積と商の導関数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (2) 微分法 ア (ア)「微分可能性,関数の積及び商の導関数について理解し,関数の和,差,積及び商の導関数を求めること。」。このノートは、2 つの関数をかけた形・割った形の関数を、展開せずに微分する公式を扱います。
0. どういうまとまりか
数学Ⅱでは、積の形の式は展開してから微分しました。数学Ⅲでは、積のまま・分数のまま微分する公式を使います。
和と差は「それぞれを微分して足す・ひく」でよいのに、積と商はそうなりません。ここが最初のつまずきです。
以下、 と は微分可能な関数とします。
| 形 | 導関数 |
|---|---|
| 定数倍・和・差 | |
| 積 | |
| 商 | |
| 逆数 | |
| ( は整数) |
分かれ目は次の 3 つ。
- 積の導関数は ではない。片方ずつ微分したものを足す
- 商の導関数は分子の順と符号。「分子を微分したもの」が先で、間はマイナス。分母は 2 乗
- 分母が単項式の分数式は、割ってから の公式( は負の整数でもよい)を使うほうが速い
1. 定数倍・和・差の導関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
数学Ⅱで多項式に使った性質は、微分可能な関数ならどれにでも成り立ちます。
、 を定数とするとき、 は?
定数倍は外に出し、和と差はそれぞれを微分する。 もこの形(、)。
2. 積の導関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
に をひいて加えると、 と分かれます。
で割って とすると、 は微分可能なので連続で は に近づき、 が出ます。
積の導関数 は?
「前を微分して後ろはそのまま」と「前はそのままで後ろを微分」を足す。
としてよいか?
いけない。正しくは
で確かめると、 では で 1 になるが、正しい導関数は 。
積の導関数の公式を定義から導くとき、 にどんな変形をするか?
をひいて加え、 と分ける
で割って とする。 は微分可能だから連続で、 は に近づく。
3 つの関数の積の導関数 は?
1 つずつ順に微分して、3 つを足す。 とみて積の導関数を 2 回使うと出る。
積の導関数を使うと、 の導関数は?
とみて、。 で止めず、 がかかる。
3. 商の導関数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
商の導関数は、まず の導関数を定義から求め、 に積の導関数を使うと出ます。分母が 0 になる は除いて考えます。
商の導関数 は?()
分母は 2 乗。分子は「分子を微分 × 分母」から「分子 × 分母を微分」をひく。
商の導関数の分子を と書くと、どうなるか?
符号が逆になり、誤り。正しい分子は
積の導関数は足し算なので順を入れかえても同じだが、商はひき算なので順が決まっている。分子を微分したものが先。
逆数の導関数 は?()
商の導関数で分子を 1 としたもの(1 の導関数は 0)。マイナスを落としやすい。
4. の導関数( が負の整数のとき)
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
が負の整数のとき、( は自然数)とおくと です。逆数の導関数から
となり、これは と同じ形です。
が負の整数のとき、 は成り立つか?
成り立つ()。 がどんな整数でも
とおいて に逆数の導関数を使うと確かめられる。
を自然数とするとき、 は?
とみて 。分母の次数は 1 つ上がる()。
のように、分母が単項式の分数式は、どう微分すると速いか?
先に割って の和の形にしてから、項ごとに微分する
なので、導関数は 。商の導関数でも同じ結果になるが、計算が長い。
練習問題
問 1 関数 を、積の導関数を使って微分せよ。
方針 2 つの式の積なので、積の導関数 を使う。、 とみる。
- それぞれを微分する。、
- 公式に入れる。
- 展開する。、
- 足す。
問 2 関数 を微分せよ。
方針 分数の形で、分母が単項式でないので、商の導関数 を使う。、 とみる。
- それぞれを微分する。、
- 公式に入れる。
- 分子の前半を展開する。
- 分子の後半を展開する。
- ひく。
- よって
ここで間違えやすい 手順 5 で後半をかっこに入れずにひくと、 の符号を変え忘れて になる。
問 3 関数 を微分せよ。
(通分すると )
方針 分母が単項式 なので、先に割って の形の和にする。 は が負の整数でも使える。
- 項ごとに割る。
- 指数で書く。
- 項ごとに微分する。、、
- 足す。
- 通分するなら、分母を にそろえて
問 4 関数 を、展開せずに微分せよ。
方針 3 つの式の積なので、 を使う。3 つの因数はどれも微分すると 1 になる。
- 公式に入れる。
- 1 つ目を展開する。
- 2 つ目を展開する。
- 3 つ目を展開する。
- 足す。 の項は 、 の項は 、定数項は 11 なので、
問 5 関数 について、 となる の値を求めよ。
方針 商の導関数で を求める。分数の値が 0 になるのは分子が 0 のときなので、分子を因数分解する。分母が 0 になる は定義域に入らない。
- 、 とみて、それぞれ微分する。、
- 公式に入れる。
- 分子を整理する。
- 因数分解する。
- となるのは分子が 0 のときで、(どちらも を満たす)
問 6 関数 が 、 を満たすとき、定数 、 の値を求めよ。
、
方針 商の導関数で を 、 を含む式で表し、 と を代入して 2 本の式を作る。
- 分子と分母を微分する。、
- 公式に入れる。
- 分子を整理する。
- を代入する。分子は 、分母は 1 なので 。条件から
- を代入する。分子は 、分母は なので
- 条件から なので、