微分可能性と連続性
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (2) 微分法 ア (ア)「微分可能性,関数の積及び商の導関数について理解し,関数の和,差,積及び商の導関数を求めること。」。このノートは、微分係数の定義にもどって、微分可能であることと連続であることの関係を扱います。
0. どういうまとまりか
数学Ⅱでは多項式の関数だけを微分したので、「微分できるかどうか」を気にする必要がありませんでした。
数学Ⅲでは分数関数・無理関数・絶対値のついた関数まで広げるので、微分係数を定める極限値がそもそも存在するかを問うことになります。
極限値が存在するとき微分可能といい、微分可能な関数は必ず連続です。ただし逆は成り立ちません。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| で連続 | が成り立つ(グラフがつながっている) |
| における微分係数 | 極限値 (1 つの数) |
| で微分可能 | 上の極限値が存在する(グラフに傾きの決まった接線が引ける) |
| 導関数 | 微分可能な各 に微分係数を対応させる関数 |
分かれ目は次の 3 つ。
- 微分可能ならば連続。逆は成り立たない( は で連続だが微分可能でない)
- 微分可能かどうかは、右側からの極限と左側からの極限が一致するかで調べる
- つなぎ目で微分可能にする条件は、連続の条件と微分係数の一致の 2 本。片方だけでは足りない
1. 微分係数と微分可能
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
微分係数の定義は数学Ⅱと同じですが、形が 2 つあります。 とおけば、 と は同じことなので、どちらも同じ値です。
関数 の における微分係数 の定義を、 の形で書くと?
は正の側からも負の側からも 0 に近づける。平均変化率の極限値。
関数 の における微分係数 の定義を、 の形で書くと?
の形で とおいたもの。 の形の極限を見たら、この定義を思い出す。
関数 が で微分可能であるとは?
極限値 が存在すること
極限が に発散するときや、右側からと左側からで値が違うときは、微分可能でない。
関数 の導関数 の定義は?
ある区間のすべての で微分可能なとき、各 に微分係数を対応させてできる関数。微分係数は数、導関数は関数。
2. 微分可能性と連続性
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
が で微分可能なら、 の右辺は のとき に近づきます。
つまり となり、 で連続です。逆向きは成り立ちません。
関数 が で微分可能ならば、 で連続といえるか?
いえる(微分可能ならば連続)
が で に近づくから。
関数 が で連続ならば、 で微分可能といえるか?
いえない(連続であっても微分可能とは限らない)
グラフがつながっていても、とがっている点では接線の傾きが 1 つに決まらない。
連続であるが微分可能でない点をもつ関数の、代表的な例は?
の
は、 のとき 1、 のとき に近づき、極限値が存在しない。
右側からの極限 と左側からの極限 を使うと、 で微分可能である条件は?
2 つの極限値がともに存在して、一致すること
それぞれを右側微分係数、左側微分係数という。一致した値が 。
3. 定義に従って導関数を求める
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
多項式でない関数は、 をそのまま で割ることができません。 を約分できる形にする変形が、関数の種類ごとに決まっています。
の導関数を定義に従って求めるとき、 にする変形と、得られる導関数は?
通分する。
なので、 で割ると 。 として 。
の導関数を定義に従って求めるとき、 にする変形と、得られる導関数は?
分子を有理化する。()
分母と分子に をかけると分子が になり、。 として 。
4. 微分係数の定義を使う
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(2)-ア-(ア)
定義の式は、微分可能かどうかを調べるときと、 で表せる極限を計算するときに使います。
と で式が変わる関数 (どちらの式も微分可能)が、つなぎ目 で微分可能になる条件は?
で連続であることと、右側微分係数と左側微分係数が一致することの 2 本
連続の条件を落とすと、定数が 1 つ決まらない。連続でなければ、そもそも微分可能でない。
が で微分可能なとき、 を で表すと?
分母を分子の増分 にそろえる。 で、 のとき 。
が で微分可能なとき、 を で表すと?
分子に をひいて加え、 と分ける。どちらも に近づく。
練習問題
問 1 関数 の導関数を、定義に従って求めよ。
方針 導関数の定義 に入れる。分数の差はそのままでは で割れないので、通分して分子に を出す。
- 差を作る。
- 通分する。分子は なので、
- で割る。
- とすると、分母は に近づくので、
問 2 関数 の導関数を、定義に従って求めよ。
方針 導関数の定義に入れる。根号の差はそのままでは で割れないので、分子を有理化して分子に を出す。
- 定義の式を作る。
- 分母と分子に をかける。分子は になる
- を約分する。
- とすると、分母は に近づくので、
問 3 関数 は、 で連続であるが微分可能でないことを示せ。
なので連続。右側微分係数は 2、左側微分係数は で一致しないので、微分可能でない
方針 連続は を確かめる。微分可能かどうかは、 の と の極限を別々に求めて比べる。絶対値の中身の符号が の前後で変わるので、場合を分ける。
- 。また のとき なので 。よって となり、 で連続
- 絶対値の中身を調べる。
- のとき なので、。よって で、 のとき 2 に近づく
- のとき なので、。よって で、 のとき に近づく
- 右側微分係数 2 と左側微分係数 が一致しないので、 は存在しない。よって で微分可能でない
問 4 関数 を、 のとき 、 のとき と定める。 が で微分可能となるように、定数 、 の値を定めよ。
、
方針 微分可能ならば連続なので、まず で連続になる条件を式にする。そのうえで、右側微分係数と左側微分係数が一致する条件を式にする。未知数が 2 つなので、この 2 本で決まる。
- ( の式を使う)。右側からの極限は
- で連続である条件は、
- 左側微分係数を求める。 のとき で、 のとき 3 に近づく
- 右側微分係数を求める。 のとき
- 手順 2 から なので、 で、 のとき に近づく
- 2 つが一致する条件は なので、
- に代入して、
ここで間違えやすい と の での値を等しいとおくだけ( だけ)で終えない。それでは が決まらず、 なら で連続でないので微分可能にならない。
問 5 関数 が で微分可能であるとき、極限値 を で表せ。
方針 微分係数の定義 の形を作る。分子に をひいて加えて 2 つに分け、それぞれの分母を分子の増分( と )にそろえる。
- 分子を分ける。
- 1 つ目。 で、 のとき なので、 に近づく
- 2 つ目。 で、 のとき なので、 に近づく
- 1 つ目から 2 つ目をひいて、
問 6 関数 が で微分可能であるとき、極限値 を 、、 で表せ。
方針 の形の定義 を使う。分子に をひいて加えると、 のかたまりと、 のかたまりに分かれる。
- 分子に をひいて加える。
- それぞれくくる。
- で割る。 なので、
- とすると、 は に、 は に近づくので、極限値は