みならいノート

物理基礎 2027年度版

水平投射と空気抵抗

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このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。

学習指導要領 物理基礎 (1) ア (イ) ㋓「物体が落下する際の運動の特徴及び物体に働く力と運動との関係について理解すること。」。

0. どういうまとまりか

ここまでの落下運動は、鉛直な一直線上の運動で、空気抵抗は無視してきました。このノートでは、その 2 つの前提を 1 つずつ外します。
1 つは、物体を水平に投げ出す水平投射です。運動は曲線になりますが、水平方向と鉛直方向に分けると、どちらもすでに知っている運動になります。
もう 1 つは空気抵抗です。実際の落下では、速くなるほど空気抵抗が大きくなり、やがて一定の速さで落ちるようになります。
物理基礎では、どちらも考え方をつかむところまでを扱います。

受ける力 運動のようす
水平投射の水平方向 なし 等速直線運動(初速度のまま)
水平投射の鉛直方向 重力 自由落下と同じ運動
空気抵抗を受ける落下(落ちはじめ) 重力と、小さい空気抵抗 加速度がほぼ で速くなる
空気抵抗を受ける落下(十分に時間がたったあと) 重力と、それとつり合う空気抵抗 一定の速度(終端速度)で落ちる

分かれ目は次の 3 つ。

1. 水平投射

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋓

水平に投げ出された物体が、手を離れたあとに受ける力は重力だけです。重力は鉛直下向きなので、水平方向の運動には影響しません。

水平投射とは?

物体を水平方向に初速度を与えて投げ出したときの運動

手を離れたあと、物体は重力だけを受けて、曲線(放物線)を描いて落ちていく。

水平投射の運動は、どのように分けて考えるか?

水平方向と鉛直方向に分ける。水平方向は等速直線運動、鉛直方向は自由落下と同じ運動

2 つの方向の運動は互いに影響しない。それぞれを別の直線運動として扱い、共通の時間 でつなぐ。

水平投射された物体が、水平方向には等速直線運動をするのはなぜか?

水平方向には力を受けていないから(慣性の法則)

受ける力は鉛直下向きの重力だけ。水平方向の合力は 0 なので、水平方向の速度は初速度のまま変わらない。

水平投射された物体の鉛直方向の運動が、自由落下と同じになるのはなぜか?

鉛直方向の初速度が 0 で、鉛直方向に受ける力が重力だけだから

投げ出した速度は水平向きなので、鉛直方向の成分は 0。そこから重力加速度 で落ちるので、自由落下とまったく同じになる。

同じ高さから、小球 A を静かに落とし、同時に小球 B を水平に投げ出した。先に地面に達するのはどちらか?

同時に達する

B の鉛直方向の運動は自由落下と同じなので、どの時刻でも A と B は同じ高さにある。B の初速度を大きくしても、落ちるまでの時間は変わらない。

水平投射で、水平方向の初速度を大きくすると、変わるものと変わらないものは?

地面に達するまでの時間は変わらない(高さだけで決まる)。水平方向に進む距離は大きくなる

例えば、高さ から水平に で投げ出すと、 後に、水平に 進んだところに落ちる。

2. 空気抵抗

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋓

空気中を動く物体は、空気から運動を妨げる向きの力を受けます。落下する物体では、この力が重力と逆向きに働きます。

空気抵抗とは? その向きと、大きさの特徴は?

空気中を運動する物体が空気から受ける抵抗力。向きは運動の向きと逆で、物体が速いほど大きい

静止している物体には働かない。落ちはじめは小さく、速くなるにつれて大きくなっていく。物体の形や大きさによっても変わる。

空気抵抗を受けながら落下する物体の加速度は、落ちはじめてからどう変わっていくか?

落ちはじめはほぼ で、速くなるにつれて小さくなり、やがて 0 になる

合力は下向きに「重力 − 空気抵抗」。重力は一定で、空気抵抗は速さとともに増えるので、合力がだんだん小さくなる。

終端速度とは? そのとき、物体が受ける力はどうなっているか?

空気抵抗を受けて落下する物体が、最後に達する一定の速度。空気抵抗と重力がつり合っている

合力が 0 なので加速度も 0 になり、それ以上速くならない。物体は等速直線運動で落ち続ける(慣性の法則)。

同じ紙を、広げたままと丸めたものとで同じ高さから同時に落とすと、丸めたほうが先に落ちる。その理由は?

質量(重力)は同じだが、広げた紙のほうが受ける空気抵抗が大きいから

「重いものほど速く落ちる」からではない。空気抵抗が無ければ、どちらも同じ加速度 で落ち、同時に着く。

高い雲から落ちてくる雨粒が、地表でそれほど速くないのはなぜか?

空気抵抗を受けて、落下の途中で終端速度に達しているから

空気抵抗が無いとすれば、落下距離が大きいほど速さは増え続ける。実際には、途中から一定の速さで落ちてくる。

練習問題

根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋓

以下、重力加速度の大きさを とします。
物理基礎では、水平投射は「水平方向と鉛直方向に分けて考えられる」ことまでを扱います。数値で落下時間や距離を求めるのは発展科目「物理」の内容なので、最初の 1 題は【発展】としてあります。

【発展】数値で求める水平投射 高さ の台の上から、小球を水平に の速さで投げ出した。空気抵抗は無視できるものとして、小球が地面に達するまでの時間と、投げ出した点の真下から落下点までの水平距離を求めよ。

時間 、水平距離

方針 水平方向と鉛直方向に分けて考える。落ちるまでの時間は、鉛直方向(自由落下)だけで決まる。その時間のあいだ、水平方向には等速で進む。

  1. 鉛直方向は、初速度 0 の自由落下。鉛直下向きを正として から
  2. 値を入れると、
  3. で なので、
  4. 水平方向は、速さ の等速直線運動。 の間に進む距離は、

ここで間違えやすい 時間を求めるときに、水平方向の速さ を鉛直方向の式の初速度に入れてしまうこと。鉛直方向の初速度は 0 である。

問 1 同じ高さから、小球 A を静かに落とすと同時に、小球 B を水平に投げ出した。空気抵抗は無視できるものとする。(1) 地面に先に達するのはどちらか。(2) 地面に達する直前の速さは、どちらが大きいか。

(1) 同時に達する (2) B のほうが大きい

方針 B の運動を水平方向と鉛直方向に分け、A と比べる。鉛直方向は A と同じ運動で、B にはそれに水平方向の速度が加わる。

  1. (1) B の鉛直方向の運動は、初速度 0 で重力だけを受けるので、自由落下と同じ。
  2. A も自由落下なので、A と B は鉛直方向にはまったく同じ運動をする。同じ高さから同時に出発しているので、同時に地面に達する。
  3. (2) 地面に達する直前、速度の鉛直方向の成分は A と B で等しい。
  4. B はそのほかに、水平方向の成分(投げ出したときの速さのまま)をもっている。
  5. 速さは 2 つの成分を合わせた速度の大きさなので、水平方向の成分をもつ B のほうが大きい。

ここで間違えやすい 「B は遠回りをするので遅れて着く」と考えてしまうこと。落ちるまでの時間を決めるのは鉛直方向の運動だけである。

問 2 雨粒が、高いところから空気抵抗を受けながら落下する。落ちはじめてから十分に時間がたつまでの、雨粒の速さと加速度の変化を、雨粒が受ける力から説明せよ。

速さははじめ増えていくが、増え方がだんだんゆるやかになり、最後は一定の速さ(終端速度)になる。加速度の大きさは、はじめほぼ で、しだいに小さくなり、最後は 0 になる

方針 雨粒が受ける力は、下向きの重力と、上向きの空気抵抗の 2 つ。重力は一定で、空気抵抗は速さとともに大きくなる。合力の変化を追えば、運動方程式から加速度の変化が分かる。

  1. 落ちはじめは速さがほぼ 0 なので、空気抵抗もほぼ 0。合力はほぼ重力だけで、加速度は下向きにほぼ
  2. 速さが増えると、空気抵抗が大きくなる。下向きの合力(重力 − 空気抵抗)が小さくなるので、加速度も小さくなる。それでも合力は下向きなので、速さは増え続ける。
  3. さらに速くなると、空気抵抗が重力と同じ大きさになる。合力が 0 になり、加速度も 0 になる。
  4. 加速度が 0 になると、速さはそれ以上増えない。空気抵抗も増えないので、つり合いが保たれ、雨粒は一定の速さで落ち続ける。この速度が終端速度である。

ここで間違えやすい 「力がつり合ったら止まる」と考えてしまうこと。つり合うと変わらなくなるのは速度で、動いていた物体はそのままの速度で動き続ける。

このノートの 11 問を、暗記カードで復習できます

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答えを隠して出題し、忘れそうなころにもう一度出します。

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