光の分散と偏光
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理 (2) ア (ウ) ㋐「光の伝わり方について理解すること。」。
0. どういうまとまりか
光の色は波長で決まります。そして、物質の屈折率は波長によって少しずつ違います。
この 2 つから、プリズムで白い光が色に分かれること(分散)が説明できます。
空の青さや夕焼けの赤さは、屈折ではなく散乱で説明します。偏光は、光が横波であることを示す現象です。
| 現象 | 何が起こるか | 波長による違い |
|---|---|---|
| 分散 | 屈折するときに、色ごとに分かれる | 波長の短い光(紫)ほど大きく曲がる |
| 散乱 | 小さな粒子に当たって、四方に広がる | 波長の短い光(青)ほど散乱されやすい |
| 偏光 | 振動の方向が 1 つにそろう | 色によらず起こる |
分かれ目は次の 3 つ。
- 波長が短いのは紫、長いのは赤。プリズムで大きく曲がるのは紫で、散乱されやすいのも波長の短い側
- 連続スペクトルは色が切れ目なく続き、線スペクトルはとびとびの線になる。どちらになるかは光源で決まる
- 偏光は横波にしか起こらない。偏光板 2 枚で光をさえぎれることが、光が横波である証拠になる
1. 可視光線と色
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
電磁波のうち、人の目に見える波長の範囲のものを可視光線といいます。色の違いは波長の違いです。
可視光線の波長は、およそどの範囲か。また、波長が最も短い色と最も長い色は?
およそ から 。最も短いのが紫、最も長いのが赤
波長の短いほうから、紫・藍・青・緑・黄・橙・赤の順に並ぶ。色の見え方には個人差があり、境目の値は目安である。
可視光線より波長が少し長い電磁波と、少し短い電磁波を、それぞれ何というか?
赤より波長が長いのが赤外線、紫より波長が短いのが紫外線
どちらも目には見えない。名前は、可視光線の端の色(赤・紫)の「外」という意味である。
白色光と単色光の違いは?
白色光は、いろいろな波長の光が混ざった光。単色光は、1 つの波長だけの光
太陽光や白熱電球の光は白色光。レーザー光は単色光に近い。白い光という 1 つの波長があるわけではない。
2. 光の分散
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
白色光をプリズムに通すと、色の帯に分かれます。同じガラスでも、光の波長によって屈折率が少し違うからです。
虹も同じしくみで、空気中の水滴がプリズムの役目をしています(太陽光が水滴に入るときと出るときに屈折し、中で反射して、色ごとに違う向きへ出てきます)。
光の分散とは、どんな現象か。なぜ起こるか?
白色光が屈折するときに、いろいろな色の光に分かれる現象。物質の屈折率が、光の波長によって少しずつ異なるために起こる
屈折率が違えば、同じ入射角でも屈折角が違う。そのため、混ざっていた色が別々の向きに進む。
白色光をガラスのプリズムに通すとき、最も大きく曲がるのは何色の光か。その理由は?
紫。ガラスの屈折率は、波長の短い光に対してのほうが大きいから
最も曲がり方が小さいのは赤。屈折率が大きい紫の光は、ガラス中での速さも赤より遅い。
3. スペクトル
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
光を波長ごとに分けて並べたものをスペクトルといいます。光源によって、スペクトルのようすが違います。
光のスペクトルとは何か?
光を波長ごとに分けて、波長の順に並べたもの
プリズムや回折格子で分けることができる。どの波長の光がどれだけ含まれているかが分かる。
連続スペクトルと線スペクトルの違いは。それぞれ、どんな光源から出る光に見られるか?
連続スペクトルは、色が切れ目なく連続して並ぶ。白熱電球や太陽など、高温の物体が出す光に見られる。線スペクトルは、とびとびの波長の線(輝線)だけが並ぶ。ナトリウムランプや水素の放電管など、高温の気体が出す光に見られる
輝線の波長は、気体の原子の種類ごとに決まっている。そのため、スペクトルから元素の種類を知ることができる。
太陽光のスペクトルには、ところどころに暗い線が入っている。この暗線は、何によってできるか?
太陽や地球の大気中の原子が、その原子に特有の波長の光を吸収するため
フラウンホーファー線という。原子は、自分が出す輝線と同じ波長の光を吸収する。
4. 光の散乱
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
光が空気の分子のような小さな粒子に当たると、いろいろな向きに広がります。これを散乱といいます。散乱のされやすさも、波長によって違います。
昼間の空が青く見える理由は?
太陽光のうち、波長の短い青い光ほど空気の分子によって強く散乱され、空のあらゆる方向から目に届くから
散乱とは、光が小さな粒子に当たって四方に広がる現象。波長の長い赤い光は、散乱されにくく、まっすぐ進みやすい。
夕焼けが赤く見える理由は?
夕方の太陽光は大気の中を長い距離通ってくる。その間に青い光は散乱されて失われ、散乱されにくい赤い光が多く残って届くから
空の青と夕焼けの赤は、どちらも「波長の短い光ほど散乱されやすい」という同じ性質で説明できる。
5. 偏光
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
光は横波なので、進む向きに垂直な面の中で振動しています。振動の方向がそろっているかどうかで、自然光と偏光を区別します。
自然光と偏光の違いは?
自然光は、進む向きに垂直ないろいろな方向の振動を含む光。偏光は、振動の方向が特定の 1 つの方向にかたよった光
太陽や電球の光は自然光。自然光を偏光板に通すと、偏光板の軸の方向に振動する光だけが通りぬけて、偏光になる。
2 枚の偏光板を重ねて自然光を通し、片方を回していく。透過する光の明るさはどう変わるか?
2 枚の軸の方向が平行のとき最も明るく、垂直()のとき最も暗くなる
1 枚目を通った光は 1 つの方向にだけ振動している。2 枚目の軸がそれと垂直だと、通れる振動の成分が無い。
光が縦波でなく横波であることは、どんな現象から分かるか?
偏光の現象から分かる。偏光板 2 枚の軸を垂直にすると、光がさえぎられる
縦波は進む向きに振動するので、進む向きのまわりに偏光板を回しても、通り方は変わらないはずである。回すと明るさが変わるのは、進む向きに垂直な方向に振動しているからである。
自然光を 1 枚の偏光板に通し、その偏光板を回していく。透過する光の明るさは変わるか?
変わらない
自然光はどの方向の振動も同じように含むので、軸をどちらに向けても、通りぬける量は同じ。これに対して、水面やガラス面で反射した光は偏光しているので、偏光板を回すと明るさが変わる。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物理-(2)-ア-(ウ)-㋐
以下、真空中の光の速さを とします。
問 1 可視光線の波長の範囲を から とする。(1) 波長 の紫の光の振動数を求めよ。(2) 波長 の赤の光の振動数を求めよ。
(1) (2)
方針 真空中の光は、波長によらず同じ速さ で進む。波の基本式 から で求める。
- を振動数について解くと
- (1) 値を入れると、
- (2) 値を入れると、
- 波長の短い紫のほうが、振動数は大きい。
問 2 あるガラスの屈折率は、赤い光に対して 、紫の光に対して である。赤と紫の光を、空気中からこのガラスの平らな面へ、同じ入射角 で入射させた。(1) ガラス中で速いのは、どちらの光か。(2) 屈折角が小さい(進む向きが大きく変わる)のは、どちらの光か。、空気の屈折率を とする。
(1) 赤 (2) 紫
方針 速さは なので、屈折率の小さいほうが速い。屈折角は、屈折の法則 から、屈折率の大きいほうが小さい。
- (1) で は共通。分母の が小さい赤()のほうが、 は大きい。
- (2) 屈折の法則から
- 赤は 、紫は
- 正弦が小さい紫のほうが、屈折角 は小さい。
- 入射角はどちらも なので、屈折角が小さい紫のほうが、進む向きが大きく変わっている。
ここで間違えやすい 「屈折角が小さい」を「あまり曲がらない」と読んでしまうこと。空気からガラスへ入るときは、屈折角が小さいほど、もとの進む向きから大きくそれている。
問 3 2 枚の偏光板 A、B を重ね、A の側から自然光を当てて、B を通りぬけた光を見る。(1) A と B の軸の方向が平行のときと垂直のときとで、どちらが暗いか。(2) (1) で暗くなる理由を、A を通ったあとの光の振動の方向を使って説明せよ。(3) もし光が縦波だったら、B を回したときに明るさは変わるか。
(1) 垂直のとき (2) A を通った光は A の軸の方向にだけ振動している。B の軸がそれと垂直なので、B を通れる振動の成分が無い (3) 変わらない
方針 偏光板は、軸の方向の振動だけを通す。1 枚目で振動の方向を 1 つにそろえ、2 枚目でその方向の振動が通れるかどうかを考える。
- 自然光はいろいろな方向の振動を含む。A を通ると、A の軸の方向の振動だけが残る(偏光になる)。
- B の軸が A の軸と平行なら、この振動はそのまま B を通る。明るい。
- B の軸が A の軸と垂直なら、この振動は B の軸の方向の成分を持たないので、通れない。暗い。
- (3) 縦波は進む向きに振動する。B を回しても、進む向きと B との関係は変わらないので、明るさは変わらない。
- 実際には明るさが変わるので、光は進む向きに垂直な方向に振動する横波だと分かる。