波の表し方
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理基礎 (2) ア (ア) ㋐「波の性質について,直線状に伝わる場合を中心に理解すること。」。
0. どういうまとまりか
ある場所で起きた振動が、次々と隣へ伝わっていく現象を波(波動)といいます。
波を伝えるもの(ひも、ばね、水、空気)を媒質、最初に振動を始めたところを波源といいます。
伝わっていくのは振動であって、媒質そのものは波と一緒に進みません。媒質の各点は、その場で行ったり来たりしているだけです。
波は次の 5 つの量で表します。
| 量 | 記号 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 振幅 | 振動の中心から山の頂上(谷の底)までの高さ | ||
| 波長 | 山から次の山までの長さ(波 1 つぶんの長さ) | ||
| 周期 | 媒質の 1 点が 1 回振動するのにかかる時間 | ||
| 振動数 | 媒質の 1 点が 1 秒間に振動する回数 | ||
| 波の速さ | 山や谷(波形)が進む速さ |
分かれ目は次の 3 つ。
- 進むのは波形で、媒質は進まない。「波の速さ」と「媒質が振動する速さ」は別のもの
- - グラフは横軸が位置で波長が読め、- グラフは横軸が時刻で周期が読める。形が同じなので、先に横軸を見る
- 媒質の動く向きは、少し後の波形を描いて比べる。波形を見ただけで決めない
1. 波と媒質
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
波では、振動が隣へ隣へと遅れて伝わります。媒質の各点がしているのは、その場での振動だけです。
波(波動)とは? 媒質・波源とは?
振動が次々と周りへ伝わっていく現象。波を伝える物質が媒質、振動を始めたところが波源
ひもを伝わる波ならひもが媒質、手で揺らしている端が波源。音なら空気が媒質になる。
波が伝わるとき、媒質は波と一緒に進んでいくか?
進まない。媒質の各点はその場で振動するだけで、伝わるのは振動(とエネルギー)
水面に浮いた葉は、波が通っても上下に揺れるだけで岸まで運ばれない。
波の「変位」「山」「谷」とは?
変位は、媒質の各点が振動の中心(つり合いの位置)からずれた量。変位が正の向きに最大のところが山、負の向きに最大のところが谷
変位は向きをもつので符号つきで扱う。上を正とすれば、山の変位は正、谷の変位は負。
2. 波を表す量
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
波長は空間の中での 1 つぶん、周期は時間の中での 1 つぶんです。この 2 つを結ぶのが波の速さです。
波の振幅とは? 波長とは?
振幅 は、振動の中心から山の頂上までの高さ。波長 は、山から次の山までの長さ
振幅は山の頂上から谷の底までの高さの半分。波長は谷から次の谷までで測っても同じ。
波の周期 と振動数 とは? 2 つの関係は?
周期は媒質の 1 点が 1 回振動する時間、振動数は 1 秒間に振動する回数。
振動数の単位はヘルツ()。周期が なら、1 秒間に 4 回振動するので 。
波の速さ を、振動数 と波長 で表すと? 周期 を使うと?
。周期を使うと
なので 2 つは同じ式。この式は横波にも縦波にも、音にも使える。
は、どう考えれば出てくるか?
媒質が 1 回振動する間(1 周期 )に、波形はちょうど 1 波長 だけ進む。速さは「進んだ距離 ÷ かかった時間」
波源が 1 回振動するごとに、波が 1 つ送り出される。1 秒間には 個送り出されるので、1 秒間に進む距離は 。
同じ媒質のまま、波源の振動数を 2 倍にすると、波の速さと波長はどうなるか?
速さは変わらず、波長が半分になる
波の速さは媒質で決まり、振動数は波源で決まる。 で が同じなら、 が 2 倍のとき は 倍。
3. 2 つのグラフの読み分け
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
波を表すグラフは 2 種類あります。どちらも同じ波の形をしているので、横軸が位置か時刻かを先に確かめます。
- グラフ(横軸が位置 )は何を表し、何が読めるか?
ある時刻の波形(その瞬間に撮った写真)。振幅と波長が読める
横軸が位置なので、山から次の山までの長さがそのまま波長になる。周期はこのグラフだけでは読めない。
- グラフ(横軸が時刻 )は何を表し、何が読めるか?
ある 1 点の媒質の振動のようす(その点の変位の時間変化)。振幅と周期が読める
横軸が時刻なので、山から次の山までの時間がそのまま周期になる。波長はこのグラフだけでは読めない。
- グラフから波長 を読んだ。周期を知るには、あと何が要るか?
波の速さ (または振動数 )。 で求める
逆に - グラフから周期を読んだときは、 で波長が出る。どちらのグラフでも、速さが橋渡しになる。
4. 媒質の動く向き
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
波形のグラフには媒質の速度が描かれていません。少し時間がたった後の波形を描き足して、各点がどちらへ動いたかを見ます。
ある時刻の波形から、少し後の波形を描くには?
波形の形を変えずに、波の進む向きへ少しだけ平行にずらして描く
波形は速さ で進むので、時間 の後には だけ進んだ位置にある。
波形のグラフから、媒質の各点が動く向きを知る手順は?
① 少し後の波形を描く。② 調べたい点の真上・真下を見て、新しい波形が上にあれば上向き、下にあれば下向き
媒質は左右には動かないので、同じ位置 で上下を比べる。山の、波が進む側の斜面にある点は上向きに動き、反対側の斜面にある点は下向きに動く。
波が通っているとき、媒質の速さが 0 の点と、最も速い点は、波形のどこか?
速さ 0 は山と谷の点。最も速いのは変位が 0 の点
山と谷は振動の折り返し点なので一瞬止まる。振動の中心を通る瞬間がいちばん速い。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
問 1 波源が 間に 25 回振動して、波長 の波を送り出している。この波の振動数、周期、速さを求めよ。
振動数 、周期 、速さ
方針 振動数は 1 秒あたりの振動の回数なので、回数を時間で割る。周期はその逆数。速さは 。
- 振動数は
- 周期は
- 速さは
ここで間違えやすい 周期を としない。周期は「1 回あたりの時間」なので 。
問 2 軸の正の向きに速さ で進む波がある。時刻 0 の波形(- グラフ)は、 で 、 で山()、 で 、 で谷()、 で となり、以後これをくり返す。この波の振幅、波長、周期、振動数を求めよ。
振幅 、波長 、周期 、振動数
方針 横軸が位置なので、グラフから読めるのは振幅と波長まで。周期と振動数は、与えられた速さを使って から出す。
- 山の高さから、振幅は
- から山・谷を 1 つずつ通って元の形に戻るのが なので、波長は
- 周期は
- 振動数は
ここで間違えやすい から まで(山 1 つぶん)を波長としない。波長は山と谷を合わせた 1 組の長さ。
問 3 速さ で進む波が通っている。位置 の媒質の変位(- グラフ)は、 で 、 で (最大)、 で 、 で (最小)、 で となり、以後これをくり返す。この波の周期、振動数、波長を求めよ。
周期 、振動数 、波長
方針 横軸が時刻なので、グラフから読めるのは振幅と周期。波長はグラフからは読めないので、 で出す。
- から 1 回振動して元に戻るのが なので、周期は
- 振動数は
- 波長は
ここで間違えやすい グラフの を波長()と読まない。横軸は時刻なので、読めるのは周期。
問 4 問 2 の波について、時刻 0 に 、、 にある媒質の速度の向きを、それぞれ答えよ。 軸の正の向きを上向きとする。
は下向き、 は速度 0、 は上向き
方針 波形を、進む向き( 軸の正の向き)へ少しだけずらした波形を描き、同じ の位置で新しい波形が上にあるか下にあるかを見る。
- 波形を右へ少しずらす。山は の少し右へ、谷は の少し右へ移る。
- には、もとの波形で の少し左にあった部分が来る。そこは谷()から上がってくる途中で変位が負なので、 の媒質は下へ動く。
- は山の頂上で、振動の折り返し点。速度は 0。
- には、もとの波形で少し左にあった部分が来る。そこは山から下りてくる途中で変位が正なので、 の媒質は上へ動く。
ここで間違えやすい 波が右へ進むからといって、媒質が右へ動くと答えない。媒質は上下にしか動かない。
問 5 問 2 の波について、時刻 0 に にあった山は、 後にはどの位置にあるか。また、 後の の媒質の変位を求めよ。
山は にある。 の媒質の変位は 0
方針 波形は形を変えずに速さ で進む。 秒後に位置 に来ているのは、時刻 0 に だけ手前にあった部分である。
- の間に波形が進む距離は
- 山の位置は なので、山は にある。
- 後に に来ているのは、時刻 0 に 手前にあった部分。その位置は なので、。
- 波形は波長 ごとに同じ形をくり返すので、 の変位は の変位と同じで、0。
- よって、 後の の媒質の変位は 0。
ここで間違えやすい 山が へ進んでも、 にあった媒質がそこへ移るわけではない。媒質は にとどまり、変位だけが変わる。