みならいノート

物理 2027年度版

電界と電位の関係

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (3) ア (ア) ㋑「電界と電位との関係を静電気力による位置エネルギーと関連付けて理解すること。」。

0. どういうまとまりか

電界は「力」の見方、電位は「エネルギー」の見方でした。同じ空間を 2 通りに表しているので、一方が分かればもう一方も分かります。
地図にたとえると、電位は土地の高さ、等電位面は等高線、電界は斜面の傾きと下る向きにあたります。等高線が込んでいるところほど坂が急で、坂を下る向きは等高線と垂直です。
このノートでは、その関係を一様な電界で式にし、導体と、電界の中を動く荷電粒子に当てはめます。

項目 中身
一様な電界と電位差 ( は電界の向きにそって測った距離)
電界の向き 電位の高いほうから低いほうへ向かう
電界の強さ 距離あたりの電位の下がり方。、単位は
等電位面 電位の等しい点をつないだ面。電気力線と垂直に交わる
導体 内部の電界は 0。導体全体が等電位
一様な電界の中の荷電粒子 加速度 の等加速度運動。電界に垂直に入射すれば放物線

分かれ目は次の 3 つ。

1. 一様な電界と電位差

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋑

一様な電界では、電荷が受ける力がどこでも同じなので、仕事が「力 × 距離」で求まります。これを電位差と結びつけます。

強さ の一様な電界の中で、電界の向きにそって距離 だけ離れた 2 点のあいだの電位差 は?

は、電界の向きにそって測った距離である。電界に対して斜めに離れた 2 点では、2 点を結ぶ線分の、電界の向きの成分を とする。電界に垂直な方向に離れた 2 点のあいだの電位差は 0。

一様な電界で が成り立つことは、どう導くか?

電気量 の正電荷を電界の向きに だけ動かすとき、静電気力がする仕事を 2 通りに書く。力 × 距離で 、電位差で 。2 つが等しいので

静電気力の大きさは で一定。仕事と電位差の関係 の を と置いている。

電界の向きと、電位の高低は、どういう関係にあるか?

電界は、電位の高いほうから低いほうへ向かう。電界の向きに進むと、電位は下がる

正の電荷は電界の向きに力を受け、電位の低いほうへ動く。平行な 2 枚の金属板では、正に帯電した板のほうが電位が高く、電界は正の板から負の板へ向かう。

電界の強さの単位は のほかに、どう書けるか。電界の強さは、電位の何を表しているか?

(ボルト毎メートル)。電界の強さは、電界の向きに 進むあいだに電位が下がる量を表す

から。 と は同じ単位である。電位の変わり方が急なところほど、電界が強い。

2. 等電位面

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋑

電界のようすを電気力線で表したように、電位のようすは等電位面で表します。平面の図では等電位線になります。

等電位面とは何か。点電荷のまわりと、一様な電界の中では、それぞれどんな形になるか?

電位の等しい点をつないでできる面。点電荷のまわりでは、点電荷を中心とする球面。一様な電界の中では、電界に垂直な平面

点電荷のまわりの電位 は距離 だけで決まるので、同じ距離の点は同じ電位になる。地図の等高線にあたる。

等電位面と電気力線は、どう交わるか。なぜか?

垂直に交わる。等電位面にそって電荷を動かしても静電気力は仕事をしないので、静電気力(電界)は等電位面にそった成分をもたないから

電界が等電位面にそった成分をもつなら、その向きに動かすと仕事をして、電位が変わってしまう。等電位面が分かれば、それに垂直な線として電気力線が引ける。

電荷を、同じ等電位面の上の点から点へ運ぶ。静電気力がする仕事は?

0

で だから。途中で等電位面を離れても、はじめと終わりが同じ等電位面の上なら、仕事は 0 である。

等電位面を一定の電位差ごとに描いた。面の間隔が狭いところと広いところでは、電界の強さはどう違うか?

間隔が狭いところほど、電界が強い

同じ電位差 に対して間隔 が小さいので、 が大きい。点電荷のまわりの等電位面は、電荷に近いほど間隔が狭くなる。

3. 導体と電界・電位

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋑

導体の中には自由電子があるので、電界があれば電子が動きます。電子の移動が止まった状態(電流が流れていない状態)の導体について、電界と電位を考えます。建物の上に立てた金属の棒を導線で大地につないだ避雷針は、雷の電気を導体づたいに大地へ逃がすしくみです。

電荷の移動が止まった状態の導体の内部で、電界はどうなっているか。なぜか?

0 になっている。電界が残っていれば自由電子が力を受けて動き続けるので、移動が止まったときには、内部の電界が打ち消されているはずだから

外から電界をかけると、静電誘導で導体の表面に電荷が現れる。この電荷がつくる電界が、導体の内部で外からの電界をちょうど打ち消す。

電荷の移動が止まった状態の導体では、電位はどうなっているか。導体の表面で、電気力線はどう出入りするか?

導体全体が等電位。電気力線は、導体の表面に垂直に出入りする

内部の電界が 0 なので、導体の中のどの 2 点のあいだも電位差が 0 になる。導体の表面は 1 つの等電位面で、電気力線は等電位面に垂直である。

導体に電荷を与えると、その電荷は導体のどこに分布するか?

導体の表面

同符号の電荷は反発し合うので、互いに離れようとして表面に集まる。導体の内部は電界が 0 で、導体で囲まれた空洞の中も、外の電界の影響を受けない(静電遮蔽)。

4. 一様な電界の中の荷電粒子の運動

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋑

一様な電界の中では、荷電粒子は一定の力を受け続けます。一定の重力を受ける物体の運動と同じ形になるので、落下運動や放物運動の式がそのまま使えます。電子などの小さな粒子では、重力は静電気力に比べてはるかに小さいので、無視します。

質量 、電気量の大きさ の荷電粒子が、強さ の一様な電界の中にある。静電気力だけを受けるとき、加速度の大きさは?どんな運動をするか?

。加速度が一定の等加速度運動

運動方程式 から。加速度の向きは、正の電荷なら電界の向き、負の電荷なら電界と逆向き。重力のもとでの運動の を に置きかえたものになる。

一様な電界に対して垂直に、荷電粒子が速さ で入射した。どんな運動をするか。どう分けて式を立てるか?

放物線を描く。電界に垂直な方向は速さ の等速直線運動、電界の方向は初速度 0・加速度 の等加速度直線運動に分ける

水平投射と同じ形である。電界に垂直な方向の式から電界の中にいる時間を求め、それを電界の方向の式に入れる。

静止していた電気量 (正)、質量 の荷電粒子を、電位差 で加速した。得る運動エネルギーと速さは?

運動エネルギーは 。速さは

静電気力がした仕事 が、そのまま運動エネルギーになる。電界が一様でなくても、電位差だけで決まる。電気素量 の電荷をもつ粒子が の電位差で加速されて得るエネルギーを 1 電子ボルト(記号 eV)といい、原子や電子のエネルギーの単位に使う。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋑

以下、荷電粒子にはたらく重力は無視します。座標の単位は m です。

問 1 広い 2 枚の金属板を 離して平行に置き、板のあいだに の電位差を与えた。板のあいだの電界は一様であるとする。(1) 板のあいだの電界の強さを求めよ。(2) 板のあいだに置いた電気量 の点電荷が受ける力の大きさを求めよ。(3) 電位の低いほうの板の電位を とする。電位の高いほうの板から 離れた点の電位を求めよ。

(1)  (2)  (3)

方針 一様な電界なので が使える。電界は電位の高い板から低い板へ向かい、その向きに進むと、距離に比例して電位が下がる。

  1. (1) に値を入れると、
  2. (2) 力の大きさは で、
  3. (3) 電位の高い板の電位は 。そこから電界の向きに 進むあいだに下がる電位は、 から
  4. 求める電位は 。有効数字 2 桁で

ここで間違えやすい (3) で をそのまま答えにしてしまうこと。これは高い板からの電位の下がりである。低い板から測るなら、距離は で、 になる。

問 2  軸の正の向きに、強さ の一様な電界がある。 平面上に、点 A 、点 B 、点 C をとる。(1) A と B の電位差を求めよ。どちらの電位が高いか。(2) 電気量 の点電荷が A から B へ移動するとき、静電気力がする仕事を求めよ。(3) 同じ点電荷が A から C へ移動するとき、静電気力がする仕事を求めよ。

(1) 、A のほうが高い (2)  (3)

方針  の は、電界の向き( 軸の向き)にそって測った距離。2 点の 座標の差だけを使い、 座標の差は使わない。

  1. (1) A と B の 座標の差は 。電位差は から
  2. 電界の向き( 軸の正の向き)に進むと電位は下がる。B のほうが 座標が大きいので、A のほうが電位が高い。
  3. (2) 静電気力がする仕事は で、
  4. (3) A と C は 座標が等しいので、電界に垂直な同じ等電位面の上にある。電位差が 0 なので、仕事は 0。

ここで間違えやすい (1) で、A から B までの直線距離 を に使ってしまうこと。斜めに進んだぶんのうち、電界に垂直な 方向の移動では電位は変わらない。

問 3 質量 、電気量 の荷電粒子が静止している。この粒子を の電位差で加速した。電気素量を とする。(1) 粒子が得た運動エネルギーは何 J か。また、何 eV か。(2) 加速されたあとの粒子の速さを求めよ。

(1) 、 (2)

方針 静電気力がした仕事 が、そのまま運動エネルギーになる。 は、電気素量の電荷が で加速されて得るエネルギーなので、J で表した値を電気素量の値で割れば eV になる。

  1. (1) 運動エネルギーは で、
  2. は にあたるので、
  3. (2) から、。値を入れると
  4. 速さは

ここで間違えやすい eV への換算で、粒子の電気量 で割ってしまうこと。割るのは電気素量である。この粒子の電気量は電気素量の 2 倍なので、 で加速すると、その 2 倍の を得る。

問 4  軸の正の向きに、強さ の一様な電界が、 方向の幅 の範囲にだけある。質量 、電気量 の荷電粒子が、 軸の正の向きに速さ で、この電界に入射した。(1) 電界の中での粒子の加速度の大きさと向きを求めよ。(2) 粒子が電界の中にいる時間を求めよ。(3) 電界を出るまでに、粒子が 方向に移動する距離を求めよ。(4) 電界を出るときの、粒子の速度の 成分を求めよ。

(1) 、 軸の正の向き (2)  (3)  (4)

方針 水平投射と同じ形。 方向(電界に垂直)には力を受けないので等速、 方向(電界の向き)には一定の力を受けるので等加速度。 方向の式で時間を求め、 方向の式に入れる。

  1. (1) 粒子が受ける力は静電気力 だけ。正の電荷なので、電界と同じ 軸の正の向き。
  2. 運動方程式 から 。値を入れると、
  3. (2) 方向は等速なので、幅 を通り抜ける時間は
  4. (3) 方向は初速度 0 の等加速度直線運動なので、移動する距離は
  5. 値を入れると、
  6. (4) 速度の 成分は で、

ここで間違えやすい 電界の中にいる時間を、 方向の運動から求めようとすること。時間を決めるのは、力を受けない 方向の等速運動である。

問 5 強さ の一様な電界の中に、 ごとの等電位面を描いた。(1) となり合う等電位面の間隔を求めよ。(2) 電界の強さを 2 倍にすると、 ごとの等電位面の間隔はどうなるか。

(1)  (2) 半分になる

方針 一様な電界の等電位面は、電界に垂直な平面で、等間隔に並ぶ。となり合う面のあいだの電位差が なので、 から間隔 を求める。

  1. (1) から
  2. 値を入れると、
  3. (2) で が同じなので、 は に反比例する。 が 2 倍になれば、間隔は半分になる。等電位面の間隔が狭いほど電界が強い、ということである。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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