みならいノート

物理基礎 2027年度版

交流と電磁波

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理基礎 (2) ア (ウ) ㋑「発電,送電及び電気の利用について,基本的な仕組みを理解すること。」。

0. どういうまとまりか

発電所の発電機がつくるのは、向きが周期的に入れかわる交流です。交流は変圧器で電圧を簡単に変えられるので、高い電圧にして送電し、使う場所の近くで電圧を下げています。
一方、電池や太陽電池がつくるのは、向きの変わらない直流です。電子機器の多くは直流で動くので、コンセントの交流を直流に変換して使っています。
電気の振動は電磁波として空間を伝わり、通信・加熱・医療など広く利用されています。

知りたいもの 式・内容 補足
周波数と周期 周波数 、周期
変圧器の電圧 電圧の比は巻数の比に等しい
理想的な変圧器の電力 電圧を上げると電流は小さくなる
送電線での電力の損失 は送電線を流れる電流、 は送電線の抵抗
電磁波の速さ 、 真空中ではどの電磁波も同じ速さ

分かれ目は次の 3 つ。

1. 発電と交流

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑

コイルの近くで磁石を動かすと、コイルに電圧が生じて電流が流れます(電磁誘導)。発電機はこれを連続して起こす装置です。

発電機は、どういう仕組みで電気をつくるか?

磁界の中でコイルを回転させる(またはコイルの近くで磁石を回転させる)と、コイルを貫く磁界が変化し、電磁誘導によってコイルに電圧が生じる

回転させる運動エネルギーが電気エネルギーに変わる。火力・水力・原子力・風力の発電所は、タービンや水車で発電機を回している点で共通している。

直流と交流の違いは? それぞれの電源の例を挙げよ。

直流は電流の向きが一定。交流は電流の向きと大きさが周期的に変わる。直流の例は乾電池・蓄電池・太陽電池、交流の例は発電所の発電機と家庭のコンセント

発電機のコイルが半回転するたびに電圧の向きが入れかわるので、発電機がつくる電気は交流になる。直流は DC、交流は AC と表す。

交流の周波数とは? 単位は? 周期 との関係は?

電流の向きと大きさの周期的な変化が、1 秒あたりに繰り返される回数(行って戻る 1 往復を 1 回と数える)。単位はヘルツ()。

波の振動数と周期の関係と同じ。向きが入れかわる回数は、1 往復に 2 回なので周波数の 2 倍になる。家庭用の交流の周波数は、東日本で 、西日本で 。

家庭用のコンセントの電圧「」は、交流の何という値か?

実効値(同じ抵抗につないだとき、同じ電力を消費する直流の電圧に置きかえた値)

交流の電圧は時々刻々変わり、最大値は より大きい。実効値を使えば、電力の式 を直流と同じように使える。

2. 変圧と送電

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑

発電所から家庭までの長い送電線にも抵抗があり、電流が流れるとジュール熱が発生してエネルギーが失われます。この損失を減らす工夫が高電圧での送電です。

変圧器とは? 一次コイルと二次コイルの電圧 、 と、巻数 、 の関係は?

共通の鉄心に 2 つのコイルを巻き、交流の電圧を変える装置。(電圧の比は巻数の比に等しい)

電源につなぐ側が一次コイル、電気を取り出す側が二次コイル。巻数の多い側の電圧が高い。

変圧器は直流の電圧を変えられるか? それはなぜか?

変えられない。直流では一次コイルがつくる磁界が変化せず、二次コイルに電磁誘導が起こらないから

交流は電流が絶えず変化するので、鉄心の中の磁界も絶えず変化し、二次コイルに交流の電圧が生じる。送電に交流が使われる理由の一つ。

変圧器でエネルギーの損失がないとき、一次側と二次側の電力の関係は? 電圧を高くすると電流はどうなるか?

電力は等しい()。電圧を高くすると、電流はその分だけ小さくなる

変圧器はエネルギーを増やす装置ではない。電圧を 10 倍にすると、電流は 倍になる。

発電所から電気を送るとき、電圧を高くして送るのはなぜか?

同じ電力を送るとき、電圧を高くすると電流が小さくなり、送電線で発生するジュール熱による損失 が小さくなるから

送る電力は なので、 を大きくすれば は小さくてすむ。損失は電流の 2 乗に比例するので、電圧を 10 倍にすると損失は 倍になる。

送電線での電力の損失を、送電電圧 と送電線の抵抗 から と計算してはいけないのはなぜか?

送電電圧 は送電線の両端にかかっている電圧ではないから。損失は、送電線を流れる電流 を先に求めて で計算する

送電電圧の大部分は、送電線の先にある変電所や家庭の側にかかる。送電線自身にかかる電圧は だけ。

3. 交流から直流への変換

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑

家庭に届くのは交流ですが、パソコンやスマートフォンなどの電子機器は直流で動きます。

整流とは? 何を使って行うか?

交流を直流に変換すること。一方向にだけ電流を流す性質をもつダイオード(半導体でできた素子)を使う

AC アダプターや充電器は、変圧器などで電圧を下げ、整流して直流にしている。逆に、太陽電池や蓄電池の直流を交流に変換して使うこともある。

4. 電磁波

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑

電気と磁気の振動が波として空間を伝わるのが電磁波です。光も電磁波の一種で、波長の違いによって呼び名と性質が変わります。

種類(波長の長い順) 主な利用
電波 ラジオ・テレビの放送、携帯電話、無線 LAN、電子レンジ(マイクロ波)、GPS
赤外線 リモコン、赤外線カメラ(サーモグラフィー)、暖房器具
可視光線 目に見える光。照明、光通信
紫外線 殺菌、蛍光灯の発光
X 線 X 線撮影(レントゲン)、空港の手荷物検査
γ 線 がんの放射線治療、医療器具の滅菌

電磁波とは? 真空中の速さは?

電界と磁界の振動が、波として空間を伝わるもの。真空中でも伝わり、速さは約 (光の速さ)

音波と違って、伝えるための物質(媒質)が要らない。速さ 、周波数 、波長 の間には、波の基本式と同じ が成り立つ。

電磁波を、波長の長いものから順に 6 種類挙げよ。

電波、赤外線、可視光線、紫外線、X 線、γ 線

真空中の速さはどれも同じなので、波長が短いものほど周波数は大きい。目に見えるのは可視光線だけで、赤い光の外側が赤外線、紫の光の外側が紫外線。

赤外線と紫外線は、それぞれどんな性質があり、何に利用されるか?

赤外線は物体を温めるはたらきが強く、リモコン・赤外線カメラ・暖房器具に利用される。紫外線は化学変化を起こすはたらきが強く、殺菌などに利用される

赤外線は可視光線より波長が長く、紫外線は可視光線より波長が短い。日焼けを起こすのは紫外線。

X 線と γ 線は、それぞれどんな性質があり、何に利用されるか?

どちらも波長が非常に短く、物質を透過しやすい。X 線は X 線撮影(レントゲン)や手荷物検査に、γ 線はがんの放射線治療や医療器具の滅菌に利用される

γ 線は原子核から出る電磁波で、放射線の一種。透過しやすい分、人体への影響もあるので、使う量を管理して利用する。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ウ)-㋑

問 1 一次コイルの巻数が 500 回、二次コイルの巻数が 50 回の変圧器がある。一次コイルに の交流電圧をかけた。(1) 二次コイルに生じる電圧を求めよ。(2) 二次コイルに の電流が流れているとき、一次コイルを流れる電流を求めよ。変圧器でのエネルギーの損失はないものとする。

(1)  (2)

方針 電圧は巻数の比 から求める。電流は、損失がなければ一次側と二次側の電力が等しいこと()から求める。

  1. (1) から、
  2. 巻数の比は なので、二次コイルの電圧は
  3. (2) 二次側の電力は、
  4. 一次側の電力も なので、
  5. 両辺を 100 で割ると、

ここで間違えやすい 電流も巻数の比のとおりに 倍になる、としてしまうこと。電圧が 倍になった二次側のほうが、電流は 10 倍大きい。

問 2 発電所から の電力を、抵抗が合わせて の送電線で送る。送電電圧が (1) のときと、(2) のときについて、送電線で失われる電力をそれぞれ求めよ。

(1)  (2)

方針 送る電力は なので、まず送電線を流れる電流 を求める。送電線での損失は、その電流を使って で計算する。

  1. (1) 送電線を流れる電流は、
  2. 損失は なので、 で
  3. (2) 送電線を流れる電流は、
  4. 損失は、
  5. 確かめ: 電圧を 10 倍にしたので電流は 倍、損失は 倍になるはず。 で合っている

ここで間違えやすい 損失を で計算すること。(1) で とすると になり、送っている電力より大きくなってしまう。

問 3 周波数 の交流について、(1) 周期を求めよ。(2) 電流の向きは 1 秒間に何回入れかわるか。

(1)  (2) 100 回

方針 周期は周波数の逆数()。交流は 1 周期の間に、向きが「行き」と「帰り」の 2 回入れかわることを使う。

  1. (1) を について解くと、
  2. (2) 1 秒間に 50 回の周期が繰り返される
  3. 1 周期の間に向きは 2 回入れかわるので、 回

ここで間違えやすい (2) を 50 回と答えてしまうこと。 は「1 秒間に 50 往復」という意味で、向きが変わる回数はその 2 倍。

問 4 周波数 の電波の、真空中での波長を求めよ。電磁波の速さを とする。

方針 電磁波にも波の基本式 が成り立つ。これを波長 について解いて数を入れる。10 の累乗は、数の部分と分けて計算する。

  1. の両辺を で割ると、
  2. 数の部分は 、10 の累乗の部分は

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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