電気振動と電磁波
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理 (3) ア (イ) ㋓「電磁波の性質とその利用を理解すること。」。
0. どういうまとまりか
充電したコンデンサーをコイルにつなぐと、電流が行ったり来たりをくり返します。これが電気振動で、エネルギーがコンデンサー(電界)とコイル(磁界)のあいだを行き来しています。
電気振動のように電界と磁界が変化すると、その変化は電磁波として空間へ伝わっていきます。光も電磁波の一種です。
電気振動は、ばね振り子の単振動と同じ形をしています。対応を表にまとめます。
| 電気振動(コイル とコンデンサー ) | ばね振り子(質量 、ばね定数 ) |
|---|---|
| コンデンサーの電気量 | 変位 |
| 電流 | 速度 |
| 自己インダクタンス | 質量 |
| 電気容量の逆数 | ばね定数 |
| コンデンサーのエネルギー | 弾性力による位置エネルギー |
| コイルのエネルギー | 運動エネルギー |
| 周期 | 周期 |
分かれ目は次の 3 つ。
- コンデンサーの電気量が最大の瞬間に電流は 0、電気量が 0 の瞬間に電流は最大。ばね振り子の「端で速さ 0、中心で速さ最大」と同じ
- 周期は で、はじめに蓄えた電気量によらない。 か を 4 倍にして、はじめて周期が 2 倍になる
- 電磁波は横波で、伝えるための物質が要らない。真空中の速さは、波長によらず光の速さ
1. 電気振動
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(イ)-㋓
充電したコンデンサーの両端をコイルにつなぎます。抵抗が無視できれば、回路には電源が無いのに、向きの入れかわる電流が流れ続けます。
電気振動とは何か?
コイルとコンデンサーをつないだ回路で、コンデンサーの放電と逆向きの充電がくり返され、向きが周期的に入れかわる電流が流れ続ける現象
このとき流れる電流を振動電流という。コンデンサーが放電しきっても、コイルが自己誘導で電流を流し続けようとするので、コンデンサーは逆向きに充電される。
電気振動のあいだ、エネルギーはどのように移り変わるか?
コンデンサーの静電エネルギー と、コイルに蓄えられるエネルギー のあいだを行き来する。抵抗が無視できれば、2 つの和は一定
ばね振り子で、弾性力による位置エネルギーと運動エネルギーが入れかわるのと同じである。
電気振動で、コンデンサーの電気量が最大の瞬間の電流は? 電気量が 0 の瞬間の電流は?
電気量が最大の瞬間、電流は 0。電気量が 0 の瞬間、電流は最大
電気量が最大のときはエネルギーが全部コンデンサーにあり、電気量が 0 のときは全部コイルにある。電圧と電流の最大値 、 のあいだには が成り立つ。
電気振動の周期と固有周波数を、自己インダクタンス と電気容量 で表すと?
周期 、固有周波数
や が大きいほど、ゆっくり振動する。はじめにコンデンサーに蓄えた電気量にはよらない。
電気振動をばね振り子に対応させると、電気量 、電流 、自己インダクタンス 、電気容量 は、それぞれ何にあたるか?
は変位 、 は速度 、 は質量 、 はばね定数 にあたる
コイルは電流の変化を妨げるので、速度の変化を妨げる質量(慣性)の役をする。 の を に、 を に置きかえると、 になる。
実際の回路では、電気振動はやがて弱まって止まる。なぜか?
導線やコイルの抵抗でジュール熱が発生し、また一部が電磁波として空間へ出ていくので、回路のエネルギーが減っていくから
振幅が小さくなっていく振動を、減衰振動という。摩擦のあるばね振り子が、やがて止まるのと同じである。
2. 電磁波の発生
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(イ)-㋓
電磁誘導では、磁界が変化すると起電力(電界)が生じました。逆に、電界が変化すると磁界が生じます。この 2 つが組になると、電界と磁界の変化が空間を伝わっていきます。
電磁波は、どのようにして発生し、伝わるか?
変化する磁界がまわりに電界をつくり、変化する電界がまわりに磁界をつくる。これが次々にくり返されて、電界と磁界の振動が空間を伝わっていく
振動電流の流れる回路やアンテナでは、電界と磁界が周期的に変化するので、同じ周波数の電磁波が出る。存在はマクスウェルが理論で予言し、ヘルツが実験で確かめた。
電磁波は縦波か、横波か? 電界・磁界・進む向きは、たがいにどういう関係か?
横波。電界と磁界はたがいに垂直に振動し、どちらも進む向きに垂直
電界の向きから磁界の向きへ右ねじを回すと、ねじの進む向きが電磁波の進む向きになる。例えば、電界が 軸の正の向き、磁界が 軸の正の向きの瞬間、電磁波は 軸の正の向きへ進んでいる。
電磁波の真空中の速さは? 伝えるための物質(媒質)は要るか?
約 で、光の速さと同じ。媒質は要らず、真空中でも伝わる
波長や周波数によらず、真空中の速さは同じである。速さ 、周波数 、波長 のあいだには が成り立つ。速さが光と一致することから、光は電磁波の一種だと分かった。
3. 電磁波の性質と利用
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(イ)-㋓
電磁波は波なので、波に共通する性質を示します。波長の違いによる分類と利用は、物理基礎で学びました。
電磁波が示す、波としての性質を挙げよ。
反射、屈折、回折、干渉。横波なので、偏りも示す
波長の長い電波は、建物や山の後ろへ回りこみやすい(回折)。光が回折や干渉を示すのは光が波だからで、偏光を示すのは横波だからである。
電波・赤外線・可視光線・紫外線・X 線・γ 線は、何の違いで分けられているか? 周波数が大きいのはどちら側か?
波長(周波数)の違い。この順に波長が短くなり、周波数は大きくなる
真空中の速さが同じなので、 から、波長が短いほど周波数は大きい。どれも同じ電磁波で、発生のしかたや物質への作用が波長によって違う。
電磁波は、空間を伝わって何を運ぶか? 利用の例は?
エネルギーと情報を運ぶ。エネルギーの例は、太陽光や赤外線ヒーターによる加熱、電子レンジ。情報の例は、放送、携帯電話、無線 LAN、衛星測位システム
情報を送るときは、電磁波の振幅や周波数を信号に合わせて変化させる。受信側は、回路の固有周波数を合わせて、目的の周波数の電波だけを取り出す。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(イ)-㋓
回路の抵抗は無視します。円周率の扱いは、問題ごとに指定します。
問 1 自己インダクタンス のコイルと、電気容量 のコンデンサーで電気振動を起こした。(1) 周期を求めよ。(2) 固有周波数を求めよ。円周率は とする。
(1) (2)
方針 に入れる。先に を計算し、10 の指数が偶数になっていることを確かめてから平方根をとる。周波数は周期の逆数。
- (1) を計算すると、
- 平方根は、(単位は s)
- に入れると、
- (2) に、丸める前の値を入れると、
ここで間違えやすい 平方根をとるときに、10 の指数をそのままにしてしまうこと。 で、指数は半分になる。
問 2 電気容量 のコンデンサーを に充電し、電源から切り離して、自己インダクタンス のコイルにつないだ。(1) はじめにコンデンサーに蓄えられていたエネルギーを求めよ。(2) 振動電流の最大値を求めよ。
(1) (2)
方針 電流が最大の瞬間、コンデンサーの電気量は 0 で、はじめの静電エネルギーが全部コイルに移っている。 を について解く。
- (1) に値を入れると、
- (2) から、。よって
- を計算すると、
- 平方根は、
- に入れると、
ここで間違えやすい 電流が最大の瞬間に、コンデンサーの電圧も最大だと考えてしまうこと。電流が最大のとき、コンデンサーの電圧は 0 である。
問 3 コンデンサーの極板 A に 、極板 B に の電気量を蓄え、時刻 にコイルにつないだ。電気振動の周期を とする。時刻 、、 のそれぞれについて、極板 A の電気量と、電流の大きさ・向きを答えよ。電流の最大値を とし、向きは「A からコイルを通って B へ」か「B からコイルを通って A へ」で答えること。
時刻 は、電気量 、電流 で A からコイルを通って B へ。時刻 は、電気量 、電流 。時刻 は、電気量 、電流 で B からコイルを通って A へ
方針 ばね振り子で、端で静かに離したおもりの動きに対応させる。4 分の 1 周期ごとに、「端(電気量が最大・電流 0)」と「中心(電気量 0・電流が最大)」が入れかわる。電流の向きは、正の電荷がどちらの極板から流れ出ているかで決める。
- 時刻 。A が正に帯電していて、電流は 0。ここから、A の正の電荷がコイルを通って B へ流れはじめる(放電)。
- 時刻 。放電しきって、電気量は 0。エネルギーは全部コイルにあり、電流は最大の 。向きは放電のときのまま、A からコイルを通って B へ。
- このあとも、コイルが同じ向きに電流を流し続けようとするので、B に正の電荷がたまっていく(逆向きの充電)。
- 時刻 。電流が 0 になり、A の電気量は 、B は 。はじめと正負が入れかわっている。
- ここから、B の正の電荷がコイルを通って A へ流れはじめる。時刻 に電気量は 0、電流は最大の で、向きは B からコイルを通って A へ。
ここで間違えやすい 時刻 で放電が終わったから電流も 0、としてしまうこと。電気量が 0 の瞬間に、電流は最大である。
問 4 コイルとコンデンサーをつないだ回路の電気振動の周期が であった。次のそれぞれの場合の周期を、 を使って答えよ。(1) コンデンサーの電気容量を 4 倍にする。(2) コイルの自己インダクタンスを 9 倍にする。(3) 電気容量と自己インダクタンスを、どちらも 2 倍にする。(4) はじめにコンデンサーに蓄える電気量を 2 倍にする。
(1) (2) (3) (4)
方針 なので、周期は積 の平方根に比例する。積が何倍になるかを数えて、その平方根をとる。
- (1) は 4 倍。 なので、周期は 2 倍。
- (2) は 9 倍。 なので、周期は 3 倍。
- (3) は 倍。 なので、周期は 2 倍。
- (4) 周期の式に、はじめの電気量は入っていない。周期は変わらない。
ここで間違えやすい (1) で、電気容量が 4 倍だから周期も 4 倍、としてしまうこと。平方根の中が 4 倍になって、周期は 2 倍である。
問 5 周波数 の電波を受信したい。電磁波の速さを 、円周率を とする。(1) この電波の波長を求めよ。(2) 自己インダクタンス のコイルとコンデンサーで、固有周波数がこの電波の周波数に一致する回路を作る。コンデンサーの電気容量をいくらにすればよいか。
(1) (2)
方針 波長は から求める。電気容量は、 の両辺を 2 乗して について解く。
- (1) に値を入れると、
- (2) の両辺を 2 乗すると、
- について解くと、
- 分母を順に計算する。、 は
- 分母は、
- よって
ここで間違えやすい 2 乗するときに、 の 2 乗を としてしまうこと。 である。