みならいノート

物理 2027年度版

気体の状態変化

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (1) ア (オ) ㋒「気体の状態変化に関する実験などを行い,熱,仕事及び内部エネルギーの関係を理解すること。」。

0. どういうまとまりか

気体を温めたり、押し縮めたりすると、圧力・体積・温度が変わります。このとき、熱・仕事・内部エネルギーの間の決まりが熱力学第一法則です。
法則そのものは物理基礎で学びました。ここでは理想気体に当てはめ、代表的な 4 つの変化(定積・定圧・等温・断熱)で、熱と仕事と内部エネルギーがそれぞれどうなるかを整理します。

このノートの符号の約束は次の 1 つに決め、最後まで変えません。

変化 一定に保つもの された仕事 内部エネルギーの変化 熱力学第一法則の形
定積変化 体積 温度が上がれば正
定圧変化 圧力 温度が上がれば正
等温変化 温度 膨張で負、圧縮で正
断熱変化 (熱の出入りが無い。) 膨張で負、圧縮で正 に等しい

分かれ目は次の 3 つ。

1. 熱力学第一法則と符号

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(オ)-㋒

式を書く前に、問題文の「吸収した・放出した」「した・された」を読んで、符号を決めます。

気体に当てはめた熱力学第一法則を、式で書け。それぞれの文字は何を表すか?

。 は気体の内部エネルギーの増加、 は気体が吸収した熱量、 は気体が外部からされた仕事

気体に入ってきたエネルギーの合計だけ、内部エネルギーが増える。気体が外部へした仕事 で書くと で、「吸収した熱は、内部エネルギーの増加と、外部への仕事に使われる」と読める。

気体が膨張するときと、圧縮されるときで、気体がされた仕事 の符号はどうなるか?

膨張するときは負(気体が外部へ仕事をする)。圧縮されるときは正(気体が外部から仕事をされる)

膨張するとき、気体はピストンを押す向きに動かすので、外部へ正の仕事をする。そのぶん気体はエネルギーを失うので、された仕事は負。

2. 気体がする仕事

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(オ)-㋒

気体の仕事は、ピストンを押す力と、ピストンが動いた距離から求めます。

圧力 を一定に保ったまま、気体の体積が だけ増えた。気体が外部へした仕事 は? どう導くか?

。断面積 のピストンを、力 で距離 だけ押すので、仕事は 。 が体積の増加 にあたる

された仕事で書くと 。体積が減るときは が負になり、 は正になる。

縦軸に圧力 、横軸に体積 をとった - グラフで、気体がした仕事の大きさは、何で表されるか?

変化を表す線と、横軸( 軸)とではさまれた部分の面積

圧力が一定なら長方形で 。圧力が変わりながら体積が変わるときも、線の下の面積が仕事の大きさになる。線が直線なら、台形の面積として求められる。

- グラフ上で、状態が右向き(体積が増える向き)に進むときと、左向き(体積が減る向き)に進むときで、仕事はどう違うか?

右向きに進むときは、気体が外部へ仕事をする()。左向きに進むときは、気体が外部から仕事をされる()。大きさはどちらも線の下の面積

真上や真下に進むとき(体積が変わらないとき)は、面積が無く、仕事は 0。

3. 4 つの変化

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(オ)-㋒

どの変化でも、使う式は熱力学第一法則 と状態方程式の 2 つだけです。変化ごとの条件を入れると、式が短くなります。

定積変化とは? このとき、熱力学第一法則はどうなるか?

体積を一定に保つ変化。仕事が 0 なので

吸収した熱量が、すべて内部エネルギーの増加になる。ふたを固定した容器の中の気体を温めるときがこれにあたる。

定圧変化とは? このとき、熱力学第一法則はどうなるか?

圧力を一定に保つ変化。 なので ()

吸収した熱量の一部が内部エネルギーの増加になり、残りが外部への仕事になる。なめらかに動くピストンで閉じこめた気体を、ゆっくり温めるときがこれにあたる。

物質量 の理想気体が、定圧変化で温度が だけ上がった。気体が外部へした仕事 を、 と で表すと?

変化の前後の状態方程式 、 の差をとる。圧力や体積が分からなくても、物質量と温度の変化から仕事が出せる。

等温変化とは? このとき、熱力学第一法則はどうなるか?

温度を一定に保つ変化。理想気体では なので ()

膨張するときは、吸収した熱量がすべて外部への仕事になる。圧縮されるときは、された仕事と同じ量の熱を放出する。温度が一定なので、ボイルの法則が成り立つ。

断熱変化とは? このとき、熱力学第一法則はどうなるか?

熱の出入りが無い変化。 なので

された仕事が、そのまま内部エネルギーの増加になる。温度が変わるので、ボイルの法則は成り立たない。

理想気体を断熱圧縮すると、温度はどうなるか? 断熱膨張させると、どうなるか?

断熱圧縮では温度が上がる。断熱膨張では温度が下がる

圧縮では なので で、内部エネルギーが増える。理想気体の内部エネルギーは温度だけで決まるので、温度が上がる。膨張では、外部へ仕事をしたぶん内部エネルギーが減る。

等温変化と断熱変化は、それぞれどうすれば実現できるか?

等温変化は、熱をよく通す容器に入れ、まわりと熱をやり取りしながらゆっくり変化させる。断熱変化は、断熱材で囲むか、熱が出入りする間もないほど急激に変化させる

「熱をよく通す容器でゆっくり」が等温、「断熱材」か「急激に」が断熱の合図。「ゆっくり」だけでは等温と決まらない。断熱材で囲んだ気体は、ゆっくり動かしても断熱変化である。

同じ状態の理想気体を、等温変化と断熱変化で、同じ体積まで膨張させた。膨張したあとの圧力が低いのはどちらか?

断熱変化のほうが低い

等温変化では温度が変わらないが、断熱膨張では温度が下がる。同じ体積なら、状態方程式から、温度が低いほうが圧力も低い。そのため - グラフでは、断熱変化の曲線のほうが等温変化の曲線より傾きが急になる。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(オ)-㋒

以下、気体は理想気体とし、気体定数を とします。・・・ の意味は、このノートの冒頭の約束のとおりです。

問 1 気体が、圧力を に保ったまま、体積 から まで膨張した。この間に、気体は の熱量を吸収した。(1) 気体が外部へした仕事を求めよ。(2) 内部エネルギーの変化を求めよ。

(1)  (2) 増加した

方針 圧力が一定なので、気体がした仕事は 。熱力学第一法則 の は「された」仕事なので、した仕事は負の数にして入れる。

  1. (1) 体積の増加は
  2. 気体がした仕事は 。値を入れると、
  3. (2) 熱量は吸収したので、
  4. 仕事は外部へ「した」ので、された仕事は
  5. に入れると、 で、
  6. が正なので、内部エネルギーは増加した

ここで間違えやすい  のまま足して としてしまうこと。膨張した気体は外部へ仕事をしていて、そのぶんエネルギーを失っている。

問 2 単原子分子の理想気体 を、体積を一定に保ったまま温め、 の熱量を吸収させた。(1) 内部エネルギーの変化を求めよ。(2) 温度は何 上がるか。

(1) 増加した (2)

方針 定積変化なので仕事は 0 で、。温度の上昇は、単原子分子の理想気体の から求める。

  1. (1) 体積が変わらないので、
  2. から 。内部エネルギーは 増加した
  3. (2) を について解くと、
  4. 分母は
  5. 割ると、

問 3 単原子分子の理想気体 を、圧力を一定に保ったまま、 から まで温めた。(1) 内部エネルギーの変化を求めよ。(2) 気体が外部へした仕事を求めよ。(3) 気体が吸収した熱量を求めよ。

(1) 増加した (2)  (3)

方針 内部エネルギーの変化は、温度の変化だけで決まる。定圧変化で気体がした仕事は 。吸収した熱量は、熱力学第一法則を の形にして求める。

  1. 温度の変化は
  2. (1) に値を入れると、
  3. (2) に値を入れると、
  4. (3) された仕事は なので、 から
  5. 丸める前の値で足すと、

ここで間違えやすい (3) で、定積変化のように としてしまうこと。定圧変化では、気体は膨張して外部へ仕事をするので、そのぶん多くの熱量が要る。

問 4 単原子分子の理想気体 を膨張させ、外部へ の仕事をさせた。次のそれぞれの場合について答えよ。(1) 等温変化で膨張させたとき、内部エネルギーの変化と、気体が吸収した熱量を求めよ。(2) 断熱変化で膨張させたとき、内部エネルギーの変化と、温度の変化を求めよ。

(1) 内部エネルギーの変化 、吸収した熱量  (2) 内部エネルギーは 減少し、温度は 下がる

方針 外部へした仕事は同じでも、等温変化では 、断熱変化では と、0 になる量が違う。どちらも、された仕事は として熱力学第一法則に入れる。

  1. 気体は外部へ仕事を「した」ので、された仕事は
  2. (1) 等温変化では温度が変わらないので、
  3. から 。 で、 を吸収した
  4. (2) 断熱変化では なので、。内部エネルギーは 減少した
  5. を について解く。分母になる は、
  6. は 。符号が負なので、温度は 下がる

ここで間違えやすい (1) で「熱を吸収したのだから温度が上がる」と考えてしまうこと。等温変化では、吸収した熱量をすべて外部への仕事に使うので、内部エネルギーも温度も変わらない。

問 5 単原子分子の理想気体を、状態 A(圧力 、体積 )から状態 B(圧力 、体積 )へ変化させた。この変化は、- グラフ上で A と B を結ぶ直線で表される。(1) 気体が外部へした仕事を求めよ。(2) 内部エネルギーの変化を求めよ。(3) 気体が吸収した熱量を求めよ。

(1)  (2) 増加した (3)

方針 圧力が変わりながら膨張するので、仕事は - グラフの線の下の面積(台形)で求める。内部エネルギーは、途中の経路によらず、はじめと終わりの の差で決まる。熱量は熱力学第一法則から出す。

  1. (1) 線の下の部分は、上底 、下底 、高さ(体積の増加) の台形
  2. 台形の面積は、。体積が増えているので、これは気体が外部へした仕事
  3. (2) A での は、
  4. B での は、
  5. なので、内部エネルギーの変化は で、 の増加
  6. (3) と から、
  7. 値を入れると、 で、 を吸収した

ここで間違えやすい (1) を、はじめの圧力や終わりの圧力だけを使って で計算してしまうこと。圧力が変わるときは、線の下の面積で求める。

このノートの 13 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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