極座標と極方程式
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学C (2) 平面上の曲線と複素数平面 ア (ウ)「極座標の意味及び曲線が極方程式で表されることについて理解すること。」。
0. どういうまとまりか
これまでは、点の位置を「横に 、縦に 」の直交座標で表してきました。極座標は、同じ点を「ある点からの距離 」と「ある向きから測った角 」の組 で表します。
基準にする点 を極、 から出る半直線 を始線、 から まで測った角 を偏角といいます。
曲線を と の関係式で表したものが極方程式です。原点のまわりを回る曲線は、極方程式のほうがかんたんな式になります。
| 極方程式 | 表す図形 |
|---|---|
| 極を中心とする半径 の円 | |
| 極を通り、始線とのなす角が の直線 | |
| 中心の極座標が 、半径が の円(極を通る) | |
| 極座標が の点 を通り、 に垂直な直線 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 極座標は 1 つの点に対して 1 通りではない。 と は同じ点。 に限れば、極以外の点では 1 通りに決まる
- 変換は 、、 の 3 つ。直交座標の原点を極に、 軸の正の部分を始線に重ねる
- 極方程式を直交座標に直すときは、、、 のかたまりを作る。両辺に を掛けるのが定石
1. 極座標
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(ウ)
直交座標の原点 を極に、 軸の正の部分を始線 にとります。
点 の極座標が のとき、三角関数の定義から、 の直交座標は です。
点 の極座標 とは、何と何の組か?
極 からの距離 と、始線 から半直線 まで測った角 (偏角)の組
基準にする点 を極、 から出る半直線 を始線という。角は反時計回りを正とし、弧度法で表す。
1 つの点の極座標は、1 通りに決まるか?
決まらない。 と ( は整数)は同じ点を表す
偏角を に限れば、極以外の点の極座標は 1 通りに決まる。極 は で、偏角は何でもよい。
極座標 の点の直交座標 は?
、
原点を極、 軸の正の部分を始線にとったとき。半径 の円上の点を三角関数で表す式と同じ。
直交座標 の点の極座標 は、どう求めるか?
で を求め、 と の両方を満たす を探す
。 と の一方だけでは、偏角が 2 つの候補のどちらかを決められない。
極座標が の点の直交座標は?
は 2 に を掛けて 1、 は 2 に を掛けて 。
直交座標が の点の極座標は?()
は なので 。、 を満たす偏角は (第 2 象限の点)。
2. 極方程式
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(ウ)
曲線上の点の極座標 が満たす と の関係式を、その曲線の極方程式といいます。
極方程式では の場合も考え、 のときの は と同じ点を表すと約束します。 が半直線ではなく直線を表すのはこのためです。
極方程式でしかかんたんに書けない曲線もあります。たとえば ()は、偏角が増えるのに比例して極からの距離が伸びていく渦巻きで、アルキメデスの渦巻線と呼ばれます。
曲線の極方程式とは何か?
曲線上の点の極座標 が満たす、 と の関係式
の形や の形で表す。直交座標での と の方程式にあたるもの。
極方程式 ()は、どんな図形を表すか?
極を中心とする半径 の円
偏角 が何であっても、極からの距離が である点の集まり。
極方程式 は、どんな図形を表すか?
極を通り、始線とのなす角が の直線
極からの距離 が何であっても、偏角が である点の集まり。 の点も含めるので、極の反対側にも伸びる。
極方程式 ()は、どんな図形を表すか?
中心の極座標が 、半径が の円(極を通る)
点 をとると が直径で、円周上の点 では角 が直角だから 。直交座標では 。
極方程式 ()は、どんな図形を表すか?
極座標が の点 を通り、 に垂直な直線
直線上の点 について、直角三角形 で が成り立つ。 は極から直線に下ろした垂線の足。
極方程式 と は、それぞれどんな図形を表すか?
直線 (始線に垂直な直線)と、直線 (始線に平行な直線)
は 、 は にそのまま置き換えられる。
3. 直交座標の方程式と極方程式の書き換え
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(ウ)
同じ曲線を、直交座標の方程式でも極方程式でも表せます。書き換えには、極座標と直交座標の変換の式をそのまま使います。
直交座標の方程式と極方程式は、どう書き換えるか?
直交座標から極方程式へは 、 を代入する。極方程式から直交座標へは 、、 を 、、 に置き換える
かたまりが無ければ両辺に を掛けて作る。 なら として 。
【発展】焦点を極とする二次曲線の極方程式
二次曲線の焦点 を極にとり、準線を始線に垂直な直線 ()とする。離心率を とすると、極方程式は
の 1 本で、 なら楕円、 なら放物線、 なら双曲線を表す。
点 から焦点までの距離は 、準線までの距離は で、その比が という式 を について解いたもの。
たとえば 、 のときは で、直交座標に直すと 。両辺を 2 乗して整理すると となり、原点を焦点、直線 を準線とする放物線になっている。
離心率は学習指導要領の解説が例として挙げるだけなので、このパックではカードにしていない。
練習問題
問 1 極座標が次のように表される点の直交座標を求めよ。
(1) (2) (3)
(1) (2) (3)
(1) (2) (3)
方針 極座標 から直交座標への変換は、、 に代入するだけ。偏角がどの象限の角かを先に見て、 と の値と符号を決めてから を掛ける。
- (1) は第 2 象限の角なので、 は負、 は正。、
- (1) を掛ける。 は 4 に を掛けて 、 は 。よって
- (2) は第 1 象限の角で、 と はどちらも
- (2) を掛ける。 なので、 も も 1。よって
- (3) は 軸の負の向きを指す角で、、
- (3) を掛ける。 は 、 は 2 に を掛けて 。よって
ここで間違えやすい (1) で の符号を落とさない。偏角が第 2 象限なので、点も第 2 象限(、)にあるはず。答えの符号を象限で見直すとよい。
問 2 直交座標が次のように表される点の極座標 を求めよ。ただし とする。
(1) (2)
(1) (2)
(1) (2)
方針 まず で極からの距離を求める。次に と の両方を満たす を、 の範囲で探す。点がどの象限にあるかを先に見ておくと、偏角を取り違えない。
- (1) なので、 は 。 から
- (1) から 、 から
- (1) が正で が負なので、第 4 象限の角。 となる角は と で、第 4 象限にあるのは 。よって
- (2) は 。 から で、
- (2) は を で割って 。 も同じく
- (2) も も負なので、第 3 象限の角。 に を足した 。よって
ここで間違えやすい だけで偏角を決めない。(1) で と答えると、それは点 の偏角になる。 の符号(点の象限)で 2 つの候補から選ぶ。
問 3 極方程式 を直交座標の方程式で表し、どんな図形かを答えよ。
。中心 、半径 2 の円
方針 極方程式を直交座標に直すには、、、 のかたまりを作って、、、 に置き換える。右辺に だけがあって になっていないので、両辺に を掛けてかたまりを作る。
- 両辺に を掛けて、
- を に、 を に置き換えて、
- を左辺に移して、
- について平方完成する。 なので、
- を右辺に移して、
- 右辺の 4 は半径の 2 乗なので、中心 、半径 2 の円。
ここで間違えやすい 両辺に を掛けると (極)が解に加わるが、もとの式でも のとき で極を通っているので、図形は変わらない。また、半径は 4 ではなく、4 の正の平方根の 2。
問 4 直線 を極方程式で表せ。
方針 直交座標の方程式を極方程式に直すには、、 を代入する。代入すると と の和が出るので、三角関数の合成で 1 つの にまとめ、直線の極方程式の形 にする。
- 、 を代入して、
- でくくって、
- かっこの中を合成する。係数は 1 と で、 なので、2 でくくると
- は 、 は なので、かっこの中は 。加法定理から、これは
- よって手順 2 の式は 。両辺を 2 で割って、
この形から、極から直線に下ろした垂線の足が、極座標 の点になっていることが読める。
ここで間違えやすい にまとめるときは、加法定理 の形で、かっこの中は引き算になる。 としない。 にまとめて としても同じ直線を表す。
問 5 極方程式 を直交座標の方程式で表し、どんな図形かを答えよ。
。直角双曲線
方針 角が のままでは 、 に置き換えられないので、2 倍角の公式で角を にそろえる。 の 3 つの形のうち、 を掛けたときに と のかたまりができる を選ぶ。
- 2 倍角の公式 を代入して、
- を分配して、
- 2 乗のかたまりにまとめて、
- を に、 を に置き換えて、
- これは双曲線の標準形で、、。漸近線は と で、傾きの積が だから直交する。 なので直角双曲線。
問 6 極座標が の点 と、 の点 について、2 点間の距離 と、極 を合わせた三角形 の面積を求めよ。
、面積は
方針 極座標は「極からの距離」と「偏角」の組なので、三角形 の 2 辺 、 の長さと、その間の角(偏角の差)がそのまま読める。2 辺とその間の角が分かっているので、 は余弦定理、面積は (2 辺の積)(間の角)で求める。
- 極座標の から、、
- 角 は偏角の差で、
- 余弦定理から、
- は なので、最後の項は 。よって は
- から、 で、
- 面積は 。 は なので、
直交座標に直しても確かめられる。 は で 、 は 。 座標の差は 、 座標の差は 3 なので、 は となり一致する。
ここで間違えやすい 偏角の差をとらずに、 や をそのまま間の角として使わない。間の角は 2 つの偏角の差。