みならいノート

物理 2027年度版

静電エネルギーと誘電体

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (3) ア (ア) ㋒「コンデンサーの性質を理解するとともに,電気容量を電界や電位差と関連付けて理解すること。」。

0. どういうまとまりか

充電したコンデンサーは、放電させると電球を光らせたりモーターを回したりできます。つまりエネルギーを蓄えています。これが静電エネルギーです。
また、極板のあいだに絶縁体(誘電体)をはさむと、電気容量が大きくなります。

量 式 使う場面
静電エネルギー と の両方が分かっているとき
が一定のとき(電池をつないだまま)
が一定のとき(電池を切り離したあと)
充電で電池がした仕事 静電エネルギーの 2 倍
誘電体を入れたときの電気容量 は比誘電率、 は真空のときの電気容量

分かれ目は次の 3 つ。

1. 静電エネルギー

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋒

コンデンサーを充電するには、電荷を電位差に逆らって運ぶ仕事が要ります。その仕事が、コンデンサーにエネルギーとして蓄えられます。

コンデンサーの静電エネルギーとは?

充電したコンデンサーが蓄えているエネルギー。充電のとき、電荷を極板間の電位差に逆らって運ぶのに要した仕事にあたる

単位はジュール()。放電させると、このエネルギーが熱や光などに変わる。

電気容量 のコンデンサーに電気量 が蓄えられ、極板間の電位差が のとき、静電エネルギー を 3 つの形で表すと?

もとの形は 。これに を入れると 、 を入れると になる。

静電エネルギーの式 と は、どう使い分けるか?

電池をつないだまま( が一定)なら 、電池を切り離したあと( が一定)なら を使う

一定な量が入った式を選ぶと、 が変わったときの静電エネルギーの増減がすぐ分かる。 一定なら は に比例し、 一定なら は に反比例する。

静電エネルギーが ではなく になるのはなぜか?

充電の途中では、極板間の電位差が 0 から まで少しずつ大きくなるので、電荷を運ぶ仕事は平均の電位差 で運んだ分になるから

電気量を横軸、電位差を縦軸にとると、グラフは原点を通る直線になる。仕事は、この直線と横軸が囲む三角形の面積 である。

2. 電池がした仕事との関係

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋒

電池の側から見ると、電池は一定の電圧 のまま電気量 を送り出しています。その仕事と静電エネルギーは一致しません。

電圧 の電池が、電気量 を送り出したとき、電池がした仕事は?

電池は、はじめから終わりまで一定の電圧 で電荷を送り出す。充電の途中の極板間の電位差とは違い、平均をとる必要がない。

電荷を蓄えていないコンデンサーを電池で充電した。電池がした仕事 と、蓄えられた静電エネルギー の差は、どこへ行ったか?

充電のあいだに流れた電流によって、導線や抵抗でジュール熱になった

失われるのは電池がした仕事のちょうど半分 で、回路の抵抗の大きさによらない。

コンデンサーを含む回路で、エネルギーの収支の式はどう書けるか?

電池がした仕事 = 静電エネルギーの増加 + 発生したジュール熱

電池がした仕事は「電池を通った電気量 × 電池の電圧」。電荷が電池を逆向きに通ったときは、電池がした仕事を負として扱う。極板を動かすなど、外から力を加えて仕事をしたときは、その仕事も左辺に加える。

3. 誘電体

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋒

極板のあいだにガラスや紙、プラスチックなどの絶縁体をはさむと、電気容量が大きくなります。電気的な性質に注目するとき、絶縁体を誘電体と呼びます。

誘電体とは?

絶縁体のこと。電界の中に置くと、表面に正と負の電荷が現れる(誘電分極)という性質に注目した呼び名

誘電体の中の電子は原子や分子からはなれられないが、位置がわずかにずれる。そのため、電界の向きの側の表面に正、反対側の表面に負の電荷が現れる。

比誘電率 とは?

物質の誘電率 が、真空の誘電率 の何倍かを表す値。

単位は無い。真空は 1 で、物質は 1 より大きい。空気はほぼ 1 なので、空気中のコンデンサーは真空中と同じに扱ってよい。

極板のあいだを比誘電率 の誘電体で満たすと、電気容量は、真空のときの値 と比べてどうなるか?

倍になる()

の が に置きかわる。小さな形で大きな電気容量を得るために、実際のコンデンサーには誘電体がはさんである。

誘電体をはさむと電気容量が大きくなるのはなぜか?

誘電分極で誘電体の表面に現れた電荷が、極板の電荷がつくる電界を弱めるので、同じ電気量でも極板間の電位差が小さくなるから

なので、同じ で が小さくなれば は大きくなる。

充電したコンデンサーを電池から切り離し、極板のあいだを比誘電率 の誘電体で満たした。、、静電エネルギー はそれぞれ何倍になるか?

は変わらない。 は 倍、 は 倍

が一定で が 倍になるので、 も も 倍になる。

コンデンサーを電池につないだまま、極板のあいだを比誘電率 の誘電体で満たした。、、静電エネルギー はそれぞれ何倍になるか?

は変わらない。 は 倍、 は 倍

が一定で が 倍になるので、 も も 倍になる。増えた分の電荷は電池から送りこまれる。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋒

問 1 電気容量 のコンデンサーを の電源で充電した。(1) 蓄えられた静電エネルギーを求めよ。(2) 蓄えられた電気量を求め、 でも同じ値になることを確かめよ。

(1)  (2) 電気量は で、静電エネルギーは同じ になる

方針 分かっているのは と なので、まず を使う。電気量は で出し、 に入れて比べる。

  1. 電気容量を で表すと、
  2. (1) に入れると、
  3. (2) から、
  4. に入れると、 で、(1) と一致する

ここで間違えやすい  の 2 乗を落として としないこと。

問 2 電荷を蓄えていない電気容量 のコンデンサーを、抵抗を通して の電池につなぎ、十分に時間がたった。(1) 電池がした仕事を求めよ。(2) コンデンサーに蓄えられた静電エネルギーを求めよ。(3) 抵抗で発生したジュール熱を求めよ。

(1)  (2)  (3)

方針 電池がした仕事は「送り出した電気量 × 電池の電圧」。蓄えられるのは で、その差がジュール熱になる。抵抗の値は与えられていないが、エネルギーの収支で求められる。

  1. 充電が終わったときの電気量は から、
  2. (1) 電池がした仕事は から、
  3. (2) 静電エネルギーは から、
  4. (3) エネルギーの収支から、ジュール熱は 。

問 3 極板のあいだが真空で、電気容量 の平行板コンデンサーを の電源で充電し、電源から切り離した。そのあと、極板のあいだを比誘電率 の誘電体で満たした。(1) 誘電体を入れたあとの極板間の電位差を求めよ。(2) 誘電体を入れる前とあとの静電エネルギーをそれぞれ求めよ。

(1)  (2) 入れる前は 、入れたあとは

方針 電源から切り離したので、電気量が変わらない。誘電体で電気容量が 5.0 倍になるので、電位差は 、静電エネルギーは の入った形 で求める。

  1. 切り離す前の電気量は、。このあと変わらない
  2. 誘電体を入れたあとの電気容量は、
  3. (1) 電位差は から、
  4. (2) 入れる前の静電エネルギーは、
  5. 入れたあとは から、

ここで間違えやすい 電位差が のままだとして に入れ、静電エネルギーが 5.0 倍になったとしてしまうこと。切り離したあとは、電位差のほうが変わる。

問 4 問 3 と同じコンデンサーを の電源につないだまま、極板のあいだを比誘電率 の誘電体で満たした。十分に時間がたったあとの、蓄えられた電気量と静電エネルギーを求めよ。

電気量 、静電エネルギー

方針 電源をつないだままなので、電位差が のまま変わらない。電気容量が 5.0 倍になるので、電気量は 、静電エネルギーは の入った形 で求める。

  1. 誘電体を入れたあとの電気容量は、
  2. 電気量は から、
  3. 静電エネルギーは から、
  4. 入れる前(問 3 の と )と比べると、どちらも 5.0 倍になっている

問 5 電気容量 の平行板コンデンサーを の電池で充電し、電池から切り離した。そのあと、極板間隔を 2 倍に広げた。(1) 広げる前とあとの静電エネルギーをそれぞれ求めよ。(2) 静電エネルギーが変化した分は、何によってもたらされたか。

(1) 広げる前は 、広げたあとは  (2) 極板を引きはなすために外から加えた力がした仕事

方針 電池から切り離したので、電気量が一定。電気容量は間隔に反比例して半分になるので、 から静電エネルギーは 2 倍になる。増えた分は、エネルギーの保存から、外からされた仕事である。

  1. 電気量は から、。このあと変わらない
  2. (1) 広げる前の静電エネルギーは、
  3. 間隔を 2 倍にすると、電気容量は 倍の になる
  4. 広げたあとは から、
  5. (2) 正と負の極板は引きあっている。それに逆らって極板を引きはなすには、外から力を加えて仕事をしなければならない。その仕事 の分だけ、静電エネルギーが増えた

【発展】極板を引きはなすのに要る仕事から、極板どうしが引きあう力の大きさを求めるとどうなるか

極板どうしが引きあう力の大きさは

電池から切り離した平行板コンデンサー(電気量 、極板の面積 、極板間の誘電率 )で、極板間隔を から へ、ゆっくり広げることを考えます。静電エネルギーは なので、広げたことによる増加は です。この増加は、極板が引きあう力 とつり合う力を外から加えて だけ動かした仕事 に等しいので、 となります。極板間の電界の強さ を使うと と書けます。 ではなく半分になるのは、一方の極板が受ける力は、もう一方の極板だけがつくる電界(強さ )から受ける力だからです。この力は極板間隔によらず一定です。

このノートの 13 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 コンデンサーの接続
電流と抵抗率 次

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