みならいノート

物理 2027年度版

キルヒホッフの法則

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (3) ア (ア) ㋓「電気回路に関する実験などを行い,電気回路における基本的な法則を理解すること。」。

0. どういうまとまりか

電池が 1 個で、抵抗が直列と並列の組み合わせになっている回路は、合成抵抗とオームの法則で解けます。
しかし、電池が 2 個以上あって別々の枝に入っている回路は、合成抵抗にまとめられません。
そういう回路でも使えるのがキルヒホッフの法則です。どんな回路にも成り立つ 2 つの法則からなります。

内容 もとになっていること
第 1 法則 回路の分岐点で、流れこむ電流の和 = 流れ出る電流の和 電気量の保存(電荷は途中で生まれも消えもしない)
第 2 法則 閉じた経路を 1 周するとき、起電力の和 = 電圧降下の和 電位は、1 周してもとの点にもどると、もとの値にもどる

第 2 法則の符号は、1 周する向き(たどる向き)を決めてから、次のように付けます。

正()にする場合 負()にする場合
起電力 電池を、負極から正極へ通りぬけるとき 電池を、正極から負極へ通りぬけるとき
電圧降下 抵抗を、仮定した電流と同じ向きにたどるとき 抵抗を、仮定した電流と逆の向きにたどるとき

分かれ目は次の 3 つ。

1. 第 1 法則

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

第 1 法則は、回路の分かれ道での電流の関係です。中学校で学んだ「並列回路では、枝の電流の和が全体の電流になる」を、どんな分岐点にも使える形にしたものです。

キルヒホッフの第 1 法則とは?

回路の分岐点では、流れこむ電流の和と、流れ出る電流の和が等しい

3 本の導線が集まる点に と が流れこみ、 が流れ出るなら 。

キルヒホッフの第 1 法則は、何の保存を表しているか?

電気量の保存。電荷は分岐点で生まれることも、消えることも、たまることもない

1 秒間に流れこむ電気量と、1 秒間に流れ出る電気量が等しい、と言っている。

2. 第 2 法則

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

第 2 法則は、回路の中の閉じた経路(閉回路)をぐるりと 1 周したときの、電位の上がり下がりの関係です。

キルヒホッフの第 2 法則とは?

回路の中の閉じた経路を 1 周するとき、起電力の和と、抵抗での電圧降下の和が等しい

電池が 1 個、抵抗が 1 個で枝分かれが無い回路では となり、オームの法則と同じ式になる。

キルヒホッフの第 2 法則は、電位のどんな性質にもとづいているか?

回路のどの点の電位も 1 つの値に決まっているので、1 周してもとの点にもどれば、電位ももとの値にもどる

電池で上がった電位の分だけ、抵抗で下がる。山道を 1 周して出発点にもどると、登った高さの合計と下った高さの合計が等しいのと同じ。

キルヒホッフの第 2 法則で、起電力の符号はどう決めるか?

1 周する向きに、電池を負極から正極へ通りぬけるときは正()、正極から負極へ通りぬけるときは負()

負極から正極へ通りぬけると、電位が だけ上がる。電流がどちら向きに流れているかは、起電力の符号に関係しない。

キルヒホッフの第 2 法則で、抵抗での電圧降下の符号はどう決めるか?

1 周する向きと、その抵抗に仮定した電流の向きが同じなら正()、逆なら負()

電流は電位の高いほうから低いほうへ流れるので、電流と同じ向きに抵抗をたどると電位が だけ下がる。逆向きにたどれば、電位は上がる。

3. 式の立て方

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

キルヒホッフの法則の問題は、手順どおりに進めれば式が機械的に立ちます。つまずくのは、向きを決めずに書きはじめて、符号が途中で入れかわるときです。

キルヒホッフの法則で回路を解く手順を、順に 4 つ言うと?

①各枝の電流の向きを仮定し、文字でおく ②分岐点で第 1 法則の式を立てる ③閉じた経路を選び、1 周する向きを決める ④その向きに対して起電力と電圧降下の符号を決め、第 2 法則の式を立てる

あとは連立方程式を解くだけ。向きの仮定と 1 周する向きは、図にかきこんでから式にする。

キルヒホッフの法則で解いた電流が、負の値になった。これはどういう意味か?

実際の電流の向きが、はじめに仮定した向きと逆である。大きさは、求めた値の絶対値

解きなおす必要はない。負の値のまま、ほかの式に入れて計算を続けてよい。

枝が 3 本ある回路(未知の電流が 3 つ)を解くには、第 1 法則と第 2 法則の式を、それぞれいくつ立てればよいか?

第 1 法則の式を 1 つ、第 2 法則の式を 2 つ。合わせて未知数と同じ 3 つ

枝が 3 本なら閉じた経路は 3 通り選べるが、3 つ目の式は、ほかの 2 つの式から作れるので新しい条件にならない。

キルヒホッフの法則で求めた答えは、どうやって確かめるか?

式を立てるのに使わなかった閉じた経路について第 2 法則の式を書き、求めた値を入れて成り立つかを見る

第 1 法則の式にも入れて確かめる。連立方程式の計算ちがいは、ここで見つかる。

4. 電池を 2 個含む回路

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

電池が 2 個あると、一方の電池に、ふつうとは逆向きの電流が流れることがあります。

2 個の電池を、たがいに逆向きに電流を流そうとする向きにして、抵抗とともに 1 つの輪につないだ。電流はどちら向きに流れ、大きさはどう決まるか?

起電力の大きいほうの電池が流そうとする向きに流れる。大きさは、起電力の差を、抵抗の和で割った値

起電力 、()、抵抗 、 なら、第 2 法則から 。

電池の中を、正極から負極へ向かう向きに電流が流れることはあるか? あるとすれば、どんなときか?

ある。ほかの電池のはたらきで、その電池が流そうとする向きとは逆向きに電流を流されているとき

充電できる電池を充電しているときが、この状態である。キルヒホッフの法則で解いた電流が負になり、この向きだと分かることがある。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓

以下、電池の内部抵抗は無視します。

問 1 起電力 の電池 、 の抵抗 、起電力 の電池 、 の抵抗 を、この順に 1 つの輪につないだ。2 つの電池は、たがいに逆向きに電流を流そうとする向きになっている。(1) 回路を流れる電流の大きさと向きを求めよ。(2) の両端の電位差を求めよ。

(1) 。 が流そうとする向き (2)

方針 枝分かれが無いので、電流はどこでも同じ。 が流そうとする向きに電流 を仮定し、その向きに 1 周して第 2 法則の式を立てる。 は正極から負極へ通りぬけることになるので、起電力は負になる。

  1. 電流 の向きを、 の中を負極から正極へ通りぬける向きに仮定する。1 周する向きも同じにとる
  2. 起電力の和は、 が 、 が なので、
  3. 電圧降下の和は、どちらの抵抗も電流と同じ向きにたどるので、
  4. 第 2 法則から 。(1) 。正の値なので、向きは仮定どおり
  5. (2) の両端の電位差は なので、

ここで間違えやすい 起電力を足して としてしまうこと。 は逆向きにつながれているので、電位を下げるはたらきをする。

問 2 起電力 の電池の正極に の抵抗 をつなぎ、その先で、 の抵抗 と の抵抗 の 2 本の枝に分けた。2 本の枝は合流して、電池の負極にもどる。キルヒホッフの法則を使って、、、 を流れる電流をそれぞれ求めよ。

は 、 は 、 は

方針 合成抵抗でも解ける回路だが、キルヒホッフの法則の手順を練習する。電流を 、、 とおき、分岐点で第 1 法則、2 つの閉じた経路で第 2 法則の式を立てる。最後に、合成抵抗で求めた値と比べて確かめる。

  1. 、、 を流れる電流を 、、 とし、向きは、どれも電池の正極の側から負極の側へ向かう向きに仮定する
  2. 分岐点での第 1 法則から、
  3. 電池、、 を通る経路を、電流の向きに 1 周する。第 2 法則から、
  4. を電流の向きに、 を電流と逆の向きにたどる経路を 1 周する。電池を含まないので起電力の和は 0 で、。ここから
  5. 手順 2 に入れると、
  6. 手順 3 に入れると、。したがって
  7. 、
  8. 確かめ。 と の並列の合成抵抗は 、全体は 。電池から流れる電流は で、 と一致する

問 3 点 と点 のあいだに、次の 3 本の枝を並列につないだ回路がある。枝 1 は、起電力 の電池 (正極が の側)と の抵抗 の直列。枝 2 は、起電力 の電池 (正極が の側)と の抵抗 の直列。枝 3 は、 の抵抗 だけである。それぞれの枝を流れる電流の大きさと向きを求めよ。

枝 1 は から へ 、枝 2 は から へ 、枝 3 は から へ

方針 電池が別々の枝にあるので、合成抵抗にまとめられない。各枝の電流の向きを仮定し、点 で第 1 法則、「枝 1 と枝 3」「枝 2 と枝 3」の 2 つの経路で第 2 法則の式を立てて、連立方程式を解く。

  1. 電流を次のように仮定する。枝 1 は から へ 、枝 2 は から へ (どちらも電池を負極から正極へ通りぬける向き)、枝 3 は から へ
  2. 点 での第 1 法則から、
  3. 枝 1 を から へ、枝 3 を から へたどって 1 周する。第 2 法則から、
  4. 枝 2 を から へ、枝 3 を から へたどって 1 周する。第 2 法則から、
  5. 手順 3 の式に を入れて整理すると、
  6. 手順 4 の式に を入れて整理すると 。両辺を 2 で割って、
  7. 手順 5 の式から手順 6 の式を引くと、 が消えて 。したがって
  8. 手順 6 の式に入れると なので、。負なので、枝 2 の実際の向きは仮定と逆の、 から へ向かう向き
  9. 手順 2 から、
  10. 確かめ。式に使わなかった、枝 1 を から へ、枝 2 を から へたどる経路では、起電力の和が 、電圧降下の和が で、一致する

ここで間違えやすい  が負になったところで、仮定をやり直そうとしてしまうこと。負の値のまま手順 2 に入れればよい。電池 には、正極から負極へ向かう電流が流れこんでいる。

問 4 問 3 と同じつなぎ方の回路で、枝 1 は起電力 の電池 (正極が の側)と の抵抗 、枝 2 は起電力 の電池 (正極が の側)と の抵抗 、枝 3 は抵抗 だけである。枝 2 に電流が流れないようにするには、 の抵抗値をいくらにすればよいか。

方針 枝 2 の電流が 0 なら、枝 1 と枝 3 には同じ電流が流れる。この電流を 、求める抵抗値を として、問 3 と同じ 2 つの経路で第 2 法則の式を立てる。枝 2 では、電流が 0 なので の電圧降下が 0 になる。

  1. 枝 2 の電流が 0 なので、第 1 法則から、枝 1 を から へ流れる電流と、枝 3 を から へ流れる電流は等しい。これを とする
  2. 枝 2 を から へ、枝 3 を から へたどって 1 周する。 の電圧降下は 0 なので、第 2 法則から
  3. 枝 1 を から へ、枝 3 を から へたどって 1 周する。第 2 法則から
  4. 手順 3 に手順 2 の を入れると なので、
  5. 手順 2 から なので、

ここで間違えやすい 「電流が流れない枝は無いものとしてよい」と考えて、 まで式から落としてしまうこと。電流が 0 でも起電力は残り、 と のあいだの電位差がちょうど であることを決めている。

問 5 点 と点 のあいだに、次の 3 本の枝を並列につないだ回路がある。枝 1 は、起電力 の電池 (正極が の側)と の抵抗 の直列。枝 2 は、起電力 の電池 (正極が の側)と の抵抗 の直列。枝 3 は、 の抵抗 だけである。それぞれの枝を流れる電流の大きさと向きを求めよ。

枝 1 は から へ 、枝 2 は から へ 、枝 3 は から へ

方針 問 3 と違い、 の正極が の側を向いている。電流の向きの仮定は、どちらの電池についても「負極から正極へ通りぬける向き」にしておくと、起電力がどちらも正になって式が書きやすい。そのぶん、抵抗をたどる向きと電流の向きの関係に気をつける。

  1. 電流を次のように仮定する。枝 1 は から へ 、枝 2 は から へ (どちらも電池を負極から正極へ通りぬける向き)、枝 3 は から へ
  2. 点 に流れこむのは 、流れ出るのは と 。第 1 法則から、
  3. 枝 1 を から へ、枝 3 を から へたどって 1 周する。第 2 法則から、
  4. 枝 2 を から へ、枝 3 を から へたどって 1 周する。枝 3 は仮定した電流と逆の向きにたどるので、電圧降下は負になる。第 2 法則から、
  5. 手順 4 の式の両辺を 2 で割ると なので、
  6. 手順 3 の式に を入れて整理すると、
  7. これに手順 5 を入れると なので、
  8. 手順 5 から 、手順 2 から 。どれも正なので、向きは仮定どおり
  9. 確かめ。式に使わなかった、枝 1 を から へ、枝 2 を から へたどる経路では、起電力の和は 2 つの起電力を足した 。電圧降下の和は で、一致する

ここで間違えやすい 手順 4 で、枝 3 の電圧降下を としてしまうこと。たどる向きが仮定した電流と逆なら、符号は負である。

このノートの 12 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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