ブリッジ回路と測定
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理 (3) ア (ア) ㋓「電気回路に関する実験などを行い,電気回路における基本的な法則を理解すること。」。
0. どういうまとまりか
抵抗値を精密に測るための回路が、ホイートストンブリッジです。
電流計と電圧計で電流と電圧を測って割り算する方法では、計器の内部抵抗のために値がずれます。ブリッジ回路は「電流が流れない」ことだけを確かめるので、そのずれがありません。
このノートでは、回路を次のように呼びます。
- 点 と点 のあいだに、2 本の道が並列につながっている
- 一方の道は、 から点 までが抵抗 、 から までが抵抗
- もう一方の道は、 から点 までが抵抗 、 から までが抵抗
- と のあいだを検流計(わずかな電流を検出する計器)でつなぐ。電池は と につなぐ( が正極の側)
| 条件・式 | 意味 | |
|---|---|---|
| ブリッジのつり合い | 検流計に電流が流れない | と が等電位 |
| つり合いの条件 | 2 本の道で、抵抗の比が同じ | |
| 同じ条件の別の形 | 向かい合う位置の抵抗の積が等しい | |
| メートルブリッジ | 抵抗線の抵抗は長さに比例する |
分かれ目は次の 3 つ。
- 「検流計に電流が流れない」は「検流計の両端が等電位」と同じこと。ここからつり合いの条件が出る
- つり合いの条件は、向かい合う位置の抵抗の積が等しいと覚えると、抵抗の名前の付け方が変わっても使える
- つり合っているときは、検流計の枝を無いものとして扱える。つり合っていないときは、 と の電位を比べて電流の向きを決める
1. ホイートストンブリッジ
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓
4 つの抵抗のうち 3 つの値が分かっていれば、検流計の電流が 0 になるように調整することで、残りの 1 つの抵抗値が求められます。
ホイートストンブリッジとは、何をするための回路か?
抵抗値の分からない抵抗の値を、抵抗値の分かっている抵抗と比べて、精密に求めるための回路
4 つの抵抗を 2 個ずつ直列にした 2 本の道を並列にし、それぞれの道の中間の点どうしを検流計でつなぐ。
ブリッジ回路で、検流計に電流が流れないとき、検流計の両端の 2 点の電位はどうなっているか?
等しい(等電位)
電流は電位の高いほうから低いほうへ流れる。電位差が無ければ流れない。このときブリッジは「つり合っている」という。
ホイートストンブリッジ( と のあいだが 、 と のあいだが 、 と のあいだが 、 と のあいだが 、検流計は と のあいだ)がつり合う条件は?
2 本の道で、 の側の抵抗と の側の抵抗の比が等しい。電池の電圧は式に入っていない。
ホイートストンブリッジのつり合いの条件は、どう導かれるか?
検流計に電流が流れないので、 と に同じ電流 、 と に同じ電流 が流れる。 と が等電位なので と 。辺々を割る
1 つ目の式は「 から までの電圧降下 = から までの電圧降下」、2 つ目は の側の同じ関係である。
ホイートストンブリッジのつり合いの条件を、4 つの抵抗の位置で言い表すと?
検流計をはさんで向かい合う位置にある抵抗の積が等しい()
の分母をはらった形。 と 、 と が、それぞれ向かい合う位置(となり合わない位置)にある。
つり合っているブリッジ回路で、全体の合成抵抗や電流を求めるとき、検流計の枝はどう扱えばよいか?
無いものとして扱ってよい(取りはずしても、導線でつないでも、電流の流れ方は変わらない)
検流計の両端が等電位で、電流が流れていないから。残りは「直列 2 個の道が 2 本、並列になった回路」として解ける。
ホイートストンブリッジによる抵抗値の測定が、電流計と電圧計で測って割り算する方法より精密なのはなぜか?
検流計の電流が 0 になることだけを確かめるので、計器の内部抵抗の影響を受けないから。電池の電圧が変わっても、つり合いの条件は変わらない
電流計と電圧計を使う方法では、計器をつないだことで回路が変わり、どうしても値がずれる。
2. メートルブリッジ
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓
ホイートストンブリッジの一方の道を、1 本の一様な抵抗線に置きかえたものが、メートルブリッジです。接点をすべらせるだけで、抵抗の比を連続的に変えられます。
メートルブリッジとは、どんなつくりの回路か?
長さ の一様な抵抗線の両端に、抵抗値の分かっている抵抗と測りたい抵抗を直列にしたものを並列につなぎ、2 つの抵抗の接続点と、抵抗線の上をすべらせる接点とを検流計でつないだ回路
ホイートストンブリッジの と を、接点で 2 つに分けた抵抗線に置きかえたもの。接点を動かして、検流計の電流が 0 になる位置を探す。
メートルブリッジで、抵抗値の分かっている抵抗 が抵抗線の端 の側、測りたい抵抗 が端 の側にある。検流計の電流が 0 になったとき、接点は から 、 から の位置にあった。 は?
一様な抵抗線の抵抗は長さに比例するので、抵抗線の 2 つの部分の抵抗の比は 。つり合いの条件 から求める。
3. つり合っていないブリッジ回路
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓
つり合いの条件をみたさないブリッジ回路では、検流計に電流が流れます。向きは、検流計の両端の電位を比べれば分かります。
つり合っていないブリッジ回路で、検流計に流れる電流の向きは、どうやって判断するか?
検流計をはずした状態で、両端の 2 点の電位をそれぞれ求めて比べる。検流計をつなぐと、電位の高い点から低い点へ向かって電流が流れる
電位は、電池の負極の側の点()を基準()にして、そこまでの抵抗にかかる電圧として求めるとよい。
ブリッジ回路で、検流計をはずしたときの点 の電位( を基準)は、 と のあいだの電圧 を使ってどう表せるか?
と は直列なので、電圧 は抵抗の比に分かれてかかる。 の電位は、 の側の抵抗 にかかる電圧に等しい。 の電位も同じ形で 。
つり合っていないブリッジ回路で、検流計に流れる電流の大きさまで求めたいときは、どうするか?
キルヒホッフの法則を使う。各枝の電流を文字でおき、分岐点で第 1 法則、閉じた経路で第 2 法則の式を立てて、連立方程式を解く
つり合っていないブリッジ回路は、直列と並列の組み合わせに分けられないので、合成抵抗では解けない。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物理-(3)-ア-(ア)-㋓
以下、電池の内部抵抗は無視し、回路の点と抵抗の名前は「0. どういうまとまりか」の呼び方に合わせます。
問 1 ホイートストンブリッジで、、、 とし、 に抵抗値の分からない抵抗をつないだところ、検流計に電流が流れなかった。 の抵抗値を求めよ。
方針 検流計に電流が流れないので、ブリッジはつり合っている。つり合いの条件 を について解く。
- つり合いの条件は
- 分母をはらうと なので、
- 値を入れると、
- 確かめ。 は 、 は で、どちらも になる
問 2 ブリッジ回路で、、、、 とし、 と のあいだに起電力 の電池をつないだ。(1) 検流計に電流が流れないことを確かめよ。(2) 電池から流れ出る電流を求めよ。
(1) と がどちらも で等しいので、つり合っている (2)
方針 まず、つり合いの条件をみたすかを確かめる。つり合っていれば、検流計の枝を無いものとしてよいので、「 と の直列」と「 と の直列」が並列になった回路として解ける。
- (1) は
- は 。等しいので、つり合っていて、検流計に電流は流れない
- (2) を通る道の抵抗は なので、この道の電流は
- を通る道の抵抗は なので、この道の電流は
- 電池から流れ出る電流は 2 本の道の電流の和で、
- 確かめ。 から までの電圧降下は 、 から までの電圧降下は で、 と は等電位になっている
問 3 長さ の一様な抵抗線 を使ったメートルブリッジがある。 の抵抗を の側に、抵抗値の分からない抵抗 を の側につないで、接点を動かしたところ、 から の位置で検流計の電流が 0 になった。(1) を求めよ。(2) 2 つの抵抗の位置を入れかえると、検流計の電流が 0 になる接点の位置は、 から何 になるか。
(1) (2)
方針 抵抗線の抵抗は長さに比例するので、接点で分けた 2 つの部分の抵抗の比は、長さの比と同じになる。つり合いの条件に、抵抗の比の代わりに長さの比を入れる。
- 接点から までの長さは、
- (1) つり合いの条件は
- について解くと、
- (2) 入れかえると、 の側が 、 の側が になる。接点の位置を から とすると、つり合いの条件は
- 分母をはらうと なので、
- を計算して、
ここで間違えやすい と、長さの比を逆に掛けてしまうこと。 は長いほう()の側にあるので、 より大きくなるはずである。
問 4 ブリッジ回路で、、、、 とし、 と のあいだに起電力 の電池をつないだ( が正極の側)。はじめ、検流計ははずしてある。(1) を電位の基準として、 と の電位をそれぞれ求めよ。(2) と のあいだに検流計をつなぐと、電流はどちら向きに流れるか。
(1) は 、 は (2) から へ向かう向き
方針 検流計をはずしてあるので、2 本の道はそれぞれ単なる直列回路である。道ごとに電流を求め、 の側の抵抗にかかる電圧を出せば、それが や の電位になる。電流は、電位の高い点から低い点へ流れる。
- つり合いの条件を確かめると、 は 、 は で等しくない。このブリッジはつり合っていない
- (1) を通る道の抵抗は なので、電流は
- の電位は にかかる電圧に等しく、
- を通る道の抵抗は なので、電流は
- の電位は にかかる電圧に等しく、
- (2) のほうが より電位が高いので、検流計には から へ向かう電流が流れる
ここで間違えやすい の電位を、 の側の抵抗 にかかる電圧()としてしまうこと。基準の から数えるので、 の側の抵抗にかかる電圧を使う。
【発展】電池の起電力を、電流を流さずに測るにはどうするか(電位差計)
一様な抵抗線に一定の電流を流しておき、測りたい電池を検流計とともに抵抗線の一部につないで、検流計の電流が 0 になる長さを探す。起電力の分かっている電池でも同じことをして、長さの比から求める()
電圧計で電池の両極の電圧を測ると、電圧計にわずかな電流が流れるので、測れるのは端子電圧で、起電力より少し小さくなります。電位差計では、抵抗線の一部(長さ )にかかる電圧と電池の起電力がちょうど等しくなったとき、検流計の電流が 0 になります。このとき電池には電流が流れていないので、内部抵抗での電圧降下が無く、起電力そのものと比べていることになります。抵抗線にかかる電圧は長さに比例するので、起電力 の分かっている電池で長さ 、測りたい電池で長さ のときにそれぞれ電流が 0 になったとすると、 です。たとえば が 、 が 、 が なら、 です。