速度と加速度
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (2) 微分法 イ (ウ)・内容の取扱い (1)「内容の (2) のイの (ウ) については,関連して直線上の点の運動や平面上の点の運動の速度及び加速度を扱うものとする。」。このノートは、時刻の関数として表された点の位置を微分して速度と加速度を求めることと、時刻とともに変わる量の変化率を扱います。
0. どういうまとまりか
動く点の位置が時刻 の関数で表されているとき、位置を で微分すると速度、速度を で微分すると加速度になります。
直線上の運動では座標が 1 つ、平面上の運動では座標が 2 つあるだけで、やることは同じです。
| 直線上の点 | 平面上の点 | |
|---|---|---|
| 位置 | 。、 はどちらも の関数 | |
| 速度 | ||
| 速さ | ||
| 加速度 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 速度は向きつきの量、速さは 0 以上の量。直線上で速度が なら、負の向きに速さ 3 で動いている
- 速さが一定でも、加速度が 0 とは限らない。等速円運動は速さが一定だが、向きが変わり続けるので加速度は 0 でない
- 量の変化率は、時刻 で微分する。 が の式で書かれていても、求めるのは でなく 。合成関数の微分で がかかる
1. 直線上の点の運動
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-イ-(ウ)
数直線上を動く点 P の座標 が、時刻 の関数 で表されているとします。
数直線上を動く点の座標が のとき、時刻 における速度 は?
位置の、時刻に対する変化率。 なら正の向きに、 なら負の向きに動いている。
数直線上を動く点の座標が のとき、時刻 における加速度 は?
速度の、時刻に対する変化率。位置を 2 回微分したもの。
数直線上を動く点の速度が のとき、速さは?
速度は向きを符号で表す量、速さはその大きさで 0 以上。加速度 の大きさも同じく 。
数直線上を動く点が運動の向きを変えるのは、どんなときか?
速度 の符号が変わるとき
となる時刻が候補だが、その前後で の符号が変わらなければ向きは変わらない(一瞬止まって同じ向きに進む)。
2. 平面上の点の運動
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-イ-(ウ)
座標平面上を動く点 P の座標 が、どちらも時刻 の関数で表されているとします。
速度と加速度は、 方向と 方向の成分を並べた組(数学Cでいうベクトル)で表し、その大きさは各成分の 2 乗の和の平方根です。
座標平面上を動く点の座標 が の関数のとき、時刻 における速度は?
座標と 座標を、それぞれ で微分して並べた組。向きは、点がえがく曲線の接線の向きになる。
座標平面上を動く点の速度が のとき、速さは?
速度の大きさ。各成分の 2 乗の和の平方根で、0 以上の値。
座標平面上を動く点の座標 が の関数のとき、時刻 における加速度と、その大きさは?
加速度は 、大きさは
速度の各成分を、もう 1 回 で微分して並べた組。
3. 等速円運動
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-イ-(ウ)
原点を中心とする半径 の円周上を、点 P が 、(、 は定数)で動く運動を調べます。速さが一定なので、等速円運動といいます。
点 P の座標が 、(、)のとき、P の速さは?
(一定)
速度は 。速さは 。
点 P の座標が 、(、)のとき、P の加速度の向きと大きさは?
向きは P から円の中心(原点)へ向かう向き、大きさは (一定)
加速度は 。P の座標の 倍なので、中心を向く。
等速円運動で、速さが一定なのに加速度が 0 でないのはなぜか?
速度の向きが変わり続けているから
加速度は速度(向きつきの量)の変化率。速さが同じでも、向きが変われば速度の成分は変わる。
4. いろいろな量の変化率
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-イ-(ウ)
速度は「位置の、時刻に対する変化率」でした。同じ考えは、時刻とともに変わる長さ・面積・体積にもそのまま使えます。
時刻 とともに変わる量 の、時刻 における変化率は?
を で微分したもの。「毎秒 2 cm の割合で増える」は、変化率が 2 であること()を表す。
球の半径 が時刻 の関数のとき、体積 の変化率 を と で表すと?
合成関数の微分 を使う。 で止めず、 をかける。
練習問題
問 1 数直線上を動く点 P の時刻 における座標が であるとき、 における P の速度、速さ、加速度を求めよ。
速度 、速さ 1、加速度
方針 速度は座標を で微分したもの、加速度は速度をもう 1 回 で微分したもの。速さは速度の絶対値。 は合成関数なので、微分するたびに中身の導関数 2 がかかる。
- 速度を求める。
- 加速度を求める。
- のとき で、、
- 速度は
- 速さは
- 加速度は
ここで間違えやすい 速度と速さを同じ値にしない。速度は (負の向きに動いている)、速さはその絶対値の 1。
問 2 数直線上を動く点 P の時刻 ()における座標が であるとき、P が運動の向きを変える時刻と、そのときの P の座標と加速度を求めよ。
時刻 。そのときの座標は 、加速度は
方針 運動の向きが変わるのは、速度 の符号が変わるとき。 を求めて となる時刻を出し、その前後で符号が本当に変わることを確かめる。
- 積の導関数で速度を求める。
- なので、 の符号は の符号と同じ
- で 、 で 、 で 。よって で、正の向きから負の向きへ運動の向きが変わる
- のときの座標は
- 加速度を求める。
- のとき
問 3 座標平面上を動く点 P の時刻 における座標が 、 であるとき、 における P の速度、速さ、加速度の大きさを求めよ。
速度 、速さ 、加速度の大きさ 1
方針 座標と 座標をそれぞれ で微分して並べたものが速度、もう 1 回微分して並べたものが加速度。速さと加速度の大きさは、各成分の 2 乗の和の平方根で求める。
- を微分する。
- を微分する。
- のとき 、 なので、速度は
- 速さは
- もう 1 回微分する。、
- のとき、加速度は
- 加速度の大きさは
問 4 座標平面上を動く点 P の時刻 における座標が 、 であるとき、P の速さと加速度の大きさを求めよ。また、加速度の向きを答えよ。
速さ 6、加速度の大きさ 12。加速度の向きは、P から原点(円の中心)へ向かう向き
方針 P は原点を中心とする半径 3 の円周上を動く。各座標を で 1 回、2 回と微分して速度と加速度を求め、大きさは を使ってまとめる。加速度の向きは、加速度の成分を P の座標 と比べて読む。
- 速度を求める。、
- 速さは
- 加速度を求める。、
- 加速度の大きさは
- 加速度の成分を座標で表す。、
- 加速度は で、P の座標 の 倍。よって向きは、P から原点へ向かう向き
問 5 球の半径が毎秒 2 cm の割合で大きくなっている。半径が 5 cm になった瞬間の、体積の変化率と表面積の変化率を求めよ。
体積の変化率は毎秒 cm³、表面積の変化率は毎秒 cm²
方針 半径 は時刻 の関数で、。体積 と表面積 は の式なので、合成関数の微分で について微分し、、 を代入する。
- 時刻 秒における半径を cm、体積を cm³、表面積を cm² とする。条件から
- を で微分する。
- 、 を代入する。
- を で微分する。
- 、 を代入する。
ここで間違えやすい に を入れた を答えにしない。それは半径に対する変化率で、時刻に対する変化率には がかかる。
問 6 上面の半径が 4 cm、深さが 8 cm の直円錐の形をした容器が、頂点を下にして軸が鉛直になるように置かれている。この容器に毎秒 cm³ の割合で水を注ぐとき、水の深さが 4 cm になった瞬間の、水面の上がる速さを求めよ。
毎秒 1 cm
方針 水の体積 を水の深さ だけの式で表し、時刻 で微分する。水面の半径は深さに比例するので、相似を使って半径を で表しておく。 が与えられているので、 について解く。
- 時刻 秒における水の深さを cm、水面の半径を cm、水の体積を cm³ とする
- 水の部分は容器と相似な円錐なので、。よって
- 体積は
- で微分する。
- 、 を代入する。
- よって 。水面は毎秒 1 cm の速さで上がる
ここで間違えやすい のまま を定数として微分しない。水面の半径 も時刻とともに変わるので、先に で だけの式にする。