無理関数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (1) 極限 ア (ウ)「簡単な分数関数と無理関数の値の変化やグラフの特徴について理解すること。」。このノートは、根号の中が一次式の無理関数のグラフと、直線との共有点・不等式を扱います。
0. どういうまとまりか
のように、根号の中に を含む式で表される関数が無理関数です。ここで扱うのは根号の中が一次式のものです。
の両辺を 2 乗すると になるので、グラフは横に倒した放物線の半分です。分数関数とちがって漸近線はなく、グラフには端の点があります。
| 式 | グラフ | 定義域 | 値域 |
|---|---|---|---|
| () | 放物線 の上半分。原点から右上へ伸びる | ||
| () | 放物線 の上半分。原点から左上へ伸びる | ||
| と 軸に関して対称(下半分) | と同じ | ||
| を 軸方向に だけ平行移動 | を解いた範囲 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 定義域は「根号の中が 0 以上」から決まる。不等式を解くときも、答えはこの範囲の中に限られる
- 直線との共有点を求めるのに両辺を 2 乗すると、余計な解が混じる。出た解はもとの式に戻して確かめる
- 共有点の個数が変わる境目は、直線が曲線に接するときと、直線がグラフの端の点を通るときの 2 つ
1. のグラフ
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ウ)
根号の値は 0 以上なので、 のグラフは 軸より下には出ません。これが「放物線の半分」になる理由です。
無理関数とはどんな関数か?
根号の中に を含む式(無理式)で表される関数。、 など
定義域は、根号の中が 0 以上になる の範囲。数学Ⅲでは根号の中が一次式のものを扱う。
()の定義域と値域は?
定義域は 、値域は
根号の中 が 0 以上になるのは、 なら のとき。根号の値は 0 以上なので 。
のグラフは、どんな曲線のどの部分か?
放物線 の、 の部分(頂点の原点を含む上半分)
の両辺を 2 乗すると 。これは と書ける、 軸を軸とする放物線。 の条件がつくので半分だけになる。
のグラフは、 のグラフとどんな位置関係にあるか?
軸に関して対称(放物線 の下半分)
定義域は と同じで、値域は 。2 つを合わせると放物線 の全体になる。
のとき、 の定義域は?
の両辺を負の数 で割ると、不等号の向きが変わる。グラフは原点から左上へ伸びる。 のグラフは、 のグラフと 軸に関して対称。
2. 平行移動と定義域・値域
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ウ)
は、根号の中を でくくると平行移動の量が読めます。
のグラフは、 のグラフをどう移動したものか?
軸方向に だけ平行移動したもの
とくくって読む。 なら、 を 軸方向に 。グラフの端の点は 。
の定義域は、どう求めるか?
根号の中が 0 以上、つまり不等式 を解く
なら 、 なら 。値域はどちらも 。
は、 の符号によって増加するか減少するか?
なら定義域全体で増加し、 なら定義域全体で減少する
根号の中が大きいほど値も大きい。定義域が区間に制限されたときの値域は、両端の値を調べれば決まる。
3. グラフと直線の共有点
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ウ)
を解くには両辺を 2 乗しますが、2 乗した式はもとの式と同じ意味ではありません。
無理関数 のグラフと直線 の共有点の 座標は、どう求めるか?
の両辺を 2 乗して解き、出た解がもとの式を満たすかを確かめる
2 乗した方程式 の解のうち、もとの式を満たすものだけが共有点の 座標。
の両辺を 2 乗して解くと、余計な解が混じることがあるのはなぜか?
2 乗した方程式 は、 の解も含むから
ならば だが、逆は または 。グラフでいえば、下半分 と直線の共有点まで一緒に出てくる。
の両辺を 2 乗して出た解が、もとの方程式の解であるための条件は?
右辺が 0 以上であること()
左辺の根号の値は 0 以上なので、右辺が負になる解は適さない。 で なら、根号の中も自動的に 0 以上になる。
4. 無理不等式と共有点の個数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(ウ)
不等式も、定数 を含む問題も、グラフをかいて直線との位置関係で読みます。
不等式 をグラフで解くには、どうするか?
定義域()の範囲の中で、曲線 が直線 より上側にある の値の範囲を読む
先に共有点の 座標を求める。答えは定義域からはみ出さない。グラフの端の点が答えに入るかどうかも確かめる。
曲線 と、傾きが一定の直線 の共有点の個数を の値で分けるとき、境目として調べるのはどんなときか?
直線が曲線に接するときと、直線がグラフの端の点 を通るとき
接する は、2 乗した二次方程式の判別式 から出す(接点が の側にあることも確かめる)。端の点を通る は、端の点の座標を直線の式に代入して出す。
練習問題
問 1 関数 の定義域と値域を求めよ。また、このグラフは のグラフをどのように平行移動したものか。
定義域は 、値域は 。 のグラフを 軸方向に だけ平行移動したもの
方針 定義域は「根号の中が 0 以上」から決まる。平行移動の量は、根号の中を の係数でくくって の形にすると読める。
- 根号の中が 0 以上であればよい。
- から、。これが定義域
- 根号の値は 0 以上で、 のとき 、 を大きくすると はいくらでも大きくなる。よって値域は
- 根号の中を 2 でくくる。
- は、 の を におきかえたものなので、 軸方向に だけ平行移動したグラフになる
ここで間違えやすい を見て「 軸方向に 」としてしまう。 の係数でくくってから読む。
問 2 関数 ()の値域を求めよ。
方針 は の係数が負なので、定義域全体で減少する。増減が一方向なら、両端の値を調べれば値域が決まる。
- 根号の中は で、 が増えると小さくなる。よって は減少する
- のとき、
- のとき、
- 減少するので、値域は
問 3 関数 のグラフと直線 の共有点の座標を求めよ。
方針 共有点の 座標は方程式 の解。両辺を 2 乗して二次方程式にするが、2 乗すると余計な解が混じるので、出た解をもとの式に代入して確かめる。
- とおく
- 両辺を 2 乗する。
- 右辺を展開する。
- 整理する。
- 因数分解する。 から、
- を確かめる。左辺は 、右辺は 。等しいので適する
- を確かめる。左辺は 、右辺は 。等しくないので適さない
- のとき なので、共有点は
ここで間違えやすい も答えに入れてしまう。 は、下半分 と直線の共有点の 座標である。
問 4 不等式 を解け。
方針 定義域の中で、曲線 が直線 より上側にある の範囲をグラフから読む。そのために、定義域と共有点を先に求める。
- 定義域を求める。 から、
- 共有点を求める。 の両辺を 2 乗して
- から なので、
- 確かめる。 は左辺 2、右辺 2 で適する。 は左辺 1、右辺 で適さない。共有点の 座標は だけ
- グラフの端の点は 。 のとき直線は なので、端では曲線が上にある
- 共有点は の 1 つだけなので、 ではずっと曲線が上、 ではずっと曲線が下( で比べると、曲線は 3、直線は 7)
- よって解は
ここで間違えやすい 両辺をそのまま 2 乗して とし、 と答えてしまう。右辺 が負のときは、2 乗すると大小が保たれない。 では左辺が 0 以上、右辺が負なので、不等式は成り立っている。
問 5 不等式 を解け。
方針 定義域の中で、曲線 が直線 より下側にある の範囲をグラフから読む。この曲線は の係数が負なので、端の点から左上へ伸びる。
- 定義域を求める。 から、
- 共有点を求める。 の両辺を 2 乗して
- 右辺を展開する。
- 整理する。
- 因数分解する。 から、
- を確かめる。左辺は 、右辺は 。適さない
- を確かめる。左辺は 、右辺は 。適する。共有点の 座標は だけ
- 曲線は減少し、直線は増加する。よって では曲線が上、 では曲線が下
- 定義域 と合わせて、解は
ここで間違えやすい 定義域を忘れて と答えてしまう。 では根号の中が負になり、左辺が定まらない。
問 6 曲線 と直線 の共有点の個数を、定数 の値によって分類せよ。
のとき 0 個、 のとき 1 個、 のとき 2 個、 のとき 1 個
方針 傾き 1 の直線を上下に動かして、曲線との共有点の個数を数える。個数が変わる境目は、直線が曲線に接するときと、直線がグラフの端の点 を通るときの 2 つ。この 2 つの を先に求める。
- 端の点 を通るときの を求める。 から、
- 接するときの を求める。 の両辺を 2 乗して
- 整理する。
- 判別式を とすると、
- 展開する。
- 接するのは のときなので、 から
- このときの重解は で、。 なので、確かに上半分の曲線に接している
- のとき、直線 は端の点 のほかに点 でも曲線と交わるので、共有点は 2 個
- 直線を上から下げていく。 では曲線の上を通りすぎて 0 個、 で接して 1 個、 では 2 点で交わって 2 個、 では端の点より下を通り 1 点だけで交わって 1 個
ここで間違えやすい 判別式だけで「 なら 2 個」としてしまう。 でも だが、2 つの解のうち 1 つは下半分 との共有点なので、個数は 1 個になる。