光の反射と屈折
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理 (2) ア (ウ) ㋐「光の伝わり方について理解すること。」。
0. どういうまとまりか
光は波です。波の反射と屈折の法則は「07 波の伝わり方」で水面波について学びました。ここでは、それを光に当てはめます。
光に特有なのは、真空中でも伝わり、その速さがとても大きく決まった値であることと、媒質の中では遅くなることです。
この「どれだけ遅くなるか」を表す数が屈折率で、反射・屈折・全反射の式はすべて屈折率で書けます。
真空中の光の速さを 、媒質の屈折率を 、真空中の波長を とします。
| 量 | 真空中 | 屈折率 の媒質中 |
|---|---|---|
| 速さ | ||
| 波長 | ||
| 振動数 | (変わらない) |
屈折率のおよその値は、空気が 1.0、水が 1.3、ガラスが 1.5、ダイヤモンドが 2.4 です。問題では、その問題文が与えた値を使います。
分かれ目は次の 3 つ。
- 媒質が変わっても振動数は変わらない。変わるのは速さと波長で、どちらも屈折率で割った値になる
- 入射角・反射角・屈折角は、境界面からではなく、境界面に立てた法線から測る
- 全反射が起こるのは、屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ向かうときだけ。逆向きでは、どんな入射角でも起こらない
1. 光の速さと屈折率
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
光は電磁波の一種で、媒質が無くても伝わります。物質の中に入ると遅くなり、その度合いを屈折率という 1 つの数で表します。
光とはどんな波か。また、真空中の光の速さはおよそいくらか?
電磁波の一種で、横波。真空中の光の速さは
真空中では、波長(色)によらず同じ速さで伝わる。音とちがって、伝えるための媒質を必要としない。
物質の絶対屈折率(屈折率) は、どう定義されるか?
真空中の光の速さ を、その物質中の光の速さ で割った値。
物質中の光は真空中より遅いので、 は 1 より大きい。屈折率が大きい物質ほど、その中の光は遅い。
光が真空中から屈折率 の媒質に入ったとき、速さ・波長・振動数はそれぞれどうなるか?
速さは 倍、波長も 倍になる。振動数は変わらない
境界面で波の山が増えたり減ったりはしないので、振動数は変わらない。 で が同じなら、速さと波長は同じ割合で変わる。
空気の屈折率は、ふつうどう扱うか?
1 とみなす(空気中の光の速さと波長は、真空中と同じとして扱う)
空気の屈折率は 1 よりわずかに大きいだけなので、有効数字 2〜3 桁の計算では真空と区別しない。
2. 反射の法則と屈折の法則
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
光が 2 つの媒質の境界面に当たると、一部は反射し、残りは屈折して進みます。角度はどれも、境界面に立てた法線から測ります。
光の入射角・反射角・屈折角は、どこから測った角か?
境界面に垂直な直線(法線)と、光線とがなす角
境界面と光線とがなす角ではない。境界面に垂直に入射する光は、入射角 である。
光の反射の法則とは?
入射角と反射角は等しい
鏡のようななめらかな面でも、紙のようなでこぼこの面でも、面の各点でこの法則が成り立つ。でこぼこの面では法線の向きが点ごとに違うので、反射光がいろいろな向きに進む(乱反射)。
屈折率 の媒質から屈折率 の媒質へ光が進む。入射角を 、屈折角を として、屈折の法則は?
「屈折率 × その媒質側の角の正弦」が、境界面の両側で等しい。どちらの媒質から入っても同じ形で使える。
光が屈折率の小さい媒質から大きい媒質へ進むとき、屈折した光は法線に近づくか、遠ざかるか?
法線に近づく(屈折角は入射角より小さい)
で が大きければ は小さい。逆に、屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ進むときは、法線から遠ざかる。
媒質 1(屈折率 、光の速さ 、波長 )に対する媒質 2(、、)の相対屈折率 を、角・速さ・波長・屈折率で表すと?
屈折率だけ、添字の 1 と 2 が上下逆になる。屈折率が大きい媒質ほど、速さも波長も角の正弦も小さいからである。
3. 全反射
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ進む光は、法線から遠ざかる向きに曲がります。入射角を大きくしていくと、屈折角が先に に達し、それより先は屈折する光が無くなります。
全反射とはどんな現象か。起こる条件を 2 つ言うと?
境界面で光が屈折せず、すべて反射する現象。条件は ①屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ向かうこと ②入射角が臨界角より大きいこと
水中から空気中へ、ガラスから空気中へ向かう光で起こる。空気中から水へ向かう光では起こらない。
屈折率 の媒質から屈折率 の媒質()へ向かう光の臨界角 は、どんな式で決まるか?
臨界角は、屈折角がちょうど になる入射角。屈折の法則 から出る。相手が空気なら 。
光ファイバーは、どんなしくみで光を遠くまで伝えるか?
屈折率の大きい中心部(コア)を、屈折率の小さい外側(クラッド)で包み、境界面で全反射をくり返させて光をコアの中に閉じこめる
全反射では光が外に漏れないので、曲がった線の中でも光を弱めずに送れる。通信や内視鏡に使われる。
4. 見かけの深さ
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
水の底にあるものは、実際より浅いところにあるように見えます。水中から出た光が水面で法線から遠ざかる向きに屈折し、目はその光をまっすぐ逆にたどった先に物体があると受けとるからです。
屈折率 の水の、深さ の底にある物体を、空気中のほぼ真上から見る。物体はどの深さにあるように見えるか?
深さ (実際より浅く見える)
ほぼ真上から見るときは角が小さいので、 と を等しいとみなして導く。斜めから見ると、さらに浅く見える。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
以下、真空中の光の速さを 、空気の屈折率を とします。
問 1 真空中での波長が の光が、屈折率 のガラスに入った。(1) この光の振動数を求めよ。(2) ガラス中での光の速さを求めよ。(3) ガラス中での波長を求めよ。
(1) (2) (3)
方針 振動数は媒質が変わっても同じなので、真空中の速さと波長から で求める。ガラス中の速さと波長は、真空中の値を屈折率で割る。
- (1) 真空中で なので 。値を入れると、
- (2) ガラス中の速さは 。値を入れると、
- (3) ガラス中の波長は 。値を入れると、
- 確かめ。ガラス中でも が成り立つ。 で、(2) と合う。
ここで間違えやすい ガラスに入ると振動数も 倍になる、としてしまうこと。変わるのは速さと波長だけである。
問 2 空気中から、屈折率 の透明な物質の平らな表面へ、入射角 で光を当てた。(1) 屈折角を求めよ。(2) この物質中での光の速さを求めよ。 とする。
(1) (2)
方針 屈折の法則 に、空気側の 、 と、物質側の を入れる。速さは 。
- (1) 屈折の法則から 。したがって
- なので、
- となる角は 。入射角より小さく、光は法線に近づいている。
- (2) に値を入れると、
ここで間違えやすい 角を境界面から測って を入射角に入れてしまうこと。入射角は法線から測った である。
問 3 屈折率 の透明な物質の中から、空気との平らな境界面へ光を当てる。(1) 臨界角を求めよ。(2) 入射角が のとき、光は空気中へ出るか。(3) 入射角が のとき、屈折角を として の値を求めよ。、 とする。
(1) (2) 出ない(全反射する) (3)
方針 屈折率の大きい側から小さい側へ向かうので、全反射が起こりうる。臨界角を で求め、入射角と比べる。臨界角より小さければ、屈折の法則で屈折角を求める。
- (1) 、 なので、。よって
- (2) 入射角 は臨界角 より大きい。したがって全反射し、光は空気中へ出ない。
- (3) 入射角 は臨界角より小さいので、光の一部は屈折して空気中へ出る。
- 屈折の法則から 。値を入れると、
- は より大きいので、屈折角は入射角より大きい。光は法線から遠ざかっている。
ここで間違えやすい (2) で屈折の法則にそのまま入れて とし、そこで手が止まること。正弦が 1 を超えるのは「屈折する光が無い」というしるしで、全反射である。
問 4 深さ のプールの底に、硬貨が沈んでいる。水面の上のほぼ真上から見ると、硬貨は水面から何 m の深さにあるように見えるか。水の屈折率を とする。
方針 ほぼ真上から見るときの見かけの深さは、実際の深さを屈折率で割った になる。
- 実際の深さは 、屈折率は
- 見かけの深さは 。 で割ることは を掛けることなので、
- 実際の深さ より浅く見える。
ここで間違えやすい 屈折率を掛けて としてしまうこと。水の中のものは浅く見えるので、答えは実際の深さより小さくなる。
問 5 光ファイバーのコアの屈折率が 、クラッドの屈折率が である。コアの中を進む光が、コアとクラッドの境界面に当たる。(1) 臨界角を として、 の値を求めよ。(2) 入射角が の光は全反射するか。(3) 入射角が の光は全反射するか。、 とする。
(1) (2) 全反射する (3) 全反射しない
方針 相手が空気でなくても、臨界角は で決まる。入射角が臨界角より大きいかどうかは、正弦の大小で比べられる( から の間では、角が大きいほど正弦も大きい)。
- (1) (コア)、(クラッド)なので、
- (2) は より大きい。入射角が臨界角より大きいので、全反射する。
- (3) は より小さい。入射角が臨界角より小さいので、全反射しない。光の一部はクラッドへ屈折して出ていく。
ここで間違えやすい としてしまうこと。 は相手が空気のときの式で、ここでは相手がクラッドである。