ニューロンと興奮の伝導
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物」の内容 (4) ア (ア) ㋐「刺激の受容と反応」。
告示は「外界の刺激を受容し神経系を介して反応する仕組みを、関与する細胞の特性と関連付けて
理解すること」としている。
0. どういう論点か
信号が伝わるしくみは、1 本の中を伝わる(伝導)と、
細胞から細胞へ渡す(伝達)の 2 つに分かれます。
| 伝導 | 伝達 | |
|---|---|---|
| どこで | 1 個のニューロンの中 | シナプス(細胞と細胞のすき間) |
| 何で伝わる | 電気的な興奮 | 神経伝達物質(化学物質) |
| 向き | 両方向へ進みうる | 一方向のみ |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 1 本の軸索での興奮の大きさは刺激の強さによらない(全か無かの法則)
- それでも強さが分かるのは、頻度と本数で表しているから
- シナプスは一方向(伝達物質を出す側と受け取る側が決まっている)
1. 静止電位と活動電位
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(ア)-㋐
神経系を構成する細胞を何という? その突起の名前は?
ニューロン(神経細胞)。長い突起を軸索、短い突起を樹状突起という
軸索が信号を送り出す側にあたる。
刺激を受けていないニューロンで、細胞内は細胞外に対して電位がどうなっている?
負(マイナス)になっている
この電位差を静止電位という。
静止電位ができるのは、何のはたらきによる?
ナトリウムポンプが Na⁺ を外へ、K⁺ を内へ運び、K⁺ が漏れ出すため
ATP を使う能動輸送が土台になっている。
刺激を受けたとき、細胞内の電位が一時的に正に逆転する変化を何という?
活動電位
Na⁺ チャネルが開いて Na⁺ が流れ込むために起こる。
活動電位のあと、電位がもとに戻るのは何が起きるから?
K⁺ チャネルが開いて K⁺ が流れ出すから
これで内部が再び負に戻る。
刺激を強くすると、1 本のニューロンの活動電位は大きくなる?
ならない。閾値を超えれば一定の大きさで生じる
これを全か無かの法則という。
それでも刺激の強弱を区別できるのはなぜ?
活動電位の発生する頻度と、興奮するニューロンの数が変わるから
大きさではなく、回数と本数で強さを表している。
2. 伝導
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(ア)-㋐
1 本のニューロンの中を興奮が伝わっていくことを何という?
伝導
となり合った部分との間に電流が流れることで次々に伝わる。
軸索を包む、電気を通しにくいさやを何という? これをもつ神経繊維は?
髄鞘。もつものを有髄神経繊維という
無髄神経繊維には髄鞘が無い。
髄鞘の切れ目を何という?
ランビエ絞輪
ここだけで興奮が生じる。
有髄神経繊維で伝導が速いのはなぜ? この伝わり方を何という?
ランビエ絞輪だけを飛び飛びに興奮が伝わるから。これを跳躍伝導という
無髄神経繊維より格段に速い。
軸索の太さと伝導速度の関係は?
太いほど速い
イカの巨大軸索が実験に使われたのはこのため。
3. 伝達
根拠: 学習指導要領 生物-(4)-ア-(ア)-㋐
ニューロンとニューロンのつなぎ目を何という?
シナプス
わずかなすき間(シナプス間隙)があり、直接つながってはいない。
シナプスで興奮が伝わることを何という? 何によって伝わる?
伝達。神経伝達物質によって伝わる
アセチルコリンやノルアドレナリンなど。
神経伝達物質が放出されるきっかけは?
興奮が軸索の末端に達し、Ca²⁺ が流入すること
シナプス小胞が膜と融合して放出される。
シナプスでの伝達が一方向なのはなぜ?
伝達物質を出す側と、受容体をもつ側が決まっているから
軸索の末端から次の細胞へ、の向きにしか進めない。
興奮性シナプスと抑制性シナプスの違いは?
受け取った側を興奮しやすくするか、しにくくするか
受け取る側に生じる電位が、それぞれ興奮性・抑制性シナプス後電位。
1 個のニューロンが、多数のシナプスから入力を受けるとどうなる?
興奮性と抑制性の入力が足し合わされ、閾値を超えたときだけ興奮する
脳の情報処理の基本単位になっている。