電流と電気抵抗
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理基礎 (2) ア (ウ) ㋐「電気抵抗に関する実験などを行い,同じ物質からなる導体でも長さや断面積によって電気抵抗が異なることを見いだして理解すること。また,物質によって抵抗率が異なることを理解すること。」。
0. どういうまとまりか
金属の中には、原子から離れて自由に動き回れる電子(自由電子)がたくさんあります。金属の導線に電圧をかけると自由電子がいっせいに移動し、これが電流になります。
電流の流れにくさを表すのが抵抗で、同じ物質でも導線が長いほど大きく、太いほど小さくなります。
形によらない、物質そのものの流れにくさを表すのが抵抗率です。
| 知りたいもの | 式 | 文字の意味 |
|---|---|---|
| 電流の大きさ | 時間 の間に断面を通過する電気量が | |
| オームの法則 | 電圧 、抵抗 、電流 | |
| 導線の抵抗 | 抵抗率 、長さ 、断面積 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 電流の向きと、自由電子が動く向きは逆。電流の向きは「正の電気が動く向き」と決めてあり、電子は負の電気をもつ
- 抵抗は長さに比例し、断面積に反比例する。長さ 2 倍なら抵抗 2 倍、断面積 2 倍なら抵抗は半分
- 抵抗は「その導線」の量、抵抗率は「その物質」の量。導線を切ったり太さを変えたりして変わるのは抵抗で、抵抗率は変わらない
1. 電流と自由電子
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋐
電流は電気を帯びた粒子の流れです。金属の導線の中で実際に動いているのは、負の電気をもつ自由電子です。
金属の中を流れる電流の正体は何か?
自由電子の流れ
金属の原子は一部の電子を手放して陽イオンになっていて、手放された電子(自由電子)が金属全体を動き回っている。電圧をかけると、自由電子が全体として一方向へ移動する。
電流の向きと、自由電子が移動する向きの関係は?
逆向き。電流の向きは正の電気が移動する向きと決められていて、負の電気をもつ自由電子はその反対向きに移動する
電流は電池の正極から出て負極へ向かう。自由電子は負極の側から正極の側へ移動している。
電流の大きさ は、どう定義されるか? 単位は?
導線の断面を 1 秒間に通過する電気量。時間 の間に電気量 が通過するとき 。単位はアンペア()
電気量の単位はクーロン()で、 は 1 秒間に が通過する電流。式を変形すると 。
電子 1 個がもつ電気量の大きさを何というか? およそいくらか?
電気素量。約
記号は 。電子の電気量は (負)。断面を通過した電気量 を で割ると、通過した電子の個数になる。
2. オームの法則
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋐
導体に流れる電流は、両端にかけた電圧に比例します。その比例のしかたを決めているのが抵抗です。
オームの法則とは? 式で書け。
導体を流れる電流 は、両端にかけた電圧 に比例する。抵抗を として
、 と変形して使う。同じ電圧なら、抵抗が大きいほど電流は小さい。
抵抗(電気抵抗)とは何を表す量か? 単位は?
電流の流れにくさを表す量。単位はオーム()
の電圧をかけたとき の電流が流れる導体の抵抗が 。
金属に抵抗があるのは、自由電子の動きから見るとなぜか?
移動する自由電子が、熱運動(振動)している金属の陽イオンに衝突して、進むのを妨げられるから
衝突によって自由電子のエネルギーが陽イオンの熱運動に渡されるので、電流を流すと導線が温まる(ジュール熱)。
3. 抵抗と抵抗率
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋐
同じ物質でできた導線でも、長さと太さが変われば抵抗は変わります。長いほど自由電子が衝突する回数が増え、太いほど通り道が広くなるからです。
抵抗率 の物質でできた、長さ 、断面積 の導線の抵抗 は?
抵抗は長さ に比例し、断面積 に反比例する。比例定数 が抵抗率。
同じ物質の導線で、長さを 2 倍にすると抵抗は何倍か? 断面積を 2 倍にすると何倍か?
長さを 2 倍にすると 2 倍。断面積を 2 倍にすると 倍
長さ 2 倍は同じ導線 2 本を直列につないだのと同じ、断面積 2 倍は 2 本を並列に束ねたのと同じと考えられる。
抵抗率とは? 単位は? 何によって決まるか?
長さ 、断面積 あたりの抵抗にあたる量で、物質そのものの電流の流れにくさを表す。単位は 。物質の種類によって決まる
銅は約 、ニクロムは約 。銅のように抵抗率の小さい物質が導線に、ニクロムのように大きい物質が電熱線に使われる。
1 本の導線を半分の長さに切った。変わるのは抵抗か、抵抗率か?
抵抗(半分になる)。抵抗率は変わらない
抵抗は導線の形(長さ・断面積)で変わる量。抵抗率は物質で決まる量なので、同じ物質であるかぎり形を変えても変わらない。
4. 導体・半導体・絶縁体
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋐
物質は、電気の通しやすさによって大きく 3 つに分けられます。
| 区分 | 電気の通しやすさ | 例 |
|---|---|---|
| 導体 | 通しやすい(抵抗率が小さい) | 銅、アルミニウム、鉄などの金属 |
| 半導体 | 導体と絶縁体の中間 | ケイ素(シリコン)、ゲルマニウム |
| 絶縁体(不導体) | ほとんど通さない(抵抗率が非常に大きい) | ガラス、ゴム、プラスチック |
導体と絶縁体(不導体)の違いは、何の違いによるか?
自由に動ける電子(自由電子)があるかどうか。導体には自由電子が多くあり、絶縁体にはほとんどない
絶縁体では、電子が原子に強く結びつけられていて動けない。導線を被覆するビニルやゴムは絶縁体。
半導体とは? 例と利用を挙げよ。
電気の通しやすさ(抵抗率)が、導体と絶縁体の中間の物質。ケイ素(シリコン)やゲルマニウム。ダイオード、トランジスタ、集積回路、太陽電池、発光ダイオード(LED)などに利用される
わずかな不純物を混ぜたり、光や熱を当てたりすると、電気の通しやすさが大きく変わる。この性質が電子部品に使われる。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋐
問 1 導線のある断面を、 の間に の電気量が通過した。(1) 電流の大きさを求めよ。(2) この間に断面を通過した自由電子の個数を求めよ。電気素量を とする。
(1) (2) 個
方針 電流は 1 秒あたりに通過する電気量なので 。電子の個数は、通過した電気量を電子 1 個の電気量の大きさで割る。
- (1) に 、 を入れる
- (2) 電子 1 個の電気量の大きさは なので、個数は
- なので、個数は 個
ここで間違えやすい で割ると、指数は になる。負の指数のまま 個と書かない(1 個より少なくなってしまう)。
問 2 ある抵抗に の電圧をかけると、 の電流が流れた。(1) この抵抗の抵抗値を求めよ。(2) かける電圧を にすると、流れる電流はいくらになるか。
(1) (2)
方針 オームの法則 を、(1) では について、(2) では について解いて使う。抵抗値は電圧を変えても変わらない。
- (1) を について解くと、
- (2) を について解くと、
- 確かめ: 電圧が 倍になったので、電流も で合っている
問 3 抵抗率 のニクロムでできた、長さ 、断面積 の導線の抵抗を求めよ。
方針 抵抗率・長さ・断面積が分かっているので、 にそのまま入れる。10 の累乗は、数の部分と分けて計算する。
- に 、、 を入れる
- 数の部分は
- 10 の累乗の部分は
ここで間違えやすい を で割ると、指数は で になる。 や にしない。
問 4 抵抗が の導線がある。同じ物質で、長さが 3 倍、断面積が 2 倍の導線をつくると、抵抗は何 になるか。
方針 抵抗率は同じなので、 から「抵抗は長さに比例し、断面積に反比例する」ことだけを使う。何倍になるかを先に出す。
- 長さが 3 倍になると、抵抗は 3 倍になる
- 断面積が 2 倍になると、抵抗は 倍になる
- 合わせると、抵抗は 倍になる
- 新しい導線の抵抗は、
ここで間違えやすい 長さも断面積も大きくなったので 倍、としてしまうこと。断面積は分母にあるので、割るほうに入る。
問 5 長さ 、断面積 の金属線の両端に の電圧をかけると、 の電流が流れた。この金属の抵抗率を求めよ。
方針 2 つの式をつなぐ。まずオームの法則で金属線の抵抗 を求め、次に を について解いて抵抗率を出す。
- オームの法則から、
- の両辺に をかけて で割ると、
- なので、
ここで間違えやすい 求めた を答えにしてしまうこと。問われているのは抵抗ではなく抵抗率。単位が になっているかを確かめる。