発酵
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (2) ア (イ) ㋐「呼吸」。
内容の取扱いは「ATP 合成の仕組みを扱うこと。(中略)また、発酵にも触れること」を求めている。
0. どういう論点か
発酵 は、酸素を使わずに有機物を分解して ATP を得るしくみです。
呼吸との違いはどこで止まるかにあります。
解糖系(共通)→ ┬ 酸素あり … クエン酸回路 → 電子伝達系(呼吸)
└ 酸素なし … NADH を戻すだけの反応(発酵)
| アルコール発酵 | 乳酸発酵 | 解糖 | |
|---|---|---|---|
| 行うもの | 酵母 | 乳酸菌 | 動物の筋肉 |
| 最終産物 | エタノール + CO₂ | 乳酸 | 乳酸 |
| ATP(グルコース 1 分子) | 2 | 2 | 2 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 発酵でできる ATP は 2 分子だけ(呼吸の 38 と比べて桁違いに少ない)
- CO₂ が出るのはアルコール発酵だけ(乳酸発酵では出ない)
- 発酵の目的は NAD⁺ を作り直すこと(解糖系を止めないため)
1. 発酵のしくみ
根拠: 学習指導要領 生物-(2)-ア-(イ)-㋐
酸素を使わずに有機物を分解して ATP を得るはたらきを何という?
発酵
解糖系までは呼吸と同じ経路をたどる。
発酵で ATP ができるのは、どの段階?
解糖系
そのあとの反応では ATP はできない。
発酵で、解糖系のあとの反応は何のために行われる?
NADH を NAD⁺ に戻すため
NAD⁺ が足りなくなると解糖系が止まってしまう。
発酵でグルコース 1 分子から得られる ATP は何分子?
2 分子
呼吸(最大 38 分子)に比べてはるかに少ない。
発酵は酸素があっても起こる?
酵母では酸素があると呼吸が優先される
酸素が乏しいときにアルコール発酵を行う。
2. アルコール発酵と乳酸発酵
根拠: 学習指導要領 生物-(2)-ア-(イ)-㋐
アルコール発酵を行う代表的な生物は?
酵母(酵母菌)
パンや酒の製造に利用される。
アルコール発酵の反応を式で表すと?
C₆H₁₂O₆ → 2C₂H₅OH + 2CO₂(+ATP 2 分子)
ピルビン酸が脱炭酸されてアセトアルデヒドになり、還元されてエタノールになる。
パン生地がふくらむのは、アルコール発酵の何によるもの?
発生する二酸化炭素
エタノールは焼く過程で飛ぶ。
乳酸発酵を行う代表的な生物は?
乳酸菌
ヨーグルトや漬物の製造に関わる。
乳酸発酵の反応を式で表すと?
C₆H₁₂O₆ → 2C₃H₆O₃(乳酸)(+ATP 2 分子)
ピルビン酸がそのまま還元されて乳酸になる。二酸化炭素は出ない。
アルコール発酵と乳酸発酵で、気体が発生するのはどちら?
アルコール発酵
キューネ発酵管で CO₂ のたまり方を見れば区別できる。
3. 解糖と、呼吸との使い分け
根拠: 学習指導要領 生物-(2)-ア-(イ)-㋐
動物の筋肉で、酸素が足りないときにグルコースを乳酸に分解するはたらきを何という?
解糖
反応としては乳酸発酵と同じだが、行うのが自分の細胞である点が違う。
激しい運動のあとに筋肉が疲労するのは、何がたまるため?
乳酸
酸素の供給が追いつかず、解糖でまかなうため生じる。
たまった乳酸は、そのあとどうなる?
酸素が十分になると、一部は呼吸で分解され、一部は肝臓でグルコースに戻される
捨てられるのではなく回収される。
呼吸と発酵で、同じ量のグルコースから得られるエネルギーに大きな差があるのはなぜ?
発酵では有機物が完全には分解されないから
エタノールや乳酸の中に、まだエネルギーが残っている。
発酵と腐敗は、生物学的にはどう違う?
しくみは同じで、人にとって有用かどうかで呼び分けているだけ
どちらも微生物による有機物の分解。