横波と縦波
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理基礎 (2) ア (ア) ㋐「波の性質について,直線状に伝わる場合を中心に理解すること。」。内容の取扱いは「縦波や横波にも触れること」としています。
0. どういうまとまりか
波は、媒質が振動する向きによって 2 種類に分かれます。
媒質が波の進む向きと垂直に振動する波が横波、波の進む向きと平行に振動する波が縦波です。
縦波では媒質が前後に動くので、媒質が集まった密なところと、まばらになった疎なところができ、この疎と密が伝わっていきます。
| 横波 | 縦波 | |
|---|---|---|
| 媒質が振動する向き | 波の進む向きに垂直 | 波の進む向きに平行 |
| 伝わっていくもの | 山と谷 | 疎と密(疎密波ともいう) |
| 例 | 弦を伝わる波、地震の S 波 | 音、地震の P 波 |
| 伝わる媒質 | 固体 | 固体・液体・気体 |
縦波は、そのままではグラフに描きにくいので、変位の向きを 90° 回して横波のように表します。
分かれ目は次の 3 つ。
- 振動の向きが、進む向きに垂直なら横波、平行なら縦波。波の進む向きではなく、媒質の動く向きで決まる
- 縦波を横波のように表したグラフの は、高さではなく、進む方向へのずれ。 が正なら 軸の正の向きへずれている
- 密になるのは山ではなく、変位が 0 の点。両側の媒質が集まってくる点を探す
1. 横波と縦波の違い
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
見分けるのは媒質の動く向きです。同じばねでも、揺らし方によって横波も縦波もつくれます。
横波とは? 例は?
媒質の振動する向きが、波の進む向きと垂直な波。弦やひもを伝わる波、地震の S 波など
水平に張ったひもの端を上下に振ると、波は水平に進み、ひもの各点は上下に振動する。
縦波とは? 例は?
媒質の振動する向きが、波の進む向きと平行な波。音、地震の P 波など
長いばねの端をばねの長さの方向に押し引きすると、ばねの各点は前後に振動し、その振動が進んでいく。
縦波の「疎」「密」とは? 縦波を別の名前で何というか?
媒質が集まって密度が大きくなったところが密、まばらになって密度が小さくなったところが疎。縦波は疎密波ともいう
縦波では、山と谷の代わりに、密なところと疎なところが交互に並んで進んでいく。
横波と縦波で、伝わることができる媒質はどう違うか?
横波は固体の中だけを伝わる。縦波は固体・液体・気体のどれでも伝わる
横波が伝わるには、ずれた媒質を横から引き戻す力が要る。液体や気体にはその力がほとんど無い。縦波は押し縮められた媒質が押し返す力で伝わるので、どの状態でも伝わる。
縦波の波長は、どこからどこまでの長さか? は縦波にも使えるか?
密から次の密まで(疎から次の疎まで)の長さ。 は縦波にもそのまま使える
波長・周期・振動数・速さの意味は横波と同じ。密と隣の疎の間隔は半波長 。
2. 縦波を横波のように表す
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
縦波の変位は 軸に沿った前後のずれなので、そのまま描くと 軸の上に重なって見えません。そこで、ずれを 90° 回して 軸の向きに描き直します。
軸に沿って進む縦波を、横波のように表すときの決まりは?
軸の正の向きへの変位を 軸の正の向きに、 軸の負の向きへの変位を 軸の負の向きに、同じ大きさで描く
各点の変位の矢印を、反時計回りに 90° 回して立てることにあたる。こうして描いた点を結ぶと、横波と同じ形の曲線になる。
縦波を横波のように表したグラフで、 が正の点の媒質は、実際にはどこにあるか?
元の位置から、 軸の正の向きへ の大きさだけずれた位置にある
が負なら 軸の負の向きへずれている。グラフの「高さ」は、実際には前後のずれを表している。
縦波を横波のように表したグラフから、媒質の実際の並び方に戻す手順は?
各点の の矢印を時計回りに 90° 倒して 軸の上に寝かせる。 が正の点は右(正の向き)へ、負の点は左(負の向き)へずらす
ずらした後の点が集まっているところが密、離れているところが疎になる。
3. 疎と密の位置を読む
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
横波のように表したグラフから、疎と密の位置を読みます。山や谷ではなく、変位が 0 の点に注目します。
縦波を横波のように表したグラフで、最も密な点はどこか?
変位が 0 で、その点より左( の小さい側)の変位が正、右の変位が負になっている点
左側の媒質は右へ、右側の媒質は左へずれているので、両側からその点へ媒質が集まる。グラフが右下がりに 軸を横切る点。
縦波を横波のように表したグラフで、最も疎な点はどこか?
変位が 0 で、その点より左( の小さい側)の変位が負、右の変位が正になっている点
左側の媒質は左へ、右側の媒質は右へずれているので、両側の媒質がその点から離れていく。グラフが右上がりに 軸を横切る点。
縦波を横波のように表したグラフの山や谷の点では、媒質の密度はどうなっているか?
波が無いときと同じ(密でも疎でもない)
山や谷では、すぐ隣の媒質もほぼ同じだけ同じ向きにずれているので、間隔が変わらない。変位が最大であることと、密であることは別。
縦波で、媒質の速さが 0 の点と、最も速い点はどこか?
速さ 0 は変位が最大の点(横波のように表したときの山と谷)。最も速いのは変位が 0 の点(最も密な点と最も疎な点)
横波と同じく、振動の折り返し点で止まり、振動の中心を通るときが最も速い。
縦波の最も密な点と最も疎な点で、媒質はどちら向きに動いているか?
最も密な点の媒質は波の進む向きに、最も疎な点の媒質は波の進む向きと逆向きに動いている
横波のように表したグラフを進む向きへ少しずらし、 が増えたか減ったかを見ると確かめられる。 が増えるのは、 軸の正の向きへ動くということ。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物基-(2)-ア-(ア)-㋐
問 1 次の (a)〜(d) の波は、横波か縦波か。(a) 空気中を伝わる音 (b) ギターの弦をはじいたときに弦を伝わる波 (c) 長いつる巻きばねの端を、ばねの長さの方向に押し引きしてつくった波 (d) 同じばねの端を、ばねの長さと垂直な方向に振ってつくった波
(a) 縦波 (b) 横波 (c) 縦波 (d) 横波
方針 波の進む向きと、媒質が振動する向きを比べる。平行なら縦波、垂直なら横波。
- (a) 音は、空気が音の進む向きに前後に振動して疎密が伝わる波なので、縦波。
- (b) 波は弦に沿って進み、弦の各点は弦と垂直に振動するので、横波。
- (c) 波はばねに沿って進み、ばねの各点もばねに沿って前後に振動するので、縦波。
- (d) 波はばねに沿って進み、ばねの各点はばねと垂直に振動するので、横波。
ここで間違えやすい 媒質の種類で決めない。(c) と (d) のように、同じばねでも振動させる向きで横波にも縦波にもなる。
問 2 軸の正の向きに進む縦波を、 軸の正の向きへの変位を 軸の正の向きにとって、横波のように表した。ある時刻のグラフは、 で 、 で山( が正で最大)、 で 、 で谷( が負で最小)、 で となり、以後これをくり返す。 の範囲で、最も密な点と最も疎な点の位置を答えよ。
最も密な点は 。最も疎な点は と
方針 が正の点は 軸の正の向きへ、負の点は負の向きへずれている。変位が 0 の点のうち、両側から媒質が集まる点が密、両側へ離れていく点が疎。
- の媒質は が正なので、右(正の向き)へずれている。
- の媒質は が負なので、左(負の向き)へずれている。
- には、左側の媒質が右へ、右側の媒質が左へ寄ってくる。ここが最も密。
- では、左側の媒質は左へずれている。右側は次のくり返しで が正なので、右へずれている。両側の媒質が離れるので、ここが最も疎。
- は と 1 波長離れた同じ状態の点なので、ここも最も疎。
ここで間違えやすい 山()を密、谷()を疎と答えない。山と谷は変位が最大の点で、密度は波が無いときと変わらない。
問 3 問 2 の縦波について、同じ時刻に、 の範囲で、(1) 媒質の速さが 0 の点、(2) 媒質が 軸の正の向きに最も速く動いている点を答えよ。
(1) と (2)
方針 横波と同じ手順が使える。グラフを進む向きへ少しずらし、同じ位置で が増えたか減ったかを見る。 が増えるのは、媒質が 軸の正の向きへ動くということ。
- 速さが 0 になるのは振動の折り返し点、つまり変位が最大の点。山の と谷の 。
- 最も速いのは変位が 0 の点で、候補は 、、。
- グラフを右へ少しずらす。 には、少し左にあった「山から下りてくる途中」の部分が来るので、 は 0 から正へ増える。媒質は正の向きに動いている。
- と には、少し左にあった「谷から上がってくる途中」の部分が来るので、 は 0 から負へ減る。媒質は負の向きに動いている。
- よって、正の向きに最も速いのは 。
ここで間違えやすい これは問 2 で求めた最も密な点と同じ位置である。密な点の媒質は、波の進む向きに動いている。
問 4 空気中を伝わる振動数 の音で、最も密なところと、その隣の最も密なところの間隔が であった。この音の速さを求めよ。また、最も密なところと、その隣の最も疎なところの間隔を求めよ。
速さ 、密と疎の間隔
方針 縦波の波長は、密から次の密までの長さ。波長が分かれば、速さは で出る。密と隣の疎は半波長だけ離れている。
- 密から次の密までが 1 波長なので、
- 速さは
- 密と隣の疎の間隔は半波長なので、