進化の仕組み
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (1) ア (イ) ㋒「進化の仕組み」。
告示は「進化の仕組みに関する観察、実験などを行い、遺伝子頻度が変化する要因を見いだして
理解すること」とし、内容の取扱いで「種分化の過程も扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
進化とは、集団の中の遺伝子頻度が変わることです。
個体が変わるのではなく、集団の構成比が変わる — ここを外すと全部ずれます。
遺伝子頻度を変える要因は 4 つ。
| 要因 | 何が起きるか | 方向性 |
|---|---|---|
| 突然変異 | 新しい対立遺伝子が供給される | 無い |
| 自然選択 | 有利な形質の個体が多く子を残す | ある |
| 遺伝的浮動 | 偶然で頻度が変わる | 無い(小集団で大きい) |
| 遺伝子流動(移入・移出) | 他集団と遺伝子が混ざる | 無い |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 自然選択だけが方向を持つ。ほかは偶然の結果として頻度を動かす
- 遺伝的浮動は集団が小さいほど効く(ビン首効果・創始者効果)
- 中立説は自然選択を否定していない — 分子レベルの変化の多くが中立、という主張
1. 遺伝子頻度とハーディ・ワインベルグの法則
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(イ)-㋒
まず「変わらない条件」を決めておくと、変わったときに何が起きたかを言えます。
集団内のある遺伝子座について、各対立遺伝子が占める割合を何という?
遺伝子頻度
進化とは、この遺伝子頻度が世代を超えて変化することをいう。
遺伝子頻度が世代を超えて変化しない集団を何という?
ハーディ・ワインベルグの法則が成り立つ集団(平衡状態の集団)
現実には成り立たないが、基準として使うことで「何が起きたか」を言える。
ハーディ・ワインベルグの法則が成り立つための条件を 5 つ挙げると?
①集団が十分大きい ②突然変異が起きない ③自然選択が働かない ④個体の移入・移出が無い ⑤自由に交配する
5 つのどれかが崩れると、遺伝子頻度は変化する。
対立遺伝子 A の頻度を p、a の頻度を q とすると、遺伝子型の分離比はどう表される?
AA : Aa : aa = p² : 2pq : q²(p + q = 1)
平衡状態の集団で成り立つ。
劣性形質(aa)の個体が集団の 1 % のとき、a の遺伝子頻度は?
0.1
q² = 0.01 より q = 0.1。p = 0.9 となる。
上の集団で、保因者(Aa)は全体の何 % か?
18 %
2pq = 2 × 0.9 × 0.1 = 0.18。劣性形質の個体よりずっと多い。
2. 遺伝子頻度を変える要因
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(イ)-㋒
環境に適した形質をもつ個体が多くの子を残すことで、頻度が変わることを何という?
自然選択
ダーウィンが提唱した。4 つの要因のうち、唯一方向性をもつ。
偶然によって遺伝子頻度が変化することを何という?
遺伝的浮動
どの個体が子を残すかは偶然にも左右されるため、有利不利と無関係に頻度が動く。
遺伝的浮動の影響が大きく出るのは、大きい集団と小さい集団のどちら?
小さい集団
個体数が少ないほど、偶然の偏りが頻度に直結する。
集団の個体数が激減し、遺伝的な多様性が失われる現象を何という?
ビン首効果(ボトルネック効果)
生き残った少数の個体の遺伝子構成が、その後の集団を決めてしまう。
少数の個体が新しい土地に移り住んで集団を作るとき、もとの集団と頻度がずれる現象は?
創始者効果
移り住んだ少数がもともと偏っていれば、その偏りが新集団の標準になる。
他の集団との間で個体が行き来することで遺伝子頻度が変わることを何という?
遺伝子流動
集団間の差を小さくする方向に働く。
分子レベルの変化の多くは有利でも不利でもなく、遺伝的浮動で広まったとする考えは?
中立説
木村資生が提唱した。自然選択を否定するものではない。
同義置換と非同義置換では、どちらが速く蓄積する?
同義置換
アミノ酸が変わらないので自然選択を受けにくく、中立な変化として残りやすい。
3. 自然選択の現れ方
根拠: 学習指導要領 生物-(1)-ア-(イ)-㋒
生物の形質が、生息する環境に適した状態になっていることを何という?
適応
自然選択の結果として生じる。
工業地帯で、樹皮が煤で黒くなるにつれ黒色型のガが増えた現象を何という?
工業暗化
捕食者に見つかりにくい型が生き残る、自然選択の実例。
互いに影響を及ぼしあう生物どうしが、関係しながら進化することを何という?
共進化
花と送粉者、捕食者と被食者などで見られる。
異なる系統の生物が、似た環境のもとで似た形質をもつようになることを何という?
収束進化(収れん)
サメとイルカの体形のように、系統が近いことを示さない類似が生じる。
共通の祖先から多様な環境に応じて分かれていくことを何という?
適応放散
ガラパゴス諸島のフィンチのくちばしの違いが例。
性的な魅力や配偶の競争を通じて形質が選ばれることを何という?
性選択
クジャクの飾り羽のように、生存には不利でも配偶に有利なら残ることがある。