みならいノート

物理基礎 2027年度版

熱量と比熱

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理基礎 (2) ア (イ) ㋑「熱に関する実験などを行い,熱の移動及び熱と仕事の変換について理解すること。」。このノートは前半の「熱の移動」を扱います。

0. どういうまとまりか

同じ熱量を与えても、温度の上がり方は物体によって違います。その「温まりにくさ」を表すのが熱容量と比熱です。
熱容量は物体 1 個についての量、比熱は物質 についての量で、質量をかけると比熱から熱容量になります。
温度の違う物体をふれ合わせたときは、高温の物体が失った熱量と低温の物体が得た熱量が等しい(熱量の保存)ことから式を立てます。

知りたいもの 式 文字の意味
温度を変えるのに必要な熱量(熱容量から) は熱容量 、 は温度変化
温度を変えるのに必要な熱量(比熱から) は質量 、 は比熱
熱容量と比熱の関係 比熱に質量をかけると熱容量
熱量の保存 失った熱量 = 得た熱量 外部との熱の出入りがないとき
状態を変えるのに必要な熱量 は融解熱や蒸発熱

分かれ目は次の 3 つ。

1. 熱容量と比熱

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(イ)-㋑

熱量は移動した熱運動のエネルギーの量なので、単位は仕事やエネルギーと同じジュール()です。

熱容量とは? 単位は? 熱容量 の物体の温度を だけ変えるのに必要な熱量は?

物体の温度を 上げるのに必要な熱量。単位は 。必要な熱量は

熱容量が大きい物体ほど、温まりにくく冷めにくい。熱容量は物体ごとに決まる量で、同じ物質でも質量が大きいほど大きい。

比熱(比熱容量)とは? 単位は?

物質 の温度を 上げるのに必要な熱量。単位は

比熱は物質の種類で決まる量。 あたりで表して を使うこともあるので、問題文の単位を先に確かめる。

質量 、比熱 の物体の温度を だけ変えるのに必要な熱量は?

を 上げるのに が要るので、 倍・ 倍する。鉄(比熱 ) を 上げるには 。

熱容量 と比熱 の関係は? 2 つは何が違うか?

。熱容量は物体 1 個についての量、比熱は物質 についての量

同じ物質でできていれば比熱は同じだが、質量が 2 倍なら熱容量は 2 倍になる。 の をまとめたものが の 。

水の比熱はおよそいくらか?

約

水 の温度を 上げるのに約 が要る。鉄や銅などの金属の比熱は 1 より小さく、水の比熱は身近な物質の中でとくに大きい。

比熱が大きい物質は、同じ質量に同じ熱量を与えたとき、温度の変化が大きいか小さいか?

小さい(温まりにくく、冷めにくい)

なので、 が大きいほど は小さい。海の近くで昼夜の気温の差が小さいのは、水の比熱が大きいため。

2. 熱量の保存

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(イ)-㋑

高温の物体と低温の物体をふれ合わせると、熱は高温の側から低温の側へ移り、やがて同じ温度(熱平衡)になります。

熱量の保存とは?

外部との熱の出入りがないとき、高温の物体が失った熱量と、低温の物体が得た熱量は等しい

熱は物体の間を移動するだけで、途中で増えたり消えたりしない。まわりの空気や容器へ熱が逃げるときは、その分も数えないと成り立たない。

温度の違う 2 つの物体を混ぜたあとの温度を求めるとき、式はどう立てるか?

混ぜたあとの温度を とおき、「高温の物体が失った熱量 = 低温の物体が得た熱量」を立てる。温度変化は、高温側は(はじめの温度 )、低温側は( はじめの温度)と書く

どちらの温度変化も「高いほう − 低いほう」にして正の量にそろえる。 の形になる。

温度の違う 2 つの物体が熱平衡になったときの温度は、はじめの 2 つの温度とどういう関係にあるか?

必ず 2 つの温度の間になる。熱容量の大きい物体の、はじめの温度に近い値になる

求めた温度がはじめの 2 つの温度の間に入っていなければ、計算のどこかが違っている。検算に使える。

水熱量計を使って金属の比熱を求めるとき、容器(熱量計)の扱いはどうするか?

容器も水と同じだけ温度が上がるので、「得た熱量」に容器の分(容器の熱容量 × 温度変化)を加える

失った熱量 = 水が得た熱量 + 容器が得た熱量。問題文に「容器の熱容量は無視する」とあれば、水の分だけでよい。

3. 状態変化と熱量

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(イ)-㋑

状態が変わっている間は温度が変わらないので、 は使えません。状態変化に出入りする熱(潜熱)は、質量に比例します。

質量 の物質の状態を変えるのに必要な熱量は?( あたりの融解熱や蒸発熱を とする)

温度変化が無いので は式に入らない。氷の融解熱は約 、水の蒸発熱は約 で、蒸発のほうがずっと大きい。

の氷を加熱して、 より高い温度の水にするのに必要な熱量は、どう計算するか?

「氷をとかす熱量 」と「とけた水の温度を上げる熱量 」を別々に計算して足す

状態変化の区間と温度変化の区間に分ける。温度変化の区間で使う比熱は、そのときの状態(水なら水の比熱)のものを使う。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(イ)-㋑

以下、水の比熱は とし、断りがなければ外部や容器との熱の出入りは無視します。

問 1  の水 を にするのに必要な熱量を求めよ。

方針 質量と比熱が分かっていて温度が変わるので、 を使う。先に温度変化 を出す。

  1. 温度変化は なので、
  2. に 、、 を入れる

ここで間違えやすい  に、あとの温度の 50 をそのまま入れてしまうこと。 は温度の変化分。

問 2 質量 の銅製の容器がある。銅の比熱を として、(1) この容器の熱容量、(2) この容器の温度を 上げるのに必要な熱量を求めよ。

(1)  (2)

方針 熱容量は比熱に質量をかけたもの()。熱容量が分かれば、必要な熱量は で出せる。

  1. (1) に 、 を入れる
  2. (2) に 、 を入れる

問 3  の水 と、 の水 を混ぜた。全体の温度は何 になるか。

方針 熱量の保存を使う。混ぜたあとの温度を とおき、「 の水が失った熱量 = の水が得た熱量」を立てる。

  1. 混ぜたあとの温度を とおく。高温の水の温度変化は 、低温の水の温度変化は
  2. 高温の水が失った熱量は 、低温の水が得た熱量は
  3. 熱量の保存から、
  4. 両辺を で割ると、
  5. 右辺を展開すると 。移項して なので、
  6. 確かめ: 失った熱量は 、得た熱量は で等しい

ここで間違えやすい 2 つの温度の平均の と答えてしまうこと。質量が違うので平均にはならず、量の多い の水の側に寄る。

問 4  に熱した質量 の金属球を、 の水 の中に入れたところ、全体の温度が になった。この金属の比熱を求めよ。

方針 熱量の保存を使う。金属球が失った熱量と水が得た熱量が等しい。水が得た熱量は数値で出せるので、そこから金属の比熱 を求める。

  1. 金属球の温度変化は なので 、水の温度変化は なので
  2. 水が得た熱量は、
  3. 金属の比熱を とすると、金属球が失った熱量は
  4. 熱量の保存から、
  5. 両辺を 15000 で割ると、

ここで間違えやすい 金属球の温度変化を、水と同じ や、はじめの温度の 100 としてしまうこと。温度変化は物体ごとに「はじめの温度と熱平衡の温度の差」で出す。

問 5  の氷 を、すべて の水にするのに必要な熱量を求めよ。氷の融解熱は とする。

方針 氷がとける区間(温度は のまま)と、とけた水の温度が上がる区間に分ける。前の区間は 、後の区間は で計算して足す。

  1. 氷をとかすのに必要な熱量は、
  2. とけた の水 を にするのに必要な熱量は、
  3. 合計は

ここで間違えやすい 2. だけを計算して と答えてしまうこと。この問題では、とかすための熱量のほうが、温度を上げる熱量より大きい。

このノートの 12 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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