免疫と病気
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
根拠は高等学校学習指導要領(平成30年告示)「生物基礎」の内容 (2) ア (イ) ㋐「免疫の働き」。
内容の取扱いが「身近な疾患の例にも触れること」を求めている部分にあたり、
解説は花粉症やエイズを例に挙げている。
0. どういう論点か
免疫は体を守る仕組みですが、強すぎても、自分に向いても、弱っても病気になります。
病気の名前より、どの方向に崩れたかで整理します。
| 崩れ方 | 何が起こるか | 例 |
|---|---|---|
| 過剰(強すぎる) | 無害なものにまで反応する | 花粉症・食物アレルギー・アナフィラキシー |
| 自分に向く | 自分の成分を攻撃する | 関節リウマチ・Ⅰ型糖尿病 |
| 低下(弱る) | 異物を排除できない | エイズ(HIV 感染症)・日和見感染 |
引っかけの分かれ目は次の 3 つ。
- アレルギーは免疫が「弱い」のではなく「過剰」(向きを逆に覚えやすい)
- HIV が壊すのはヘルパー T 細胞(指令役が失われるので免疫全体が落ちる)
- エイズで死に至るのは HIV そのものではなく、免疫低下による感染症やがん
1. 免疫が過剰にはたらく
根拠: 学習指導要領 生基-(2)-ア-(イ)-㋐
本来無害なものに対して免疫が過剰に反応し、体に不利益が生じることを何という?
アレルギー
原因となる抗原をアレルゲンという。
花粉症はどんな仕組みで起こる病気?
花粉をアレルゲンとして免疫が過剰に反応し、鼻や目の粘膜で炎症が起こる
免疫の低下ではなく過剰。
アレルギーのうち、血圧低下や呼吸困難など全身に急激な症状が出るものを何という?
アナフィラキシー(重い場合はアナフィラキシーショック)
ハチ毒や食物、薬で起こることがある。
2. 免疫が自分に向く
根拠: 学習指導要領 生基-(2)-ア-(イ)-㋐
免疫が自分の体の成分を攻撃してしまう病気を何という?
自己免疫疾患
自分の成分に反応するリンパ球が排除される仕組み(免疫寛容)が崩れて起こる。
自己免疫疾患の例を 2 つ挙げると?
関節リウマチ・Ⅰ型糖尿病(重症筋無力症など)
Ⅰ型糖尿病は、すい臓の B 細胞が免疫に攻撃されて起こる。
Ⅰ型糖尿病が免疫の単元にも出てくるのはなぜ?
すい臓のランゲルハンス島 B 細胞が自分の免疫に破壊されて起こる自己免疫疾患だから
血糖濃度の調節(単元 03)と免疫が、同じ病気でつながっている。
3. 免疫が低下する
根拠: 学習指導要領 生基-(2)-ア-(イ)-㋐
エイズ(AIDS)の原因となるウイルスは?
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
エイズは後天性免疫不全症候群の略称。
HIV はどの細胞に感染し、それによって何が起こる?
ヘルパー T 細胞に感染して破壊し、適応免疫全体がはたらかなくなる
指令役が失われるので、体液性免疫も細胞性免疫も成り立たなくなる。
免疫が低下すると、普通なら病気を起こさない病原体で発病することがある。これを何という?
日和見感染
エイズで直接の死因になるのは、多くがこうした感染症やがん。
HIV の治療にワクチンによる予防接種が使いにくいのはなぜ?
HIV が変異しやすく、しかも免疫の指令役であるヘルパー T 細胞を壊してしまうため
免疫記憶をつくる仕組み自体が攻撃される。
4. 医療と免疫
根拠: 学習指導要領 生基-(2)-ア-(イ)-㋐
臓器移植で拒絶反応が起こらないようにするには、どんな処置が必要になる?
免疫抑制剤を使って細胞性免疫のはたらきを抑える
そのぶん感染症にかかりやすくなる。
輸血のときに血液型を合わせるのは、どんな反応を避けるため?
抗原抗体反応によって赤血球が凝集する反応
血液型は赤血球表面の抗原の違い。
免疫の働きを「二面ある」と言えるのはなぜ?
体を守る一方で、過剰になればアレルギー、自分に向けば自己免疫疾患、低下すれば感染症を招くから
強いほどよい仕組みではない。