筋収縮
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (4) ア (ア) ㋐「刺激の受容と反応」。
内容の取扱いは「受容器として眼を、効果器として筋肉を扱うこと」を求めている。
0. どういう論点か
筋肉は、告示が名指しした効果器の代表です。
要点は「滑り込むだけで、繊維自体は縮んでいない」——これを滑り説といいます。
| 収縮すると | どうなるか |
|---|---|
| 明帯(I 帯) | 短くなる |
| 暗帯(A 帯) | 変わらない |
| サルコメア(筋節) | 短くなる |
| アクチンフィラメント・ミオシンフィラメント | 長さは変わらない |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- フィラメント自体は縮まない(重なりが増えるだけ)
- 暗帯の長さは変わらない(ミオシンフィラメントの長さそのものだから)
- 引き金はカルシウムイオン(神経の興奮が Ca²⁺ の放出に変換される)
1. 筋肉のつくり
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(ア)-㋐
効果器として働く筋肉は、大きく何種類に分けられる?
骨格筋・心筋・平滑筋
骨格筋と心筋には横じまが見える(横紋筋)。
骨格筋の細胞(筋繊維)の中にある、収縮を担う構造は?
筋原繊維
細い繊維が束になっている。
筋原繊維で、明るく見える部分と暗く見える部分をそれぞれ何という?
明帯(I 帯)と暗帯(A 帯)
暗帯にはミオシンフィラメントがある。
筋原繊維で、Z 膜から次の Z 膜までの単位を何という?
サルコメア(筋節)
収縮の基本単位にあたる。
アクチンフィラメントとミオシンフィラメントは、どちらが太い?
ミオシンフィラメント
細いほうがアクチンフィラメント。
2. 滑り説
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(ア)-㋐
筋収縮のしくみを説明する考えを何という?
滑り説
アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込む。
筋収縮のとき、明帯と暗帯の長さはそれぞれどうなる?
明帯は短くなり、暗帯は変わらない
暗帯の長さはミオシンフィラメントの長さそのもの。
筋収縮のとき、アクチンフィラメント自体は短くなる?
ならない
長さは変わらず、滑り込む距離が増えるだけ。
ミオシンがアクチンをたぐり寄せるとき、何を分解する?
ATP
ミオシン頭部が ATP 分解酵素としてはたらく。
サルコメアの長さが 2.0 μm から 1.6 μm になったとき、暗帯の長さは?
変わらない
短くなったのは明帯の部分(両側で合計 0.4 μm)。
3. 収縮の引き金
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(ア)-㋐
運動神経の末端から放出され、筋繊維を興奮させる神経伝達物質は?
アセチルコリン
神経と筋肉のつなぎ目(神経筋接合部)で働く。
筋繊維が興奮すると、何が放出される? どこから?
カルシウムイオン(Ca²⁺)が、筋小胞体から放出される
これが収縮の直接の引き金になる。
Ca²⁺ は、収縮をどう引き起こす?
トロポニンに結合し、トロポミオシンをずらしてミオシンの結合部位を露出させる
これでミオシン頭部がアクチンに結合できるようになる。
興奮が止むと、Ca²⁺ はどうなる?
筋小胞体に回収され、筋肉はゆるむ
回収にも ATP が使われる。
死後硬直が起こるのはなぜ?
ATP が無くなり、ミオシンがアクチンから外れられなくなるから
ATP は収縮だけでなく、離れるためにも要る。
激しい運動のとき、筋肉が ATP をすばやく補う手段は?
クレアチンリン酸から ADP にリン酸を渡す
呼吸や解糖が追いつくまでの短時間をつなぐ。
筋収縮と細胞骨格の関係を 1 行で言うと?
アクチンフィラメントというレールの上を、ミオシンが ATP を使って動いている
細胞内輸送と同じ原理が、大きな力として現れたもの。