媒介変数表示
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学C (2) 平面上の曲線と複素数平面 ア (イ)「曲線の媒介変数表示について理解すること。」。
0. どういうまとまりか
曲線上の点の座標 を、 と の関係式 1 本ではなく、別の 1 つの変数 を使って 、 の 2 本で表すことを、曲線の媒介変数表示といいます。 が媒介変数です。
を「時刻」と思えば、媒介変数表示は「時刻 に点がどこにいるか」を表す式です。 を消去すると、点が通る道すじ(曲線)の方程式が得られます。
| 曲線 | 方程式 | 媒介変数表示 |
|---|---|---|
| 円 | 、 | |
| 楕円 | 、 | |
| 双曲線 | 、 | |
| 放物線 | 、 | |
| サイクロイド | (、 のかんたんな式では書けない) | 、 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 媒介変数を消去したら、 や の範囲を必ず確かめる。 なら で、曲線の一部しか動かない
- 三角関数の消去は、2 乗の関係式に持ち込む。円と楕円は 、双曲線は
- 楕円は が 、 が に付く。 の分母が 、 の分母が であることに対応する
1. 媒介変数表示と媒介変数の消去
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(イ)
媒介変数表示された曲線がどんな図形かを知るには、2 つの式から媒介変数を消去して と の関係式を作ります。
ただし、消去した式が表す曲線の全体を点が動くとは限りません。媒介変数の動く範囲から、 や の範囲を調べます。
曲線の媒介変数表示とは何か?
曲線上の点の座標 を、1 つの変数 を使って 、 の形に表したもの
この変数 を媒介変数(パラメータ)という。 の値を 1 つ決めると、曲線上の点が 1 つ決まる。
媒介変数表示された曲線の方程式( と の関係式)は、どう求めるか?
2 つの式から媒介変数を消去する。そのあと、 や のとりうる値の範囲を確かめる
一方の式を媒介変数について解いて他方に代入するか、三角関数なら 2 乗の関係式を使う。範囲を確かめないと、動かない部分まで答えに含めてしまう。
、 で媒介変数表示された曲線は?
放物線
から 。これを に代入する。 はすべての実数値をとるので、 もすべての実数値をとり、放物線の全体になる。
、 で媒介変数表示された曲線は?
放物線 の の部分
2 倍角の公式 に を代入する。 は から 1 までしか動かないので、放物線の一部になる。
1 つの曲線の媒介変数表示は、1 通りに決まるか?
決まらない(何通りもある)
放物線 は 、 とも、、 とも表せる。同じ道すじを、違う進み方でたどっているだけ。
2. 円と二次曲線の媒介変数表示
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(イ)
円 上の点は、三角関数の定義から と表せます。
楕円は円を 軸方向に 倍した図形なので、円の媒介変数表示の だけを 倍すれば楕円の媒介変数表示になります。
楕円の は、もとの円上の点の角です。楕円上の点と原点を結ぶ線分が 軸となす角ではありません。
円 の媒介変数表示は?
、
は、点と原点を結ぶ線分が 軸の正の向きとなす角。 から が出る。
楕円 の媒介変数表示は?
、
、 を に代入すると、楕円の方程式になる。
双曲線 の媒介変数表示は?
、
、 を に代入すると、双曲線の方程式になる。
放物線 の媒介変数表示は?
、
と が等しい。 がすべての実数値をとると、放物線の全体を動く。
媒介変数 を消去するとき、円・楕円と双曲線ではそれぞれどの関係式を使うか?
円・楕円は 、双曲線は
と の組なら前者、 と の組なら後者。和が 1 になるか、差が 1 になるかの違い。
、 で表される曲線を、 軸方向に 、 軸方向に だけ平行移動した曲線の媒介変数表示は?
、
各点の座標に移動の量を足すだけ。中心が 、半径が の円なら 、。
3. サイクロイド
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(イ)
媒介変数表示を使うと、 と のかんたんな関係式では書けない曲線も表せます。その代表がサイクロイドです。
半径 の円が 軸に接しながら角 だけ回転すると、すべらずに転がるので中心は に進みます。
はじめ原点にあった円周上の点 は、中心から見て の位置にあるので、この 2 つを足したものが の座標です。
サイクロイドとは、どんな曲線か?
円が定直線上をすべることなく転がるとき、円周上の定点がえがく曲線
自転車の車輪のふちに付けた印の動き。円が 1 回転するごとに、同じ山の形をくり返す。
半径 の円が 軸上を転がるときのサイクロイドの媒介変数表示は?( は円が回転した角)
、
円の中心 に、中心から見た点の位置 を足したもの。 で 1 回転し、点は 軸上の に戻る。
練習問題
問 1 、 で媒介変数表示された曲線の方程式を求めよ。
放物線
方針 媒介変数 を消去して、 と だけの式を作る。 の式は の一次式なので、(ここでは のかたまり)について解いて の式に代入する。最後に、 のとりうる値の範囲を確かめる。
- の を移項して、
- は、 のかたまりで書くと
- を代入して、
- 範囲を確かめる。 はすべての実数値をとるので、 もすべての実数値をとる。だから、放物線 の全体を動く。
について解いて を代入しても同じで、 から になる。
問 2 、 で媒介変数表示された曲線の方程式を求めよ。
楕円
方針 と の組で表されているので、 を使って を消去する。そのために、まず 2 つの式を 、 について解く。
- の 1 を移項して 。両辺を 3 で割って、
- の を移項して 。両辺を 2 で割って、
- に代入して、
- 2 乗を計算して順番を入れ替えると、
- これは、楕円 を 軸方向に 1、 軸方向に だけ平行移動したもの(中心は )。
- 範囲を確かめる。 と はどちらも から 1 まで動くので、、。これはこの楕円がもともとある範囲と同じで、 が 0 から まで動くと点は楕円を 1 周する。だから、楕円の全体を動く。
ここで間違えやすい の分母は の式の係数 3 の 2 乗で 9、 の分母は の式の係数 2 の 2 乗で 4。 に付く数が の側、 に付く数が の側に来る。
問 3 、 で媒介変数表示された曲線を求めよ。
放物線 の の部分
方針 の式の角が なので、2 倍角の公式で角を にそろえる。 が なので、 の 3 つの形のうち、 だけで書ける を選ぶ。消去したあと、 の範囲を必ず確かめる。
- 2 倍角の公式から、
- を代入して、
- 範囲を確かめる。 なので、
- このとき は、 で最大の 1、 で最小の をとるので、。これは が から 1 まで動くことと合っている。
- よって、放物線 のうち、 の部分だけを動く。
ここで間違えやすい 範囲を書かずに「放物線 」と答えると、点が動かない部分( や )まで含めてしまう。三角関数を消去したら、必ず範囲を付ける。
問 4 、 で媒介変数表示された曲線の方程式を求めよ。
双曲線
方針 と の組で表されているので、この 2 つを結ぶ関係式 を使って を消去する。そのために、まず 2 つの式を 、 について解く。
- の両辺を 2 で割って、
- の両辺を 3 で割って、
- に代入して、
- を右辺に移して左右を入れ替えると、
- 範囲を確かめる。 は から 1 まで(0 を除く)動くので、 は 1 以上か 以下。よって または 。 はすべての実数値をとるので、 はすべての実数値をとる。
- 双曲線 は、もともと と の 2 つの枝だけでできている。だから、双曲線の全体を動く。
ここで間違えやすい 使う関係式を と取り違えて、和の形(楕円)にしない。 と の組は、差が 1 になる。
問 5 のとき、、 で媒介変数表示された曲線を求めよ。
双曲線 の の部分(右側の枝)
方針 について解くのは難しいので、 と をそれぞれ 2 乗してみる。どちらにも が出るので、引き算すれば が消える。そのあと、条件 から と のとりうる値の範囲を調べる。
- を 2 乗する。 と の積は 1 なので、真ん中の項は 2 になり、
- も同じように 2 乗して、
- 上の式から下の式を引く。 と が消えて、残るのは 。よって
- の範囲を調べる。 で なので、相加平均と相乗平均の大小関係から 。根号の中は 1 なので右辺は 2 で、。等号は 、つまり のとき。
- の範囲を調べる。 は、 が 0 に近づくといくらでも小さくなり、 が大きくなるといくらでも大きくなる。だから はすべての実数値をとる。
- よって、双曲線 のうち の部分(右側の枝)の全体を動く。
ここで間違えやすい を出したところで止めて「双曲線」と答えない。 では が正にしかならないので、左側の枝()は通らない。
問 6 サイクロイド 、 について、 と に対応する点の座標を求めよ。
のとき 、 のとき
方針 媒介変数の値が与えられているので、 と の式に代入するだけでよい。先に と の値を求めておき、それから式に入れる。 そのもの(角の大きさ)も の式に入ることに注意する。
- のとき、、
- の式に入れて 。かっこを外して、
- の式に入れると、かっこの中は なので、。点は
- のとき、、
- の式に入れると、かっこの中は で なので、
- の式に入れると、かっこの中は なので、 は 。点は
の点は山の頂上で、高さは転がる円(半径 2)の直径 4 に等しい。
ここで間違えやすい の式の は角度そのものの値(弧度法)で、 や をそのまま入れる。 や の値と混ぜない。