みならいノート

物理 2027年度版

重心

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (1) ア (ア) ㋒「大きさのある物体のつり合いに関する実験などを行い,剛体のつり合う条件を見いだして理解すること。」。

0. どういうまとまりか

剛体のつり合いでは、「重力は重心に 1 つの力として働く」として式を立てました。ここでは、その重心がどこにあるかを求めます。
重力は物体のあらゆる部分に働いています。それらを 1 つにまとめた合力の作用点が重心です。
重心の位置は、力のモーメントの考え方から、質量で重みをつけた位置の平均として求まります。
重心が分かると、物体が倒れるか倒れないかも判断できます。

場面 重心の位置
一様な棒 中点
一様な円板・長方形の板 中心(長方形では対角線の交点)
質量 、 の 2 物体(位置 、) 。2 物体を結ぶ線分を、質量の逆比 に分ける点
いくつかの部分をつないだ物体 各部分を、その重心に質量が集まった点とみなして、上の式を使う
一部を切り抜いた板 「残り」と「切り抜いた部分」を合わせると元の板に戻る、として式を立てる

分かれ目は次の 3 つ。

1. 重心とは

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋒

重心は「重力をそこに 1 つだけ描けば済む点」です。まず、その意味と、形から分かる場合を押さえます。

重心とは何か?

物体の各部分に働く重力を 1 つにまとめた合力の作用点

剛体の問題では、物体全体の重さが重心に 1 つの力として働くとして、力のつり合いと力のモーメントのつり合いの式を立ててよい。

物体を重心の位置で支えると、どうなるか?

どんな向きに置いても、回り出さずにつり合う

重力の合力の作用線が支点を通るので、支点のまわりの重力による力のモーメントが 0 になる。

一様な棒、一様な円板、一様な長方形の板の重心は、それぞれどこか?

棒は中点、円板は円の中心、長方形の板は対角線の交点

一様で、形に対称の中心があれば、重心はそこにある。一様な三角形の板では、3 本の中線の交点になる。

重心は、必ず物体の中(物質のあるところ)にあるか?

あるとは限らない

一様な輪の重心は輪の中心にあり、そこには物質が無い。L 字形に曲げた針金の重心も、針金の外にある。

物体の 1 点に糸を付けてつるし、静止させた。重心はどこにあるか?

糸を付けた点を通る鉛直線の上(糸の延長線上)

物体が受ける力は張力と重力の 2 つだけなので、2 力は同じ作用線上にある。別の点でもう一度つるして鉛直線を引くと、2 本の交点が重心である。

2. 2 つの物体の重心

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋒

重心の式は覚えるだけでなく、力のモーメントから出てくることを知っておくと、符号や分母を間違えません。

軸上の位置 に質量 、位置 に質量 の物体がある。2 物体全体の重心の位置 は?

位置に質量で重みをつけた平均である。質量が等しければ、ちょうど中点になる。

2 物体の重心は、2 物体を結ぶ線分をどんな比に分ける点か?

質量の逆比に分ける点。質量 の物体からの距離と、質量 の物体からの距離の比が

重いほうに近い。例えば、質量が と で 離れていれば、重心は軽いほうから 、重いほうから の点である。

2 物体の重心の式 は、どんな考え方から出てくるか?

全体の重力が重心に働くとしたときの力のモーメントが、それぞれの重力の力のモーメントの和に等しい、という式から出てくる

原点のまわりで 。両辺を で割ると重心の式になる。

物体が 3 つ以上あるとき、また平面上に散らばっているとき、重心はどう求めるか?

分子に 、分母に を足していく。平面上では、 座標と 座標を別々に同じ式で求める

、 である。

3. つないだ物体と、切り抜いた板

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋒

大きさのある物体も、重心の分かっている部分に分ければ、2 物体の式がそのまま使えます。

重心の分かっている 2 つの部分をつないでできた物体の重心は、どう求めるか?

それぞれの部分を「その重心に全質量が集まった点」とみなして、2 物体の重心の式を使う

例えば、一様な棒 2 本をつないだ物体なら、それぞれの棒の中点に質量があるとして計算する。

一様な板の一部を切り抜いた。残りの部分の重心は、どう求めるか?

「残りの部分」と「切り抜いた部分」を合わせた重心が、元の板の重心になる、という式を立てて解く

残りの質量と重心の位置を 、、切り抜いた部分を 、 とし、元の板の重心を原点にすると、。一様な板では質量は面積に比例するので、質量の比は面積の比で置きかえる。残りの重心は、切り抜いた側と反対へずれる。

4. 倒れる・倒れない

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋒

家具の転倒のように、物体が倒れるかどうかは重心の位置で判断できます。

面の上に置いた物体が、倒れずにいられる条件は?

重心を通る鉛直線が、物体の底面(面と接して支えられている範囲)の内側を通ること

鉛直線が底面の外に出ると、底面の端を軸にして、重力の力のモーメントが物体を倒す向きに回す。重心が低く、底面が広いほど倒れにくい。

斜面の上に、一様な直方体が置いてある。斜面に沿った方向の底面の幅が 、高さが で、物体はすべらないとする。斜面の傾きの角 を大きくしていくと、どこで倒れはじめるか?

をこえると倒れる

重心は底面の中央の真上、高さ にある。重心を通る鉛直線が、底面の下側の端をちょうど通るのが のときである。

斜面の傾きを大きくしていくとき、一様な直方体(底面の幅 、高さ 、斜面との静止摩擦係数 )は、すべるのが先か、倒れるのが先か?

ならすべるのが先、 なら倒れるのが先

すべりだすのは をこえたとき、倒れるのは をこえたとき。小さいほうの値に先に届く。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋒

問 1  軸上の原点に質量 の小球を、 の点に質量 の小球を置き、軽い棒でつないだ。全体の重心の位置を求めよ。

方針 2 物体の重心の式に、位置と質量を入れる。軽い棒は質量が無いので、重心には関わらない。

  1. に、、、、 を入れる。
  2. 確かめ。 の球からの距離は 、 の球からの距離は 。比は で、質量の逆比になっている。

問 2  平面上で、原点に質量 、 軸上の の点に質量 、 軸上の の点に質量 の小球を置き、軽い棒でつないだ。全体の重心の 座標と 座標を求めよ。

、

方針 平面上の重心は、 座標と 座標を別々に求める。分母はどちらも全体の質量である。

  1. 全体の質量は
  2. 座標が 0 でないのは の球だけなので、 は
  3. 座標が 0 でないのは の球だけなので、 は

ここで間違えやすい 分母を、分子に出てきた球の質量だけにしてしまうこと。座標が 0 の球も、全体の質量には入る。

問 3 長さ 、質量 の一様な棒 P の右端に、長さ 、質量 の一様な棒 Q の左端をつないで、一直線の棒にした。全体の重心は、P の左端から何 m のところにあるか。

P の左端から

方針 P と Q を、それぞれの中点に質量が集まった点とみなし、2 物体の重心の式を使う。位置はすべて P の左端から測る。

  1. P の重心は P の中点で、左端から
  2. Q の重心は Q の中点。Q の左端は P の左端から にあるので、
  3. 重心の式の分子は
  4. 全体の質量 で割ると、

ここで間違えやすい 全体の長さ の中点 と答えてしまうこと。つないだ棒は全体としては一様でないので、重心は重い Q の側に寄る。

問 4 中心が O、半径が の一様な円板から、半径 の円形の部分を切り抜いた。切り抜いた円の中心 C は、O から の位置にある。残った板の重心は、O からどちら向きに何 m のところにあるか。

O から、C と反対の向きに

方針 残った板と切り抜いた円板を合わせると、元の円板に戻る。元の円板の重心は O なので、「残り」と「切り抜いた部分」の 2 物体の重心が O になる、という式を立てる。

  1. 一様な板なので、質量は面積に比例する。切り抜いた円の半径は元の半分なので、面積は元の
  2. 質量の比は、切り抜いた部分が 1、残りが 3 である。
  3. O を原点とし、O から C へ向かう向きを 軸の正の向きとする。切り抜いた部分の重心は C で、。残りの重心を とする。
  4. 2 つを合わせた重心が原点なので、
  5. 分子が 0 になればよいので、
  6. は 。負なので、C と反対の向きである。

ここで間違えやすい 質量の比を半径の比のまま としてしまうこと。板の質量は面積に比例するので、半径が半分なら質量は 4 分の 1 になる。

問 5 水平な板の上に、一様な直方体を置いた。板を傾けていく方向の底面の幅は 、高さは で、直方体と板との間の静止摩擦係数は である。板の一端をゆっくり持ち上げて傾きの角 を大きくしていくと、直方体は、すべりだすのと倒れるのと、どちらが先に起こるか。また、それが起こるのは がいくらをこえたときか。

倒れるのが先。 が をこえたとき

方針 すべりだす傾きと、倒れはじめる傾きを、それぞれ の値で求めて比べる。小さいほうが先に起こる。

  1. すべりだすのは、重力の斜面に平行な成分が最大摩擦力をこえるとき。 から 。つまり が をこえたとき。
  2. 倒れるのは、重心を通る鉛直線が底面の下側の端より外に出るとき。重心は底面の中央の真上、高さ にあり、底面の端までは斜面に沿って
  3. 鉛直線がちょうど端を通るときの は
  4. なので、傾きを大きくしていくと、先に倒れる条件に届く。

ここで間違えやすい 倒れる条件を (高さ ÷ 幅)としてしまうこと。背が高い( が大きい)ほど小さな傾きで倒れるので、幅 ÷ 高さである。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

前 剛体のつり合い
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