楕円
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学C (2) 平面上の曲線と複素数平面 ア (ア)「放物線,楕円,双曲線が二次式で表されること及びそれらの二次曲線の基本的な性質について理解すること。」。
0. どういうまとまりか
2 定点 、 からの距離の和が一定である点の軌跡を楕円といい、、 を楕円の焦点といいます。
焦点を 軸上の 、 に置き、距離の和を とすると、方程式は ()になります。
これが楕円の方程式の標準形です。放物線と同じく 、 の二次方程式で表されるので、楕円も二次曲線の 1 つです。
| (横長) | (縦長) | |
|---|---|---|
| 焦点 | ||
| 距離の和 | ||
| 長軸の長さ | ( 軸上) | ( 軸上) |
| 短軸の長さ | ||
| 頂点 | 、 | 、 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 焦点は長軸の上にある。分母の大きいほうの文字の軸が長軸で、焦点もその軸上にある
- 焦点の座標は「大きい分母 − 小さい分母」の正の平方根。楕円は引き算、双曲線は足し算
- 距離の和は長軸の長さに等しい。 なら 、 なら
1. 楕円の定義と標準形
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(ア)
、 からの距離の和が ()である点を とします。
の根号を 1 つずつ移項して 2 乗することを 2 回くり返すと、 になります。
()とおいて両辺を で割ったものが標準形です。
楕円とは、どんな点の軌跡か?
2 定点 、 からの距離の和が一定である点の軌跡
、 を楕円の焦点という。距離の和は、焦点の間の距離 より大きい。
楕円 ()の焦点は?
と
を楕円の方程式の標準形という。焦点は長軸( 軸)の上にある。
楕円 ()上の点から 2 つの焦点までの距離の和は?
長軸の長さに等しい。頂点 で確かめると、焦点 までの距離は と で、和は 。
楕円 ()の頂点、長軸の長さ、短軸の長さは?
頂点は と の 4 点。長軸の長さは 、短軸の長さは
楕円と座標軸の交点が頂点。 軸上の 2 つの頂点を結ぶ線分が長軸、 軸上の 2 つを結ぶ線分が短軸。
楕円の中心とは何か?
長軸と短軸の交点(2 つの焦点を結ぶ線分の中点)
標準形の楕円の中心は原点。楕円は 軸、 軸、原点のどれについても対称になる。
焦点が 、 で、距離の和が の楕円の方程式は?
で、
は与えられないので、 と から計算する。 なので になる。
楕円 の焦点、長軸の長さ、短軸の長さは?
焦点 、。長軸の長さ 10、短軸の長さ 6
、。焦点の 座標は とその符号を変えたもの。
2. 焦点が y 軸上にある楕円
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(ア)
同じ形の方程式でも、 のときは縦長の楕円で、焦点は 軸上にあります。式の形は変わらず、 と の役割が入れ替わるだけです。
楕円 で のとき、焦点と距離の和は?
焦点は と 、距離の和は
縦長の楕円で、長軸は 軸上(長さ )、短軸は 軸上(長さ )になる。
楕円の方程式 から、焦点がどちらの軸上にあるかをどう見分けるか?
分母の大きいほうの文字の軸上にある
の分母が大きければ横長で焦点は 軸上、 の分母が大きければ縦長で焦点は 軸上。
楕円 の焦点と、焦点からの距離の和は?
焦点 、。距離の和は 6
の分母のほうが大きいので、焦点は 軸上。。距離の和は長軸の長さで、3 の 2 倍。
のような方程式から楕円の焦点を読むには、まず何をするか?
両辺を右辺の数で割って、右辺を 1 にする(標準形に直す)
両辺を 36 で割ると 。焦点は と 。
3. 円と楕円
根拠: 学習指導要領 数学C-(2)-ア-(ア)
楕円は、円を一定の方向に縮小または拡大した図形です。
円 上の点 の 座標だけを 倍した点を とすると、、 です。
これを に代入して両辺を で割ると、 になります。
楕円 は、円 をどう変形した図形か?
軸をもとにして、 軸方向に 倍に縮小または拡大した図形
円上の点の 座標だけを 倍する。 なら縮小(横長)、 なら拡大(縦長)。
楕円 で のとき、どんな図形になるか?
半径 の円
なので、2 つの焦点が中心に重なる。円は、焦点が 1 点に重なった楕円とみることができる。
【発展】楕円の面積
楕円 で囲まれた部分の面積は 。
半径 の円(面積 )を 軸方向に 倍した図形なので、面積も 倍になる。
きちんと示すには積分(数学Ⅲ)を使う。 のときは円の面積の公式に一致する。
練習問題
問 1 楕円 の焦点、長軸の長さ、短軸の長さを求めよ。
焦点 、。長軸の長さ 8、短軸の長さ
方針 すでに標準形 なので、分母から と を読む。分母の大きいほうの文字の軸が長軸で、焦点もその軸上にある。中心から焦点までの距離は「大きい分母 − 小さい分母」の正の平方根。
- 分母を比べて、、。よって 、
- の分母 16 のほうが大きい()ので横長の楕円。長軸は 軸上にあり、焦点も 軸上にある。
- 中心から焦点までの距離は で、。焦点は と
- 長軸の長さは で、
- 短軸の長さは で、
ここで間違えやすい 楕円の焦点は引き算。 と足すのは双曲線のときの式。
問 2 楕円 の焦点、長軸の長さ、短軸の長さを求めよ。
焦点 、。長軸の長さ 6、短軸の長さ 4
方針 右辺が 1 でないと 、 が読めない。まず両辺を 36 で割って標準形に直し、それから分母の大小で、焦点がどちらの軸上にあるかを決める。
- 両辺を 36 で割る。 の項は 9 を 36 で割って分母が 4、 の項は 4 を 36 で割って分母が 9 になるので、
- 分母を比べて、、。よって 、
- の分母 9 のほうが大きい()ので縦長の楕円。長軸は 軸上にあり、焦点も 軸上にある。
- 中心から焦点までの距離は で、。焦点は と
- 長軸の長さは で、
- 短軸の長さは で、
ここで間違えやすい もとの式で の係数 9 のほうが大きいからといって、横長ではない。係数が大きい文字ほど、割ったあとの分母は小さくなる。軸の判断は、標準形に直したあとの分母でする。
問 3 2 点 、 を焦点とし、焦点からの距離の和が 10 である楕円の方程式を求めよ。
方針 2 つの焦点が 軸上にあって原点について対称なので、標準形 ()とおける。距離の和から が、焦点の座標から が分かるので、残りの を で計算する。
- 焦点が 軸上なので横長()で、距離の和は長軸の長さ に等しい。 から
- 焦点 と比べて、
- 横長の楕円では なので、
- 数を入れると、。よって
- 、 を標準形に入れて、
確かめると、頂点 から 2 つの焦点までの距離は と で、和は 。
ここで間違えやすい 距離の和 10 は であって ではない。 としない。
問 4 2 点 、 を焦点とし、短軸の長さが 4 である楕円の方程式を求めよ。また、長軸の長さを求めよ。
。長軸の長さは
方針 焦点が 軸上にあるので、縦長の楕円 ()とおく。縦長では長軸が 軸上(長さ )、短軸が 軸上(長さ )になるので、短軸の長さからは が決まる。 は焦点の条件から求める。
- 焦点が 軸上なので、()とおく。
- 短軸は 軸上にあり、長さは 。 から 、
- 焦点 と比べて 。縦長の楕円では なので、
- 数を入れると、。よって
- 方程式は、
- なので、長軸の長さ は
ここで間違えやすい 短軸の長さ 4 を と読まない。焦点が 軸上のときは のほうが大きく、短いほうは 。
問 5 円 を、 軸をもとにして 軸方向に 倍に縮小すると、どんな曲線になるか。
楕円
方針 軌跡の定石を使う。もとの円上の点を 、移った先の点を とおき、、 を 、 で表して円の式に代入すれば、 と の関係式が残る。
- 円上の点を とすると、
- 座標だけを 倍するので、移った点 は 、
- 、 について解く。、
- これを に代入して、。2 乗を計算して
- 両辺を 9 で割る。 なので、
- これは楕円の標準形で、、。 軸方向は円の半径 3 のまま、 軸方向は に縮んでいる。
ここで間違えやすい 代入するのは、逆に解いた のほう。 をそのまま に掛けて代入すると、 軸方向に拡大した式になってしまう。
問 6 長さが 3 の線分 があり、端点 は 軸上を、端点 は 軸上を動く。このとき、線分 を に内分する点 の軌跡を求めよ。
楕円
方針 動く点 、 の座標を文字 、 でおき、「長さが 3」を 、 の式にする。次に の座標 を 、 で表し、逆に解いて代入すれば、、 が消えて と の関係式が残る。
- は 軸上、 は 軸上なので、、 とおく。
- なので 。2 点間の距離の公式から、
- は を に内分する。内分点の公式では、 の座標に 2、 の座標に 1 を掛けて足し、3 で割るので、、
- 、 について解く。、
- これを に代入して、。2 乗を計算して
- 両辺を 9 で割って、
- これは楕円の標準形(、)。逆に、この楕円上のどの点も条件を満たすので、軌跡はこの楕円の全体。
確かめると、 が で が原点のとき は 、 が原点で が のとき は で、どちらも楕円の頂点になっている。
ここで間違えやすい に内分するとき、 の座標に掛かるのは遠いほうの比の 2( 倍)。 としない。 は に近いので、 の座標の影響が大きい。