遷移の進み方
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物基礎」の内容 (3) ア (ア) ㋐「植生と遷移」。
内容の取扱いは、遷移の要因として光や土壌が関係することを扱い、植物の環境形成作用にも触れ、
環境条件によっては遷移の結果が森林の他に草原や荒原になることにも触れることを求めている。
0. どういう論点か
遷移は順序を覚えるだけでは足りません。「なぜその順になるか」が問われます。
理由は 2 つだけで、土壌が育つことと林内が暗くなることです。
| 段階 | そこで起こること | 決め手 |
|---|---|---|
| 裸地 | 土壌がなく、乾燥して栄養分もない | — |
| 荒原(コケ・地衣類) | 風化と遺骸で土壌ができ始める | 土壌 |
| 草原 | 草本が茂り、土壌がさらに発達する | 土壌 |
| 低木林 | 木本が侵入できるようになる | 土壌 |
| 陽樹林 | 成長の速い陽樹が林をつくる | 光(明るい) |
| 混交林 | 林床が暗くなり、陽樹の幼木が育たなくなる | 光(暗い) |
| 陰樹林(極相林) | 陰樹の幼木だけが林床で育てる | 光(暗い) |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- 前半は土壌、後半は光が決め手(どちらか一方で説明しようとすると詰まる)
- 陽樹林から陰樹林に変わる理由は「陽樹の幼木が自分の林の下で育てない」(親木が枯れるからではない)
- 極相は「変化が止まった状態」ではなく「構成する種がほぼ入れ替わらなくなった状態」
1. 一次遷移の順序
根拠: 学習指導要領 生基-(3)-ア-(ア)-㋐
植生が時間とともに移り変わっていくことを何という?
(植生の)遷移
溶岩などの裸地から始まるものを一次遷移という。
一次遷移の順序を言うと?
裸地 → 荒原 → 草原 → 低木林 → 陽樹林 → 混交林 → 陰樹林(極相林)
前半は土壌の発達、後半は光の条件で進む。
裸地に最初に侵入する生物の例は?
地衣類やコケ植物
土壌がなくても定着でき、風化と遺骸の蓄積で土壌の形成を始める。
遷移の初期に土壌の形成が重要なのはなぜ?
土壌がないと水分と栄養分を保持できず、草本や木本が根を張って生育できないから
遷移の前半を決めるのはこの条件。
遷移が進む過程で、森林の林床の明るさはどう変わる?
暗くなる
樹木が茂って光をさえぎるため。これが後半の決め手になる。
陽樹林から混交林・陰樹林へ移り変わるのはなぜ?
林床が暗くなり、光補償点の高い陽樹の幼木が育たなくなる一方、陰樹の幼木が育つから
親木の寿命ではなく、次の世代が育つかどうかで決まる。
遷移が進んで、構成する種がほとんど変化しなくなった状態を何という?
極相(クライマックス)
そのときの森林を極相林という。
日本の暖温帯で極相林となるのは、どんな森林?
シイ・カシなどの照葉樹林(陰樹の森林)
冷温帯ではブナなどの夏緑樹林が極相林になる。
2. 環境形成作用と二次遷移
根拠: 学習指導要領 生基-(3)-ア-(ア)-㋐
生物が環境にはたらきかけて、環境を変えることを何という?
環境形成作用(反作用)
逆に環境が生物にはたらきかけることを作用という。
遷移における環境形成作用の例を挙げると?
植物が土壌をつくり、林冠が光をさえぎって林床を暗くすること
遷移は「植物が自分で環境を変え、その環境が次の植物を決める」過程。
山火事や伐採のあと、土壌が残った状態から始まる遷移を何という?
二次遷移
裸地から始まる一次遷移と区別する。
二次遷移が一次遷移より速く進むのはなぜ?
土壌がすでにあり、種子や地下茎、切り株などが残っているから
遷移の前半(土壌の形成)を省ける。
極相林の内部で高木が倒れてできる、光が差し込む空間を何という?
ギャップ
そこでは陽樹も育つため、極相林の中にも部分的な更新が起こる。
遷移の結果が必ず森林になるとは限らない。どんな場合に草原や荒原で止まる?
降水量が少ない場合や、気温が低い場合など、樹木が育たない環境条件のとき
遷移の到達点は環境条件によって決まる。
湖沼が陸地になっていく遷移を何という?
湿性遷移
土砂や生物の遺骸が堆積して浅くなり、湿原を経て陸上の植生に移り変わる。
遷移の各段階の土壌と光を調べれば、何が分かるか?
土壌の発達と光環境の変化によって遷移が進行していること
遷移の要因を資料から見いだす、という探究の形。