みならいノート

物理 2027年度版

電流と抵抗率

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (3) ア (ア) ㋓「電気回路に関する実験などを行い,電気回路における基本的な法則を理解すること。」。

0. どういうまとまりか

物理基礎では、金属の電流が自由電子の流れであること、オームの法則、抵抗が と表せることを学びました。
ここでは、その先を 3 つ扱います。電流を自由電子の数と速さで表すこと、抵抗率が温度で変わること、そして温度が変わるために電流と電圧が比例しなくなる例(電球)です。

扱うこと 式や性質 文字の意味
電流と自由電子の運動 は電気素量、 は単位体積あたりの自由電子の数、 は導線の断面積、 は自由電子の平均の速さ
抵抗率の温度変化 は のときの抵抗率、 はセ氏温度、 は抵抗率の温度係数
電球の電流と電圧 比例しない(グラフが曲線になる) 電流が大きいほどフィラメントが高温になり、抵抗が大きくなる

分かれ目は次の 3 つ。

1. 電流と自由電子の運動

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

電流の大きさは、導線の断面を 1 秒間に通る電気量です。これを、自由電子の数と速さから組み立てます。

断面積 の導線の中を、単位体積あたり 個の自由電子が平均の速さ で進んでいる。電気素量を として、電流の大きさ は?

の単位は (1 立方メートルあたりの個数)。電流の向きは、自由電子が進む向きと逆である。

は、どう導かれるか?

時間 のあいだにある断面を通るのは、その手前の長さ 、体積 の部分にいた自由電子 個。運ばれる電気量 を で割る

「体積の中の個数を数え、電気量に直し、時間で割る」の 3 段。電流の定義 に入れている。

導線の中を自由電子が進む平均の速さ は、ふつうどのくらいか? それでもスイッチを入れるとすぐ電流が流れるのはなぜか?

とても遅い(1 秒間に も進まない程度)。スイッチを入れると電界が導線全体にほぼ一瞬で伝わり、導線の中の自由電子がいっせいに動きだすから

電子がスイッチから電球まで走っていくのではない。自由電子は熱運動で激しく飛びまわっているが、向きがばらばらなので、平均すると導線に沿ってゆっくり進むだけになる。

太さが途中で変わる 1 本の導線に電流が流れている。細い部分と太い部分で、自由電子の平均の速さはどちらが大きいか?

細い部分のほうが大きい

1 本の導線ではどの断面でも電流 が等しい。同じ材質なら と も同じなので、 から は断面積 に反比例する。

2. 抵抗率の温度変化

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

物理基礎では、抵抗率は物質の種類で決まると学びました。くわしく見ると、同じ物質でも温度によって抵抗率が変わります。

金属の抵抗率は、温度が上がるとどうなるか? セ氏温度 のときの抵抗率 を式で表せ。

大きくなる。

は のときの抵抗率、 は抵抗率の温度係数。温度の範囲があまり広くなければ、抵抗率は温度とともにほぼ直線的に増える。

抵抗率の温度係数 は、何を表す量か? 単位は?

温度が 上がるごとに、抵抗率が のときの値の何倍ずつ増えるかを表す。単位は

物質によって決まる値で、問題では与えられる。金属では正の値である。

金属の抵抗率が、温度が上がると大きくなるのはなぜか?

金属の中の陽イオンの熱運動(振動)が激しくなり、自由電子の進行をさまたげるはたらきが大きくなるから

抵抗の原因は、自由電子が陽イオンにさまたげられること。温度が高いほど陽イオンが大きく振動し、さまたげが増える。

のときの抵抗が の金属線がある。セ氏温度 のときの抵抗 は?

で、温度による長さと断面積の変化は小さいので無視する。すると抵抗は抵抗率に比例し、同じ形の式になる。

ある金属線の、温度 での抵抗 が分かっている。別の温度 での抵抗 を求めるには、どうするか?

と の比をとり、 とする

としてはいけない。式の基準は のときの値 である。

3. 電球の電流と電圧

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

抵抗率が温度で変わるので、電流を流すと温度が大きく変わるものでは、電流と電圧が比例しなくなります。その代表が電球です。

オームの法則(電流が電圧に比例する)が成り立つのは、どんなときか?

導体の温度が一定とみなせるとき

温度が変わると抵抗率が変わり、抵抗 が一定でなくなる。ふつうの抵抗器は、温度の変化が小さい範囲で使うので、 を一定として扱える。

非直線抵抗(非オーム抵抗)とは? 例を挙げよ。

電流と電圧が比例せず、電流と電圧の関係のグラフが直線にならない抵抗。電球やダイオードがその例

かける電圧によって抵抗の値が変わる。これに対し、電流と電圧が比例するものを直線抵抗(オーム抵抗)という。

電球にかける電圧を大きくしていくと、電流と電圧の関係のグラフ(横軸が電圧、縦軸が電流)が直線にならず、増え方がにぶくなっていくのはなぜか?

電流が大きくなるほどジュール熱でフィラメントの温度が上がり、抵抗率が大きくなって、抵抗が増えるから

抵抗が一定なら原点を通る直線になる。電球では、電圧を 2 倍にしても電流は 2 倍にはならない。

電球の電流と電圧の関係のグラフ(曲線)上の 1 点で、電球の抵抗はどう求めるか?

その点の電圧 と電流 の比 で求める

グラフの接線の傾きから求めるのではない。点ごとに の値が違い、それがそのときの電球の抵抗である。

電球と抵抗値 の抵抗を直列にして、起電力 の電池(内部抵抗は無視)につないだ。電球に流れる電流は、どんな手順で求めるか?

電球の電圧を 、電流を として、回路の式 を立てる。この式と、電球の電流と電圧の関係のグラフとを、同時にみたす点(交点)を探す

電球の抵抗が分からないので、オームの法則だけでは解けない。未知数は と の 2 つで、条件は「回路の式」と「グラフ」の 2 つ。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

問 1 断面積 の銅線に の電流が流れている。銅の単位体積あたりの自由電子の数を 、電気素量を として、自由電子が導線に沿って進む平均の速さを求めよ。

方針 電流を自由電子の数と速さで表す式 を、 について解く。指数の計算は、数の部分と の累乗の部分に分けて行う。

  1. を について解くと、
  2. 分母の数の部分は
  3. 分母の の累乗の部分は 。したがって

ここで間違えやすい 答えがとても小さいので計算ちがいを疑ってしまうこと。1 秒間に しか進まないが、これで正しい。

問 2 導線に の電流が流れている。導線のある断面を、 のあいだに通る自由電子の数を求めよ。電気素量を とする。

個

方針 電流は「1 秒間に断面を通る電気量」。通った電気量を、電子 1 個の電気量の大きさ で割ると個数になる。

  1. のあいだに断面を通る電気量は から、
  2. 電子 1 個が運ぶ電気量の大きさは
  3. 個数は なので、 個

問 3  のときの抵抗が の銅線がある。銅の抵抗率の温度係数を として、 のときの抵抗を求めよ。温度による銅線の長さと断面積の変化は無視する。

方針 長さと断面積が変わらないので、抵抗は抵抗率に比例する。 に、 のときの抵抗とセ氏温度を入れる。

  1. を先に計算すると、
  2. かっこの中は
  3. に入れると、

問 4 ある電球のフィラメントの抵抗は、 のとき である。この電球を点灯させて電圧と電流を測ったところ、 で であった。フィラメントの金属の抵抗率の温度係数を とし、高温までこの値のまま使えるものとして、点灯しているときのフィラメントの温度を求めよ。

方針 まず、点灯しているときの抵抗を、測った電圧と電流の比で求める。次に、 を について解いて、その抵抗になる温度を求める。

  1. 点灯しているときの抵抗は から、
  2. の両辺を で割ると、。値を入れると
  3. は、12 から 1 を引いた 11
  4. なので、。有効数字 2 桁で

ここで間違えやすい 点灯しているときの抵抗が、点灯していないときの 12 倍にもなること。電球の抵抗を「一定の値」として扱えないのは、このためである。

問 5 ある電球にかける電圧と流れる電流を測ったところ、次のようになった。電圧 で 、 で 、 で 、 で 、 で 。この電球と の抵抗を直列にして、起電力 の電池(内部抵抗は無視)につないだ。(1) 電球に流れる電流と、電球にかかる電圧を求めよ。(2) このときの電球の抵抗と消費電力を求めよ。

(1) 電流 、電圧  (2) 抵抗 、消費電力

方針 電球の抵抗は電圧によって変わるので、先に決められない。電球の電圧を 、電流を とおいて回路の式を立て、測定値の中から、その式もみたす組を探す(グラフでいえば、電球の曲線と回路の式の直線の交点)。

  1. 直列なので、抵抗にも電球と同じ電流 が流れる。抵抗での電圧降下は
  2. 電池の起電力は、電球の電圧と抵抗の電圧降下の和に等しい。回路の式は 、つまり
  3. 測定値の電流を回路の式に入れて、電圧が測定値と合うものを探す。 では が で は となり、測定値の と合わない
  4. では が で、 は残りの 。測定値の と合う
  5. では が で は となり、測定値の と合わない。(1) の答えは 、
  6. (2) 抵抗は なので、
  7. 消費電力は なので、

ここで間違えやすい 電球の抵抗を、ほかの測定値から決めた一定の値(たとえば で から )として計算してしまうこと。電球の抵抗は、かかる電圧ごとに違う。

【発展】自由電子の運動から、オームの法則と抵抗率を導くとどうなるか

自由電子が電界から受ける力と、陽イオンから受ける抵抗力がつり合うと考えると、 となって電流が電圧に比例する。抵抗率は

長さ 、断面積 の導線の両端に電圧 をかけると、導線の中に強さ の電界ができ、自由電子は大きさ の力を受けます。一方、自由電子は陽イオンにさまたげられ、平均すると速さ に比例する抵抗力 ( は比例定数)を受けるとみなせます。2 つの力がつり合って一定の速さになるとすると なので、 です。これを に入れると となり、電流は電圧に比例します。 と比べると で、物理基礎で学んだ の抵抗率が と表せたことになります。温度が上がると陽イオンの熱運動が激しくなって が大きくなる、と考えれば、抵抗率の温度変化ともつながります。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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