みならいノート

物理基礎 2027年度版

複数の物体の運動方程式

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理基礎 (1) ア (イ) ㋒「物体に一定の力を加え続けたときの運動に関する実験などを行い,物体の質量,物体に働く力,物体に生じる加速度の関係を見いだして理解するとともに,運動の三法則を理解すること。」。

0. どういうまとまりか

糸でつながれた 2 つの物体や、くっついて押される 2 つの物体は、一緒に動きます。
このときも立て方は 1 つの物体のときと同じで、物体ごとに、その物体が受ける力だけで運動方程式を立てます。
式は物体の数だけでき、未知数(加速度と、物体のあいだの力)もちょうどその数だけあるので、連立して解けます。

2 つの物体 A(質量 )と B(質量 )について、場面ごとの式は次のとおりです(面はなめらか、糸と滑車は軽いものとする)。

場面 A の運動方程式 B の運動方程式 加速度の大きさ
水平面上で糸でつなぎ、A を力 で引く
水平面上で接して置き、A を力 で押す
A は水平な机の上、B は滑車を通してつるす
滑車の両側に A と B をつるす()

分かれ目は次の 3 つ。

1. 考え方の基本

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋒

物体が 2 つになっても、新しい法則は要りません。使うのは運動方程式と作用・反作用の法則だけです。

2 つの物体が一緒に動くとき、運動方程式はどう立てるか?

物体ごとに、その物体が受ける力を全部挙げ、物体ごとに運動方程式を立てる。できた式を連立して解く

物体のあいだで及ぼしあう力(張力や押しあう力)は、作用・反作用の関係で大きさが等しいので、同じ文字でおく。

軽い糸でつないだ 2 つの物体が、糸から受ける張力の大きさについて言えることは?

糸の両端で同じ大きさ

「軽い」は糸の質量を無視できるという意味。糸の質量が無視できれば、糸がどちらの物体を引く力も同じ大きさになる。

伸びない糸でつないだ 2 つの物体の加速度について言えることは?

加速度の大きさが等しい(糸がたるまないかぎり)

糸が伸びも縮みもしないので、2 つの物体は同じ時間に同じ距離だけ進む。速さの変わり方も同じになる。接して動く 2 つの物体も同じ。

2 つの物体を 1 つのかたまりとみて運動方程式を立てると、何が求まり、何が求まらないか?

加速度は求まる。物体のあいだで及ぼしあう力(張力や押しあう力)は求まらない

かたまりの中で及ぼしあう力は作用・反作用で打ち消しあい、式に出てこない。その力を知りたいときは、物体を 1 つだけ取り出して式を立てる。

2. 糸でつながれた 2 物体・接して押される 2 物体

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋒

なめらかな水平面上の 2 物体を考えます。外から加えた力を直接受けるのは、片方の物体だけです。

なめらかな水平面上で、A(質量 )と B(質量 )を軽い糸でつなぎ、A を水平に力 で引く。張力を 、加速度を として、それぞれの運動方程式は?

A:   B:

A は前から で引かれ、後ろから糸に で引かれる。B が水平方向に受ける力は糸の張力 だけ。

上の 2 式 、 から、加速度 と張力 を求めると?

、

2 式を足すと が消えて 。張力は後ろの B だけを加速する力なので、 より小さい。

なめらかな水平面上で、A(質量 )と B(質量 )を接して置き、A を B の側へ水平に力 で押す。押しあう力を 、加速度を として、それぞれの運動方程式は?

A:   B:

A は で押され、B から逆向きに で押し返される。B が水平方向に受ける力は、A から押される力 だけ。

接した 2 物体 A、B のうち A を力 で押すとき、B が A から受ける力の大きさは と等しいか?

等しくない。 より小さい()

は A が受ける力で、B には直接働かない。 のうち A 自身を加速するのに使われた残りが、B を押す力になる。

3. 滑車にかけた 2 物体

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋒

滑車を使うと、糸の向きが途中で変わります。2 つの物体は別々の向きに動くので、正の向きを物体ごとに決めます。

軽くてなめらかに回る滑車は、糸の張力に対してどんな働きをするか?

力の向きを変えるだけで、張力の大きさは変えない

滑車の両側で、糸の張力は同じ大きさ。だから滑車にかけた糸でつないだ 2 物体も、同じ文字 でおける。

滑車にかけた糸でつないだ 2 つの物体について、正の向きはどう決めるか?

物体ごとに、その物体が動く向きを正にとる(一方が下向きなら、もう一方は上向きや水平向き)

こうすると 2 つの物体の加速度を同じ文字 (同じ符号)でおける。向きは糸に沿ってひとつながりに決める、と考えてもよい。

なめらかな水平な机の上の A(質量 )に糸を付け、机の端の滑車を通して B(質量 )をつるす。張力を 、加速度を として、それぞれの運動方程式は?

A:   B:

A は水平方向に張力だけを受ける。B は鉛直下向きを正として、重力 が正、張力 が負。足すと 。

上の場合、B をつるしている糸の張力 は、B の重力 と比べてどうか? その理由は?

は より小さい。B が下向きに加速しているから

B の式 で なので 。張力が重力と等しくなるのは、B が静止または等速のときだけ。

天井からつるした滑車に糸をかけ、両端に A(質量 )と B(質量 )をつるす()。張力を 、加速度を として、それぞれの運動方程式は?

A(下向きを正):   B(上向きを正):

重い A が下がり、軽い B が上がる。2 式を足すと が消えて 。

滑車の両側に 2 つの物体をつるして動かすと、加速度の大きさは と比べてどうなるか?

より小さい

動かす力は重力の差 だけなのに、加速される質量は合計の だから。質量の差が小さいほど、ゆっくり加速する。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋒

以下、糸と滑車は軽く、滑車はなめらかに回るものとし、重力加速度の大きさを とします。

問 1 なめらかな水平面上に、質量 の物体 A と質量 の物体 B を糸でつないで置き、A を水平に の力で引いた。B は A の後ろを糸に引かれて動く。加速度の大きさと、糸の張力の大きさを求めよ。

加速度 、張力

方針 A と B のそれぞれについて、水平方向に受ける力を挙げて運動方程式を立てる。2 式を足すと張力が消えて、加速度が先に求まる。

  1. 引く向きを正とし、加速度を 、張力の大きさを とおく。
  2. A が水平方向に受ける力は、引く力(正の向き)と糸の張力(負の向き)。運動方程式は
  3. B が水平方向に受ける力は、糸の張力(正の向き)だけ。運動方程式は
  4. 2 式を足すと が消えて、
  5. よって加速度は
  6. B の式に入れると、張力は
  7. 確かめ: A の式の右辺は 、左辺は で合っている。

ここで間違えやすい B の式に引く力の を入れてしまうこと。 の力を受けているのは A だけである。

問 2 なめらかな水平面上に、質量 の物体 A と質量 の物体 B を接して置いた。(1) A を B の側へ水平に の力で押すとき、A と B が押しあう力の大きさを求めよ。(2) 逆に、B を A の側へ水平に の力で押すとき、押しあう力の大きさを求めよ。

(1)  (2)

方針 どちらの場合も 2 物体は一緒に動くので、加速度は全体の質量から決まる。押しあう力は、「外から押されていないほうの物体」だけを取り出して運動方程式を立てると、すぐに求まる。

  1. 2 物体を 1 つのかたまりとみると、質量は
  2. かたまりが水平方向に受ける力は押す力だけなので、加速度は 。これは (1) と (2) で共通。
  3. (1) B が水平方向に受ける力は、A から押される力だけ。B の運動方程式から、その大きさは
  4. (2) 今度は A が水平方向に受ける力が、B から押される力だけ。A の運動方程式から、その大きさは
  5. 確かめ: (1) の A について、合力は 、質量と加速度の積は で合っている。

ここで間違えやすい 押しあう力を と答えてしまうこと。押しあう力は、先にある物体を加速するのに必要なぶんだけで、先にある物体の質量が大きいほど大きい。

問 3 なめらかな水平な机の上に質量 の物体 A を置き、A に付けた糸を机の端の滑車にかけて、他端に質量 の物体 B をつるした。静かに手を離すと、A は机の上をすべり、B は下降した。加速度の大きさと、糸の張力の大きさを求めよ。

加速度 、張力

方針 A は水平に、B は鉛直下向きに動く。それぞれ動く向きを正にとると、同じ加速度 と同じ張力 で 2 つの式が立つ。

  1. A が動く向き(滑車の側)と、B が動く向き(鉛直下向き)をそれぞれ正とし、加速度を 、張力の大きさを とおく。
  2. A が水平方向に受ける力は張力だけ。運動方程式は
  3. B が受ける力は、重力(正の向き)と張力(負の向き)。重力の大きさは なので、運動方程式は
  4. 2 式を足すと が消えて、
  5. よって加速度は
  6. A の式に入れると、張力は

ここで間違えやすい 張力を B の重力と同じ としてしまうこと。B は下向きに加速しているので、張力は重力より小さい。

問 4 天井からつるした滑車に糸をかけ、一端に質量 の物体 A を、他端に質量 の物体 B をつるして、静かに手を離した。加速度の大きさと、糸の張力の大きさを求めよ。

加速度 、張力

方針 重い A が下がり、軽い B が上がる。A は下向き、B は上向きを正にとって、物体ごとに運動方程式を立てる。

  1. 加速度を 、張力の大きさを とおく。A の重力は 、B の重力は
  2. A(下向きを正)が受ける力は、重力(正の向き)と張力(負の向き)。運動方程式は
  3. B(上向きを正)が受ける力は、張力(正の向き)と重力(負の向き)。運動方程式は
  4. 2 式を足すと が消えて、。右辺は
  5. よって加速度は
  6. B の式から 。値を入れると、
  7. 確かめ: A の式から求めても、 で同じになる。

ここで間違えやすい 2 つの物体で正の向きを同じ(どちらも下向きなど)にして、加速度を同じ とおいてしまうこと。A と B は逆向きに動くので、正の向きも逆にとる。

問 5 質量 の物体 A の下に、糸で質量 の物体 B をつるし、A に付けた別の糸を鉛直上向きに の力で引いて、全体を引き上げた。加速度の大きさと、A と B をつなぐ糸の張力の大きさを求めよ。

加速度 、張力

方針 鉛直上向きを正として、A と B のそれぞれが受ける力を挙げる。A は「上の糸・重力・下の糸」の 3 つ、B は「下の糸・重力」の 2 つ。2 式を足すと、あいだの糸の張力が消える。

  1. 加速度を 、A と B をつなぐ糸の張力の大きさを とおく。A の重力は 、B の重力は
  2. A が受ける力は、上の糸が引く力(上向き、)、重力(下向き)、下の糸の張力(下向き)。運動方程式は
  3. B が受ける力は、糸の張力(上向き)と重力(下向き)。運動方程式は
  4. 2 式を足すと が消えて、。右辺は
  5. よって加速度は
  6. B の式から 。値を入れると、
  7. 確かめ: A の式の右辺は 、左辺は で合っている。

ここで間違えやすい A が受ける力から、下の糸の張力を落としてしまうこと。A は B を糸でつり下げているので、その糸から下向きに引かれている。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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