに本来いくらかかるか」が分からなくなる。
正常な範囲の仕損・減損は原価に含める。
製造原価・総原価・販売価格の関係は?
製造原価 + 販売費 + 一般管理費 = 総原価、総原価 + 利益 = 販売価格
販売費・一般管理費は製造原価ではないが総原価には含まれる。
「原価ではない」と誤解しない。
2. 非原価項目
根拠: 出題区分表 工-二-3
4 条件のどれかを外れたものが非原価項目です。
損益計算書では営業外費用や特別損失に載ります(製品原価には入りません)。
非原価項目とは何か?
原価計算制度において、原価に算入しない項目
費用ではあるが、製品原価にも売上原価にも含めない。
損益計算書では営業外費用・特別損失などとして処理する。
次のうち非原価項目はどれか。①工場の機械の減価償却費 ②支払利息 ③工場長の給料
②支払利息
①③は製造活動のための消費なので原価(製造間接費)。
②は資金調達の費用であり、経営目的に関連しないので非原価項目。
火災損失は原価か、非原価項目か?
非原価項目(異常な状態を原因とする価値の減少)
「正常なもの」という条件を外れる。
同じ理由で、異常な仕損費・異常な減損費も非原価項目。
正常な仕損費と異常な仕損費の扱いはどう違う?
| 扱い | |
|---|---|
| 正常な仕損費 | 原価に含める(良品の原価に負担させる) |
| 異常な仕損費 | 非原価項目(特別損失などにする) |
「その程度の失敗は通常起こる」なら原価。問題文に「異常な」と書かれていたら外す。
次のうち非原価項目はどれか。①法人税 ②工場の固定資産税 ③製品の広告宣伝費
①法人税
②は製造設備にかかるので製造間接費、③は販売費(製造原価ではないが総原価には入る)。
①は利益に対して課される税で、経営目的に関連する消費ではない。
配当金の支払いは原価か?
原価ではない(利益の処分であって費用ですらない)
原価かどうか以前に、株主への利益の分配なので損益計算書に載らない。