みならいノート

物理 2027年度版

平面内の速度の合成と相対速度

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理 (1) ア (ア) ㋐「平面内を運動する物体の運動について理解すること。」。

0. どういうまとまりか

物理基礎では、一直線上の速度の合成と相対速度を、符号つきの足し算と引き算で扱いました。
平面内では、同じことをベクトルの足し算と引き算で行います。式の形は直線上のときと変わりません。変わるのは、計算を成分ごとに行うことだけです。

式 図での求め方
速度の合成 と を 2 辺とする平行四辺形の対角線
相対速度(A から見た B の速度) 始点をそろえて、 の先から の先へ引いた矢印

分かれ目は次の 3 つ。

1. 速度の合成

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋐

流れのある川を進む船のように、動いているものの上でさらに動く物体の速度は、2 つの速度のベクトルの和になります。

平面内の速度の合成は、どんな式で表されるか? 図ではどう求めるか?

(ベクトルの和)。図では、 と を 2 辺とする平行四辺形の対角線が合成速度

川を進む船なら、 が静水に対する船の速度、 が川の流れの速度、 が岸から見た船の速度である。

2 つの速度を合成するとき、成分ではどう計算するか?

成分ごとに足す。、

合成速度の大きさは、足したあとの成分から で求める。2 つの速度が同じ向きでないかぎり、もとの 2 つの速さを足しても、合成速度の大きさにはならない。

互いに垂直な 2 つの速度(速さ と )を合成した速度の大きさは?

2 つの速度を 2 辺とする長方形の対角線の長さにあたる。例えば と なら である。

流れのある川で、船首を流れに垂直に(向こう岸へまっすぐ)向けて進む。岸から見ると船はどう進むか? 渡りきるまでの時間は何で決まるか?

斜め下流へ向かって進む。渡りきるまでの時間は「川幅 ÷ 静水に対する船の速さ」で、流れの速さによらない

流れの速度は岸に平行なので、岸に垂直な速度の成分を変えない。流れが速いほど、同じ時間のあいだに下流へ流される距離が大きくなるだけである。

流れの速さ の川を、静水に対する速さ の船で、岸に垂直にまっすぐ渡りたい。船首はどちらへ向けるか? そのとき岸から見た船の速さは?

船首を上流側へ斜めに向ける。岸から見た速さは

船の速度の、流れに平行な成分で流れの速度 を打ち消す。残るのは岸に垂直な成分だけになる。 が より大きくないと、まっすぐには渡れない。

2. 相対速度

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋐

動いている観測者から見ると、相手の速度は地面から見たものとは違って見えます。その速度が相対速度です。

平面内を運動する A と B について、A から見た B の相対速度 は、どんな式で表されるか?

、 は、地面から見た A、B の速度。直線上のときの を、そのままベクトルにした式である。

相対速度の式で、引くのはどちらの速度か?

見る側(観測者)の速度を、相手(見られる側)の速度から引く

「A から見た B」なら観測者は A なので、 から を引く。「B に対する A の相対速度」と言われたら、観測者は B である。

相対速度を、成分ではどう計算するか?

成分ごとに引く。 の 成分は 、 成分は

相対速度の大きさは、引いたあとの成分から三平方の定理で求める。2 つの速度が同じ向きでないかぎり、速さどうしを引いても、相対速度の大きさにはならない。

相対速度 を、図で求める手順は?

と の始点をそろえて描き、 の先から の先へ矢印を引く

に、 と逆向きで同じ大きさのベクトル を足す、と考えても同じ矢印になる。

A から見た B の相対速度 と、B から見た A の相対速度 は、どんな関係にあるか?

大きさが等しく、向きが逆()

引く順番が入れかわるだけなので、符号が逆になる。

地面から見た A の速度 と、A から見た B の相対速度 が分かっている。地面から見た B の速度は?

相対速度の式を移項しただけである。速度の合成は、この式と同じ形をしている(岸から見た船の速度 = 流れの速度 + 流れに対する船の速度)。

風の無い日に、雨が鉛直に速さ で降っている。水平に速さ で走る電車の中から見ると、雨はどう降って見えるか?

進行方向の前方から、斜めに降ってくるように見える。鉛直方向からの傾きの角を とすると

電車から見た雨の速度は「雨の速度 − 電車の速度」。鉛直下向きに 、水平には進行方向と逆向きに の成分をもつ。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物理-(1)-ア-(ア)-㋐

問 1 流れの速さが 、川幅が のまっすぐな川がある。静水に対する速さが の船が、船首を流れに垂直に向けて川を渡った。(1) 岸から見た船の速さを求めよ。(2) 向こう岸に着くまでの時間を求めよ。(3) 着いた地点は、出発点の真向かいから何 下流か。

(1)  (2)  (3)

方針 岸から見た船の速度は、静水に対する船の速度(岸に垂直)と流れの速度(岸に平行)の合成である。2 つは垂直なので、岸に垂直な方向と平行な方向を別々の等速直線運動として扱える。

  1. (1) 垂直な 2 つの速度の合成なので、速さは
  2. (2) 岸に垂直な速度の成分は、静水に対する船の速さ である。流れは岸に平行なので、この成分を変えない。
  3. 川幅を岸に垂直な速さで割って、
  4. (3) この間、船は流れと同じ速さで下流へ運ばれる。距離は、

ここで間違えやすい (2) で川幅を合成速度 で割ってしまうこと。 で進むのは斜めの経路で、その長さは川幅より長い。

問 2 流れの速さが 、川幅が のまっすぐな川を、静水に対する速さが の船で、岸に垂直にまっすぐ渡りたい。(1) 船首はどちらへ向ければよいか。岸に垂直な方向から船首を傾ける角を として、 の値とともに答えよ。(2) 岸から見た船の速さを求めよ。(3) 向こう岸に着くまでの時間を求めよ。

(1) 上流側へ、 となる角だけ傾ける (2)  (3)

方針 岸から見た船の速度が岸に垂直になればよい。そのためには、静水に対する船の速度の「流れに平行な成分」が、流れの速度をちょうど打ち消せばよい。残った岸に垂直な成分が、岸から見た速さになる。

  1. (1) 船首を上流側へ角 だけ傾けると、静水に対する船の速度は、上流向きに 、岸に垂直に の成分をもつ。
  2. 上流向きの成分が流れの速さと等しければよいので、
  3. について解くと、
  4. (2) 岸に垂直な成分は、三平方の定理から、
  5. (3) 川幅をこの速さで割って、

ここで間違えやすい (2) を や としてしまうこと。2 つの速度は一直線上にないので、速さをそのまま足し引きできない。

問 3 A は東向きに 、B は北向きに で進んでいる。A から見た B の相対速度の、東西方向の成分、南北方向の成分と、大きさを求めよ。

西向きに 、北向きに の成分をもち、大きさは

方針 東向きを 軸の正の向き、北向きを 軸の正の向きとして、2 つの速度を成分で書く。A から見た B なので、B の速度から A の速度を成分ごとに引く。

  1. A の速度の成分は 、B の速度の成分は (単位は )
  2. 相対速度の 成分は、。負なので、西向きに
  3. 相対速度の 成分は、。正なので、北向きに
  4. 大きさは、

ここで間違えやすい 速さの差 を相対速度の大きさとしてしまうこと。A から見ると、B は北へ進みながら西へ遠ざかっていく。

問 4 風の無い日に、雨が鉛直に速さ で降っている。水平なまっすぐの線路を一定の速さで走る電車の中から見ると、雨は鉛直方向から 傾いて降っているように見えた。(1) 電車の速さを求めよ。(2) 電車の中から見た雨の速さを求めよ。、 とする。

(1)  (2)

方針 電車から見た雨の速度は「雨の速度 − 電車の速度」である。鉛直下向きの成分は雨の速さ、水平の成分は電車の速さ(向きは進行方向と逆)になる。この 2 つを 2 辺とする直角三角形で、鉛直の辺と斜辺のなす角が である。

  1. 電車の速さを とする。相対速度の鉛直成分は 、水平成分は
  2. 鉛直方向からの傾きが なので、。よって
  3. (1) 値を入れると、
  4. (2) 相対速度の大きさを とすると、鉛直成分は なので、
  5. について解くと、

ここで間違えやすい 角を水平方向から測ったものとして と立ててしまうこと。問題文の角は鉛直方向からの傾きである。

問 5 A は東向きに で進んでいる。A から B を見ると、B は北向きに で進んでいるように見えた。地面から見た B の速さを求めよ。

方針 与えられているのは相対速度なので、B の本当の速度(地面から見た速度)ではない。 を移項した を、成分ごとに計算する。

  1. 東向きを 軸の正の向き、北向きを 軸の正の向きとする。A の速度の成分は 、A から見た B の相対速度の成分は (単位は )
  2. B の速度の 成分は、
  3. B の速度の 成分は、
  4. 速さは、

ここで間違えやすい 見えた速さ をそのまま B の速さとしてしまうこと。B は北へ進みながら、A と同じ速さで東へも進んでいる。

このノートの 12 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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