みならいノート

物理基礎 2027年度版

力学的エネルギーの保存

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理基礎 (1) ア (ウ) ㋑「力学的エネルギーに関する実験などを行い,力学的エネルギー保存の法則を仕事と関連付けて理解すること。」。

0. どういうまとまりか

運動エネルギーと位置エネルギーの和を力学的エネルギーといいます。
物体が落ちるとき、位置エネルギーが減ったぶんだけ運動エネルギーが増えます。振り子やばねにつけた物体でも、2 つのエネルギーは互いに移り変わります。
このとき、仕事をするのが重力や弾性力(保存力)だけなら、力学的エネルギーの合計は変わりません。これが力学的エネルギー保存の法則です。
摩擦や空気抵抗があるときは、その力がした仕事のぶんだけ力学的エネルギーが変わります。

場面 立てる式 条件
落下・なめらかな斜面・振り子 仕事をするのが重力だけ
なめらかな水平面上のばね 仕事をするのが弾性力だけ
摩擦や空気抵抗があるとき (後の力学的エネルギー)−(前の力学的エネルギー)=(保存力以外の力がした仕事) いつでも使える

分かれ目は次の 3 つ。

1. 力学的エネルギー保存の法則

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(ウ)-㋑

仕事と運動エネルギーの関係に、重力がする仕事を入れて整理すると、保存の法則が出てきます。法則が使えるかどうかは、どの力が仕事をしているかを見て判断します。

力学的エネルギーとは?

運動エネルギーと位置エネルギーの和

重力だけなら 、ばねなら 。両方あるときは 3 つとも足す。

力学的エネルギー保存の法則とは? 成り立つ条件は?

物体に仕事をする力が保存力(重力・弾性力)だけのとき、力学的エネルギーは一定に保たれる

摩擦や空気抵抗が無い場合がこれにあたる。運動エネルギーと位置エネルギーは互いに移り変わるが、和は変わらない。

なめらかな斜面をすべる物体は、重力のほかに垂直抗力も受けている。それでも力学的エネルギーが保存されるのはなぜか?

垂直抗力は、いつも物体が動く向きに垂直で、仕事をしないから

保存力以外の力がはたらいていても、その力の仕事が 0 なら保存の法則は成り立つ。

振り子のおもりは糸の張力を受けている。それでも力学的エネルギーが保存されるのはなぜか?

糸の張力は、いつもおもりが動く向きに垂直で、仕事をしないから

おもりは糸の長さを半径とする円の弧の上を動き、張力は糸に沿って円の中心を向く。動く向きとはいつも垂直になる。

重力だけが仕事をするとき、力学的エネルギー保存の法則は、仕事と運動エネルギーの関係からどう導けるか?

運動エネルギーの変化 = 重力がした仕事 と書き、位置エネルギーの項を左辺と右辺に振り分ける

を移項すると になる。

力学的エネルギー保存の法則で式を立てるとき、どんな順で進めるか?

①仕事をする力が保存力だけかを確かめる ②基準面を決める ③比べる 2 つの点を選ぶ ④それぞれの点で運動エネルギーと位置エネルギーを書き、和を等号で結ぶ

2 つの点は、「速さか高さが分かっている点」と「求めたい量がある点」を選ぶ。基準面は低いほうの点にとると式が短くなる。

2. 重力だけが仕事をする運動

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(ウ)-㋑

落下、なめらかな斜面、振り子は、どれも「高さの差」だけで速さが決まります。道すじの形や質量は答えに出てきません。

静止していた物体が、摩擦や空気抵抗を受けずに高さ だけ下がったときの速さ は?

から。質量によらず、まっすぐ落ちても、なめらかな斜面をすべっても、高さの差が同じなら速さは同じ。

初速度の大きさ で真上に投げ上げた物体が達する最高点の高さ を、力学的エネルギー保存の法則から求めると?

投げた点を基準面にとる。最高点では速さが 0 なので 。

振り子のおもりの速さが最大になるのはどこか? 0 になるのはどこか?

最大になるのは最下点、0 になるのは両端の最高点

最下点では位置エネルギーが最も小さく、そのぶん運動エネルギーが最も大きい。最下点から高さ の点で静かに放せば、最下点での速さは 。

物体が落下するとき、また投げ上げられて上昇するとき、エネルギーはそれぞれどう移り変わるか?

落下するときは位置エネルギーが運動エネルギーに、上昇するときは運動エネルギーが位置エネルギーに移り変わる

どちらの場合も、減ったぶんと増えたぶんが等しく、和は変わらない。

3. 弾性力が仕事をする運動

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(ウ)-㋑

ばねにつけた物体では、弾性力による位置エネルギーと運動エネルギーが移り変わります。

なめらかな水平面の上で、ばねにつけた物体が往復している。速さが最大になるのはどこか? 0 になるのはどこか?

最大になるのはばねが自然の長さのとき、0 になるのはばねの伸び(縮み)が最大のとき

が一定なので、 が 0 のとき が最大、 が最大のとき が 0 になる。

ばね定数 のばねを だけ縮めて、質量 の物体をなめらかな水平面の上で打ち出す。物体がばねから離れるときの速さ を求める式は?

()

はじめは速さ 0 で弾性力による位置エネルギーだけ、ばねが自然の長さに戻ったときは運動エネルギーだけになる。

4. 摩擦や空気抵抗があるとき

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(ウ)-㋑

動摩擦力や空気抵抗は保存力ではなく、負の仕事をします。そのぶんだけ力学的エネルギーは減ります。

動摩擦力や空気抵抗が仕事をするとき、力学的エネルギーの変化と仕事の関係は?

力学的エネルギーの変化(後 − 前)= 保存力以外の力がした仕事

動摩擦力の仕事は負なので、力学的エネルギーは減る。大きさ の動摩擦力を受けて距離 すべれば、 だけ減る。

摩擦によって失われた力学的エネルギーは、どうなったのか?

熱(物体や面の温度を上げるエネルギー)などに変わった

力学的エネルギーは保存されないが、熱なども含めたエネルギー全体の量は変わらない。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(ウ)-㋑

問 1 高さ のところから、物体を静かに落とした。重力加速度の大きさを とし、空気抵抗は無視できるものとして、地面に達する直前の速さを求めよ。

方針 仕事をするのは重力だけなので、力学的エネルギー保存の法則が使える。地面を基準面にとり、落とした点と地面の直前とで力学的エネルギーを等しいとおく。

  1. 物体の質量を 、地面の直前の速さを とする。落とした点では速さが 0 なので、力学的エネルギーは
  2. 地面の直前では高さが 0 なので、力学的エネルギーは
  3. 2 つを等しいとおくと 。両辺を で割って 2 倍すると

ここで間違えやすい 質量が与えられていなくても解ける。 は両辺にあるので消える。

問 2 地面から、小球を速さ で真上に投げ上げた。重力加速度の大きさを とし、空気抵抗は無視できるものとして、(1) 最高点の高さ、(2) 高さ の点を通るときの速さを求めよ。

(1)  (2)

方針 地面を基準面にとる。投げた点の力学的エネルギーは運動エネルギーだけなので、これを最高点(速さ 0)と、高さ の点のそれぞれと等しいとおく。

  1. 小球の質量を とする。投げた点の力学的エネルギーは で、 なので
  2. (1) 最高点の高さを とすると、最高点の力学的エネルギーは 。等しいとおいて で割ると
  3. (2) 求める速さを とすると、高さ の点の力学的エネルギーは で、 なので
  4. 等しいとおいて で割ると なので、
  5. から、

ここで間違えやすい (2) で速さを半分の としない。高さが半分でも、半分になるのは運動エネルギーであって速さではない。

問 3 糸におもりをつけた振り子がある。糸をたるませずに、おもりを最下点より 高い位置まで持ち上げて、静かに放した。重力加速度の大きさを とし、空気抵抗は無視できるものとして、おもりが最下点を通るときの速さを求めよ。

方針 おもりは重力と糸の張力を受けるが、張力は動く向きにいつも垂直なので仕事をしない。重力だけが仕事をするので、力学的エネルギー保存の法則が使える。最下点を基準面にとる。

  1. おもりの質量を 、最下点での速さを とする。放した点は速さ 0、高さ なので、力学的エネルギーは
  2. 最下点は高さ 0 なので、力学的エネルギーは
  3. 等しいとおいて で割り、2 倍すると

ここで間違えやすい 糸の長さは答えに関係しない。速さを決めるのは、放した点と最下点の高さの差だけである。

問 4 なめらかな水平面の上で、ばね定数 のばねの一端を壁に固定し、他端に質量 の物体を押しあてて、ばねを自然の長さから 縮めた。静かに手を放すと、物体はばねに押されて動きだし、ばねが自然の長さに戻ったところでばねから離れた。離れたときの物体の速さを求めよ。

方針 水平面がなめらかなので、仕事をするのは弾性力だけ。はじめの弾性力による位置エネルギーが、離れるときにはすべて運動エネルギーになっている。

  1. はじめは速さ 0 で、力学的エネルギーは弾性力による位置エネルギーだけ。
  2. 離れるとき、ばねは自然の長さなので弾性力による位置エネルギーは 0。速さを とすると、力学的エネルギーは
  3. 等しいとおくと なので、

ここで間違えやすい 重力による位置エネルギーは、水平面の上では高さが変わらないので、はじめと後で同じ値になる。式に入れても両辺で消える。

問 5 質量 の物体が、あらい斜面の上の高さ の点から静かにすべりだし、斜面の下端(高さ 0)に達したときの速さは であった。重力加速度の大きさを として、この間に動摩擦力がした仕事を求めよ。

方針 動摩擦力が仕事をするので、力学的エネルギーは保存されない。「力学的エネルギーの変化(後 − 前)= 保存力以外の力がした仕事」を使う。垂直抗力は動く向きに垂直で、仕事をしない。

  1. 斜面の下端を基準面にとる。前(すべりだす点)は速さ 0 なので、力学的エネルギーは
  2. 後(下端)は高さ 0 なので、力学的エネルギーは
  3. 動摩擦力がした仕事は「後 − 前」で

ここで間違えやすい 斜面の傾きや長さ、動摩擦係数が分からなくても求められる。力学的エネルギーがどれだけ減ったかを見ればよい。失われた は熱などに変わっている。

このノートの 14 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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