抵抗の接続と電力
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理基礎 (2) ア (ウ) ㋑「発電,送電及び電気の利用について,基本的な仕組みを理解すること。」。このノートは「電気の利用」の土台になる、回路のつなぎ方と電気エネルギーの量を扱います。
0. どういうまとまりか
家庭の電気器具は、電気エネルギーを熱・光・運動などに変えて使っています。どれだけのエネルギーを使うかは、器具にかかる電圧と流れる電流で決まります。
器具(抵抗)が 2 つ以上あるときは、つなぎ方によって電圧と電流の分かれ方が変わります。直列では電流が共通、並列では電圧が共通です。
| 直列接続 | 並列接続 | |
|---|---|---|
| 共通なもの | 電流 | 電圧 |
| 和になるもの | 電圧() | 電流() |
| 合成抵抗 | ||
| 合成抵抗の大きさ | どの抵抗よりも大きい | どの抵抗よりも小さい |
| 知りたいもの | 式 | 単位 |
|---|---|---|
| ジュール熱 | ||
| 電力 | ||
| 電力量 | 、、 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 直列は電流が共通、並列は電圧が共通。式を立てる前に、どちらが共通かを先に決める
- 並列の合成抵抗は、逆数の和を出したあと、もう一度逆数にする。 の値をそのまま答えにしない
- 電力の式は、共通なものが入った形を選ぶ。直列なら (電流が共通)、並列なら (電圧が共通)
1. 直列接続
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑
抵抗を一列につなぐのが直列接続です。電流の通り道が 1 本しかないので、どの抵抗にも同じ電流が流れます。
抵抗 と を直列につないだときの合成抵抗 は?
合成抵抗は、複数の抵抗を同じはたらきをする 1 つの抵抗に置きかえたときの抵抗値。直列では抵抗値をそのまま足す。3 つ以上でも同じように足す。
直列接続で、各抵抗に共通なのは電流か電圧か? 共通でないほうは、どういう関係になるか?
電流が共通。電圧は各抵抗にかかる電圧の和が全体の電圧になる()
、 で が同じなので、電圧は抵抗値の比に分かれる。抵抗の大きいほうに大きい電圧がかかる。
2. 並列接続
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑
抵抗の両端をそれぞれまとめてつなぐのが並列接続です。どの抵抗も同じ 2 点につながっているので、同じ電圧がかかります。家庭の電気器具は並列につながれています。
抵抗 と を並列につないだときの合成抵抗 は?
逆数の和が、合成抵抗の逆数になる。右辺を計算したあと、逆数をとって にするのを忘れない。
並列接続で、各抵抗に共通なのは電流か電圧か? 共通でないほうは、どういう関係になるか?
電圧が共通。電流は各抵抗を流れる電流の和が全体の電流になる()
、 で が同じなので、電流は抵抗値の逆の比に分かれる。抵抗の小さいほうに大きい電流が流れる。
2 つの抵抗の合成抵抗は、もとの抵抗と比べて大きいか小さいか? 直列と並列のそれぞれで答えよ。
直列では、どちらの抵抗よりも大きくなる。並列では、どちらの抵抗よりも小さくなる
直列は導線を長くしたのと同じ、並列は導線を太くしたのと同じ。並列の合成抵抗が、小さいほうの抵抗より大きくなったら計算違い。
抵抗 と の並列の合成抵抗を、逆数を使わずに直接求める式は?
(積 ÷ 和)
の右辺を通分して逆数にしたもの。抵抗が 2 つのときにだけ使える。3 つ以上のときは逆数の和に戻る。
直列と並列が混ざった回路の合成抵抗や電流は、どういう順に求めるか?
並列になっている部分を先に 1 つの合成抵抗にまとめ、全体を直列として合成する。全体の電流を出してから、各部分の電圧と電流に戻る
「内側からまとめて、外側からほどく」。まとめた並列部分にかかる電圧が分かれば、その中の各抵抗の電流はオームの法則で出せる。
3. ジュール熱と電力
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑
抵抗に電流が流れると熱が発生します。電熱器はこの熱を利用し、送電線ではこの熱がエネルギーの損失になります。
ジュール熱とは? 抵抗に電圧 をかけて電流 を時間 だけ流したときに発生する熱量は?
抵抗に電流が流れるときに発生する熱。(ジュールの法則)
オームの法則 を使うと、 とも書ける。単位は 。
電力とは? 式と単位は?
電流が 1 秒あたりにする仕事(1 秒あたりに消費される電気エネルギー)。。単位はワット()
は 。力学の仕事率と同じ単位で、同じ意味をもつ。「100 V 用 500 W」の器具は、 で使うと 1 秒あたり を消費する。
電力を抵抗 を使って表す 2 つの式は? どう使い分けるか?
と 。電流が共通の直列では 、電圧が共通の並列では を使う
直列では抵抗の大きいほうが消費電力が大きく、並列では抵抗の小さいほうが消費電力が大きい。つなぎ方で大小が逆になる。
電力量とは? 式と単位は?
電流がある時間にした仕事の総量(消費された電気エネルギーの総量)。。単位は
電力に時間をかけたもの。抵抗で消費された電力量は、すべてジュール熱になる。
(キロワット時)とは? 何 か?
の電力を 1 時間使ったときの電力量。
は 、1 時間は なので、 で 。電気料金の計算に使われる単位。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑
問 1 の抵抗と の抵抗を直列につなぎ、両端に の電圧をかけた。回路を流れる電流と、それぞれの抵抗にかかる電圧を求めよ。
電流 。 の抵抗に 、 の抵抗に
方針 直列なので電流が共通。まず合成抵抗を求めて全体の電流を出し、その電流を使って各抵抗の電圧をオームの法則で求める。
- 合成抵抗は
- 全体の電流は、オームの法則から
- の抵抗にかかる電圧は、
- の抵抗にかかる電圧は、
- 確かめ: で、全体の電圧と合っている
ここで間違えやすい それぞれの抵抗に がかかるとして電流を別々に計算してしまうこと。直列では電圧は分かれ、電流が共通になる。
問 2 の抵抗と の抵抗を並列につなぎ、両端に の電圧をかけた。合成抵抗と、回路全体を流れる電流を求めよ。
合成抵抗 、全体の電流
方針 並列なので電圧が共通。合成抵抗は逆数の和から求める。全体の電流は、各抵抗の電流を足しても、合成抵抗から求めても同じになるので、両方で確かめる。
- 合成抵抗を とすると、
- 通分すると、
- 逆数をとって、
- の抵抗を流れる電流は 、 の抵抗を流れる電流は
- 全体の電流は、
- 確かめ: 合成抵抗から求めても、 で同じになる
ここで間違えやすい 2. の をそのまま合成抵抗としてしまうこと。合成抵抗は 2 つの抵抗のどちらよりも小さい になる。
問 3 と の抵抗を並列につないだものに、 の抵抗を直列につなぎ、全体に の電圧をかけた。 の抵抗を流れる電流と、 の抵抗を流れる電流を求めよ。
の抵抗に 、 の抵抗に
方針 並列部分を先に 1 つの抵抗にまとめ、全体を直列として電流を出す。 の抵抗には全体の電流が流れる。次に並列部分にかかる電圧を出し、 の抵抗の電流に戻る。
- 並列部分の合成抵抗は、積 ÷ 和で
- 全体の合成抵抗は、
- 全体の電流は 。これが の抵抗を流れる電流
- 並列部分にかかる電圧は、
- の抵抗を流れる電流は、
- 確かめ: の抵抗の電流は で、 となり全体の電流と合っている
ここで間違えやすい の抵抗に がかかるとしてしまうこと。 の抵抗で が使われるので、並列部分にかかるのは残りの 。
問 4 「100 V 用 500 W」と表示された電熱器を の電源につないで使う。(1) 流れる電流、(2) 電熱器の抵抗、(3) 30 分間使ったときの電力量を と の両方で求めよ。
(1) (2) (3) 、
方針 表示は「 で使うと を消費する」という意味。電流は から、抵抗はオームの法則から求める。電力量は で、時間の単位を なら時間、 なら秒にそろえる。
- (1) を について解くと なので、
- (2) オームの法則から なので、
- (3) は 、30 分は 時間なので、電力量は
- 30 分を秒に直すと、
- で表すと、 で
- 確かめ: は なので、 で 5. と合っている
ここで間違えやすい 時間を分のまま としてしまうこと。 は なので、 を求めるときは時間を秒に直す。
問 5 抵抗が の電熱線に の電圧をかけ、水 の中に入れて 7 分間電流を流した。発生したジュール熱がすべて水の温度上昇に使われたとすると、水の温度は何 上がるか。水の比熱を とする。
方針 電熱線で発生したジュール熱 が、水の得た熱量 に等しい。先に電流を出してジュール熱を求め、それを水の熱容量で割る。
- 電熱線を流れる電流は、オームの法則から
- 7 分を秒に直すと、
- ジュール熱は から、
- 水 の熱容量は、
- 温度上昇は、
ここで間違えやすい 時間を 7 のまま入れて としてしまうこと。 の は秒で入れる。