圧力と浮力
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 物理基礎 (1) ア (イ) ㋐「物体に様々な力が働くことを理解すること。」。内容の取扱いは、ここで圧力と浮力を扱うこととしています。
0. どういうまとまりか
同じ力でも、狭い面で受けるか広い面で受けるかで、面への効き方が変わります。面を垂直に押す力を、面積 あたりに直したものが圧力です。
水の中では、上にのっている水の重さのぶんだけ圧力が生じます(水圧)。水圧は深いほど大きいので、水中の物体は下の面を押し上げられる力のほうが、上の面を押し下げられる力より大きくなります。
この差が浮力です。浮力は「水圧の差」を 1 つの力にまとめたものです。
| 量 | 式 | 単位・値 |
|---|---|---|
| 圧力 | (パスカル)。 | |
| 大気圧 | 約 (1 気圧) | |
| 水による圧力(深さ ) | は水の密度 | |
| 水中の圧力(大気圧を含める) | は大気圧 | |
| 浮力 | は流体の密度、 は流体中にある部分の体積 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 浮力の式の は物体の密度ではない。物体のまわりの流体(水など)の密度を入れる
- 浮力の式の は、流体の中にある部分の体積。浮いている物体では、水面より下の部分だけ
- 水圧は深さだけで決まる。容器の形や、面がどちらを向いているかにはよらない
1. 圧力
根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋐
圧力は力そのものではなく、面積 あたりの力です。力と面積の両方が分かってはじめて決まります。
圧力とは? 式は?
面を垂直に押す力の、単位面積()あたりの大きさ。
は面を垂直に押す力の大きさ、 は力を受ける面積。同じ力でも、面積が小さいほど圧力は大きい。
圧力の単位は? ほかの単位で表すと?
パスカル(記号 )。
の力で の面を垂直に押すと、圧力は 。天気予報で使うヘクトパスカルは 。
面積が で与えられた圧力の問題で、最初にすることは?
面積を に直す()
は で、面積はその 2 乗になる。 倍としない。
大気圧とは? 大きさはどのくらいか?
大気(空気)の重さによって生じる圧力。地表付近で約 (これを 1 気圧という)
と同じ。計算では として与えられることが多い。
2. 水圧
根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋐
水中のある深さの面は、その上にある水と大気の重さを支えています。だから、深いほど圧力は大きくなります。
密度とは? 式と単位は? 水の密度の値は?
単位体積()あたりの質量。、単位は 。水は
水 の質量が ということ。 と同じ。体積 の物体の質量は で求められる。
密度 の水の、深さ の点での水による圧力は? 大気圧 を含めた圧力は?
水による圧力は 。大気圧を含めると
水面は大気に押されているので、水中の圧力には大気圧が上乗せされる。どちらを答えるかは、問題文が「水圧」か「圧力」かで読み分ける。
水による圧力が になることは、どう導くか?
底面積 、高さ の水の柱を考える。柱の重さ が底面を押すので、面積 で割って
柱の体積は 、質量は 、重さは 。 が消えるので、水圧は深さだけで決まる。
水圧は、面にどの向きから働くか? 同じ深さで、面の向きによって大きさは変わるか?
あらゆる向きから、面に垂直に働く。同じ深さなら、面がどちらを向いていても大きさは同じ
水中の物体は、上の面は下向きに、下の面は上向きに、側面は横向きに押される。容器の形にもよらない。
3. 浮力
根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋐
水中の物体は、水から上向きの力を受けます。その大きさは、物体が押しのけた水の重さに等しくなります。
浮力とは? 向きは?
液体や気体(流体)の中にある物体が、流体から受ける上向きの力。向きは鉛直上向き
物体が沈んでいても浮いていても、流体の中に部分があるかぎり受ける。空気中の物体も、空気から浮力を受けている。
浮力が生じる原因は?
水圧が深いほど大きいので、物体の下の面を押し上げる力が、上の面を押し下げる力より大きくなる。その差が浮力
側面を押す力は、左右で打ち消し合う。底面積 、高さ の直方体なら、上下の面の水圧の差は で、力の差は 。
アルキメデスの原理とは? 浮力の大きさの式は?
流体中の物体は、それが押しのけた流体の重さに等しい大きさの浮力を受ける。
が押しのけた流体の質量で、それに を掛けたものが重さ。物体の質量や材質は式に入らない。
浮力の式 の と には、それぞれ何を入れるか?
は流体(水など)の密度。 は物体のうち流体の中にある部分の体積
物体の密度を入れない。全体が沈んでいれば は物体の体積、浮いていれば水面より下の部分の体積だけ。
水中に全体を沈めた物体を静かに放す。浮き上がるか沈むかは、何で決まるか?
物体の密度と水の密度の大小。物体の密度が水より小さければ浮き上がり、大きければ沈む
全体が水中にあるとき、水の密度を 、物体の密度を とすると、浮力は 、重力は 。体積 が共通なので、密度の比べ合いになる。
物体が水面に浮かんで静止している。このとき浮力と重力の関係は?
浮力と重力がつり合っている(浮力の大きさ = 重力の大きさ)
水の密度を 、水面より下の部分の体積を とすると 。浮いている物体の浮力は、物体全体の体積ではなく、物体の重さで決まる。
練習問題
根拠: 学習指導要領 物基-(1)-ア-(イ)-㋐
重力加速度の大きさは 、水の密度は とします。
問 1 質量 で、3 辺の長さが 、、 の直方体がある。(1) の面を下にして水平な床に置いたとき、床が受ける圧力を求めよ。(2) の面を下にしたときはどうか。
(1) (2)
方針 圧力は 。床を押す力はどちらの置き方でも直方体の重さで同じ。変わるのは床に接する面積だけなので、面積を置き方ごとに出して割る。
- 床を押す力の大きさは、直方体の重さに等しい。
- (1) 床に接する面積は
- 圧力は 。有効数字 2 桁で
- (2) 床に接する面積は
- 圧力は 。有効数字 2 桁で
ここで間違えやすい 面積が小さいほうが圧力が小さい、と逆にしてしまうこと。面積が になれば、圧力は 3 倍になる。
問 2 湖の水面から深さ の点での、水による圧力と、大気圧を含めた圧力を求めよ。大気圧を とする。
水による圧力 、大気圧を含めた圧力
方針 水による圧力は で、深さだけで決まる。水面は大気に押されているので、大気圧を含めた圧力はこれに を足した になる。
- 水による圧力は 。有効数字 2 桁で
- 大気圧を含めた圧力は、丸める前の値に大気圧を足す。
- 有効数字 2 桁で
ここで間違えやすい 大気圧を足し忘れること。「水圧」を問われたら だけ、「その点での圧力」を問われたら大気圧も含める。なお、水深が約 増えるごとに、圧力はおよそ 1 気圧ぶん増える。
問 3 体積 の金属球を、全体が水中に入るように沈めた。金属球が受ける浮力の大きさを求めよ。
方針 浮力は 。 には水の密度を、 には水中にある部分の体積を入れる。全体が沈んでいるので、 は金属球の体積そのもの。
- 、、 を に入れる。
- 有効数字 2 桁で
ここで間違えやすい 金属の密度を使おうとすること。浮力は押しのけた水の重さなので、金属の密度も質量も要らない。
問 4 質量 の木片が、水面に浮かんで静止している。木片が受ける浮力の大きさと、木片のうち水面より下にある部分の体積を求めよ。
浮力 、水面より下の体積
方針 浮かんで静止しているので、浮力と重力がつり合う。浮力の大きさは重力から決まり、そこから を逆に使って、水面より下の体積を出す。
- 木片が受ける力は、下向きの重力と上向きの浮力の 2 つ。
- 重力の大きさは 。つり合っているので、浮力も 。有効数字 2 桁で
- 水面より下の体積を とすると、つり合いの式は 。両辺を で割ると
- に数値を入れて
ここで間違えやすい 木片全体の体積が分からないので解けない、と考えてしまうこと。浮いている物体の浮力は、つり合いから重さで決まる。
問 5 底面積 、高さ の直方体を、上の面が水面から深さ になるように、底面を水平にして水中に沈めた。上の面と下の面が受ける水による圧力から、直方体が受ける浮力の大きさを求めよ。また、 で求めた値と一致することを確かめよ。
(どちらの方法でも で一致する)
方針 浮力の正体は、下の面を押し上げる力と上の面を押し下げる力の差。上下の面の深さから水圧を出し、面積を掛けて力に直し、差をとる。大気圧は上下の面に同じだけ加わって打ち消すので、水による圧力だけで考えてよい。
- 上の面の深さは 。水による圧力は
- 下の面の深さは 。水による圧力は
- 上の面を押し下げる力は
- 下の面を押し上げる力は
- 浮力はその差で 。有効数字 2 桁で
- 確かめ: 直方体の体積は 。 に入れると で、同じ値になる。
ここで間違えやすい 下の面の深さを のままにしてしまうこと。下の面は、直方体の高さのぶんだけ深いところにある。