逆関数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (1) 極限 ア (エ)「合成関数や逆関数の意味を理解し,簡単な場合についてそれらを求めること。」。このノートは、対応の向きを逆にした関数である逆関数の求め方と、もとの関数との定義域・値域・グラフの関係を扱います。
0. どういうまとまりか
関数 は「 を決めると が決まる」対応です。この向きを逆にして「 を決めると が決まる」と読めるとき、その対応が逆関数 です。
逆向きに読めるのは、1 つの に対して がただ 1 つ決まるとき(1 対 1 の対応のとき)だけです。
向きを逆にするので、定義域と値域が入れかわり、グラフは と を入れかえた形、つまり直線 に関して対称になります。
| もとの関数 | 逆関数 | |
|---|---|---|
| 対応 | を に対応させる() | を に対応させる() |
| 定義域 | の定義域 | の値域 |
| 値域 | の値域 | の定義域 |
| グラフ | 点 を通る | 点 を通る(直線 に関して対称) |
分かれ目は次の 3 つ。
- 逆関数は 1 対 1 の対応のときだけ定まる。 は実数全体では逆関数をもたないが、定義域を に制限すればもつ
- 逆関数を求めたら、定義域(もとの関数の値域)を必ず添える。式だけでは逆関数が決まらないことがある
- は逆数 ではない
1. 逆関数の定義と求め方
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(エ)
を について解くと になります。これは「 から を求める規則」で、変数の名前を入れかえたものが逆関数です。
関数 の逆関数とは何か?
値域のどの に対しても となる がただ 1 つ決まるとき、 を の関数とみて と表し、 と を入れかえた関数 のこと。 と書く
が「 から を決める」対応なら、 は「その からもとの に戻す」対応。
関数 が逆関数をもつのは、どんなときか?
1 対 1 の対応のとき(定義域の異なる に、必ず異なる が対応するとき)
定義域全体で増加する関数、定義域全体で減少する関数は 1 対 1 なので逆関数をもつ。(実数全体)は と がどちらも に対応するので、逆関数をもたない。
関数 の逆関数を求める手順は?
① を について解いて の形にする ② と を入れかえて とする ③ もとの関数の値域を、逆関数の定義域として添える
なら、 と解いて、入れかえて 。
は と同じか?
同じではない。 は逆関数、 は逆数
なら、、。 の は指数ではなく、逆関数を表す記号。
2. 定義域・値域とグラフ
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(エ)
対応の向きを逆にするので、入口(定義域)と出口(値域)が入れかわります。
逆関数 の定義域と値域は、もとの関数 の定義域と値域とどんな関係にあるか?
入れかわる。 の定義域は の値域、 の値域は の定義域
()の値域は なので、逆関数 の定義域は 、値域は 。
のグラフと、その逆関数 のグラフは、どんな位置関係にあるか?
直線 に関して対称
点 が のグラフ上にあれば、点 が のグラフ上にある。点 と点 は直線 に関して対称。
関数 が逆関数 をもつとき、 を を使って言いかえると?
「」は「」と同じこと。 の式を求めなくても、 の式に代入して条件を使える。
の定義域の に対して、 はどうなるか?
で移した先を で戻すと、もとの に戻る。同じように、 の値域の に対して 。 と を続けて行うと、どちらの順でも がそのまま返る。
3. いろいろな関数の逆関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(エ)
これまでに学んだ関数の中にも、逆関数の関係にある組があります。
指数関数 (、)の逆関数は?
対数関数
を について解くと 。指数関数の値域 が、対数関数の定義域 (真数は正)になる。2 つのグラフは直線 に関して対称。
()の逆関数は?
定義域を に制限すると増加関数になり、1 対 1 なので逆関数をもつ。値域は 。 を について解くと で、 から を選ぶ。
()の逆関数は?
のうち、 から を選ぶ。もとの関数の定義域が、根号の前の符号を決める。
4. と の共有点
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(エ)
2 つのグラフは直線 に関して対称なので、 と直線 の共有点は、必ず のグラフ上にもあります。
が増加関数のとき、 のグラフと のグラフの共有点はどう求めるか?
共有点はすべて直線 上にあるので、方程式 を解く
の式を作って を解くより、次数が低くてすむ。増加関数で 、、 とすると から となり矛盾するので、 に限られる。
と のグラフの共有点は、いつでも直線 上にあるか?
いつでもとは限らない。 が増加関数でないときは、直線 上にない共有点をもつことがある
の逆関数は で自分自身。グラフ上のすべての点が共有点で、たとえば点 は直線 上にない。
練習問題
問 1 関数 ()の逆関数を求めよ。
()
方針 について解いてから と を入れかえる。逆関数の定義域はもとの関数の値域なので、先に値域を求めておく。
- は増加関数なので、1 対 1 で逆関数をもつ
- 値域を求める。 のとき 、 のとき なので、値域は
- について解く。 から、
- と を入れかえる。
- 定義域は、もとの関数の値域の
ここで間違えやすい もとの定義域 をそのまま逆関数の定義域に書いてしまう。定義域と値域は入れかわる。
問 2 関数 の逆関数を求めよ。
方針 分母をはらって について解き、 と を入れかえる。 を含む項を一方の辺に集めて、 でくくるのが解き方の中心。
- もとの関数は と変形できるので、値域は 。 と のそれぞれで減少し、 では 、 では なので、1 対 1 で逆関数をもつ
- 分母をはらう。
- 展開する。
- を含む項を左辺に、含まない項を右辺に集める。
- でくくる。
- なので、両辺を で割れる。
- と を入れかえる。
- 定義域はもとの関数の値域なので 。これは分母が 0 にならない条件と一致するので、特に書き添えなくてよい
問 3 関数 ()の逆関数を求めよ。
()
方針 二次関数は、定義域が軸の片側に制限されていれば 1 対 1 なので逆関数をもつ。平方完成して について解き、 のどちらを選ぶかはもとの定義域から決める。
- 平方完成する。
- 軸は で、 では増加する。よって 1 対 1 で、値域は
- について解く。
- から なので、
- よって
- と を入れかえる。
- 定義域は、もとの関数の値域の
ここで間違えやすい 手順 4 で のまま進めてしまう。1 つの に 2 つの が対応しては関数にならない。もとの定義域 が を選ばせる。
問 4 関数 の逆関数を求めよ。
()
方針 指数関数を について解くと対数が出てくる。( の式)の形にしてから、対数の定義で を取り出す。値域を先に求めて、逆関数の定義域にする。
- なので、。値域は 。また増加関数なので、1 対 1 で逆関数をもつ
- について解く。
- 対数の定義から、
- と を入れかえる。
- 定義域は、もとの関数の値域の 。これは真数 が正である条件と一致する
問 5 一次関数 ()について、、 が成り立つ。定数 、 の値を求めよ。
、
方針 は と同じこと。逆関数の式を作らずに、 についての条件 2 つに直して連立方程式を解く。
- を言いかえると、
- から、
- から、
- 手順 3 の式から手順 2 の式をひく。 なので、
- に を代入して なので、
- なので は増加関数で、確かに逆関数をもつ
問 6 関数 について、 のグラフと、その逆関数 のグラフの共有点の座標を求めよ。
方針 は増加関数なので、逆関数のグラフとの共有点はすべて直線 上にある。 を解くかわりに、 を解けばよい。
- は定義域 で増加するので、共有点は と直線 の共有点と一致する
- とおく
- 両辺を 2 乗する。
- 整理する。
- 因数分解する。 から、
- を確かめる。左辺は 、右辺は 。適さない
- を確かめる。左辺は 、右辺は 2。適する
- 直線 上の点なので、共有点は
逆関数 ()を作って を解いても同じ答えになるが、2 乗すると四次方程式になる。