無限等比級数
このノートの問いがそのまま復習カードになり、忘れかけたころに出題されます。
学習指導要領 数学Ⅲ (1) 極限 ア (イ)「無限級数の収束,発散について理解し,無限等比級数などの簡単な無限級数の和を求めること。」。このノートは、等比数列から作る無限級数の収束条件と和の公式、それを使う循環小数と図形の問題を扱います。
0. どういうまとまりか
初項 、公比 の無限等比数列から作った無限級数 を無限等比級数といいます。
部分和が等比数列の和の公式で の式に表せるので、収束・発散と和が と だけで決まります。
| 初項 と公比 | 無限等比級数 |
|---|---|
| 収束する。和は 0 | |
| 、 | 収束する。和は |
| 、 | 発散する |
分かれ目は次の 3 つ。
- 収束条件は「 または 」。無限等比数列の収束条件 と違い、 は入らない
- 和の公式 は、収束することを確かめてから使う。 でも式の値は出てしまう
- 公式の は初項。 の初項は で、1 ではない
1. 収束条件と和
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(イ)
初項 、公比 ()の等比数列の、初項から第 項までの和は です(数学B)。これが部分和になります。
無限等比級数とは?
初項 、公比 の無限等比数列から作った無限級数
記号では 。
無限等比級数 が収束するための条件は?
または
のときは、すべての項が 0 なので、 が何であっても収束する(和は 0)。
、 のとき、無限等比級数 の和は?
「初項 ÷(1 − 公比)」。 のときの和 0 も、この式に を入れた値と一致する。
、 のとき、無限等比級数 は収束するか、発散するか?
発散する
このとき第 項 の絶対値は 以上で、項が 0 に収束しない。
無限等比級数の和の公式 は、部分和からどう導かれるか?
のとき部分和は 。 なら が 0 に収束するので、 は に収束する
無限級数の和は、部分和の極限値。公式は、等比数列の和の公式で を 0 に置きかえた形になっている。
公比が のとき、無限等比数列 と無限等比級数 の収束・発散はどう違うか?()
数列は に収束するが、無限等比級数は発散する
数列は 。無限等比級数の部分和は で、正または負の無限大に発散する。数列の収束条件は 、無限等比級数の収束条件は (どちらも のとき)。
のとき、 の和は?
初項は を入れた で、1 ではない。和の公式の には、必ず第 1 項を入れる。
2. 循環小数
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(イ)
同じ数字の並びをくり返す循環小数は、無限等比級数の和として分数に直せます。
循環小数 を無限等比級数とみると、初項と公比は? また、和は?
初項 、公比 。和は
とみる。公比の絶対値が 1 より小さいので収束し、和は で 。
くり返す部分(循環節)が 2 桁の循環小数を無限等比級数とみると、公比は?
は 。循環節が 桁なら、公比は 。
3. 収束する範囲と応用
根拠: 学習指導要領 数学Ⅲ-(1)-ア-(イ)
初項や公比が の式のときは、収束条件を の条件に直します。図形の問題では、相似比が公比になります。
初項や公比が の式で表された無限等比級数が収束するような の範囲は、どう求めるか?
「初項 」となる と、「公比の絶対値 」を満たす を求め、合わせる
初項が 0 になる を落としやすい。和は、初項が 0 のとき 0、そうでないとき と分けて答える。
相似な図形を、相似比 ()で次々に作っていくとき、長さの和と面積の和は、それぞれ公比がいくつの無限等比級数になるか?
長さの和は公比 、面積の和は公比
面積比は相似比の 2 乗。となり合う 2 つの図形の関係から を求めれば、あとは初項と公比で和が出る。
を と分けて計算してよいのは、どんなときか?
と がどちらも収束するとき
2 つの無限等比級数の和なら、それぞれの公比の絶対値が 1 より小さいことを確かめてから分ける。
練習問題
問 1 無限等比級数 の収束、発散を調べ、収束するときはその和を求めよ。
収束して、和は
方針 無限等比級数は、初項と公比が分かれば収束・発散と和が決まる。となり合う項の比から公比を求め、絶対値が 1 より小さいことを確かめてから和の公式を使う。
- 初項は
- 公比は、第 2 項を初項で割って
- なので、収束する
- 分母は
- 和は
ここで間違えやすい 公比が負のとき、分母を としない。 の に を入れるので、分母は になる。
問 2 循環小数 (小数第 2 位から 18 をくり返す)を分数で表せ。
方針 くり返さない部分 と、くり返す部分 に分ける。くり返す部分は、循環節が 2 桁なので公比 の無限等比級数になる。
- 分ける。
- かっこの中は、初項 、公比 の無限等比級数。公比の絶対値が 1 より小さいので収束する
- かっこの中の和は、
- とたして、
問 3 無限等比級数 が収束するような の値の範囲を求めよ。また、そのときの和を求めよ。
。和は、 のとき 0、 のとき 1
方針 初項 、公比 の無限等比級数。収束条件は「初項 」または「公比の絶対値 」なので、両方の を求めて合わせる。和は、初項が 0 のときと、そうでないときに分ける。
- 初項が 0 になるのは 。このときすべての項が 0 なので収束し、和は 0
- 公比の条件は 。絶対値をはずして、
- 各辺から 1 をひいて、
- 各辺に をかけると不等号の向きが変わり、
- 手順 1 と手順 4 を合わせて、収束する範囲は
- のときの和は、
ここで間違えやすい 2 か所ある。公比の条件だけで と答えると、 が抜ける( のとき公比は 1 だが、初項が 0 なので収束する)。また、和を「1」とだけ答えると、 のときの和 0 が抜ける。
問 4 無限級数 の和を求めよ。
方針 項を 2 つの分数に分けると、それぞれが等比数列の項になる。2 つの無限等比級数がどちらも収束することを確かめれば、和を別々に求めてたせる。
- 項を分ける。
- は、初項 、公比 の無限等比級数。公比の絶対値が 1 より小さいので収束し、和は
- は、初項 、公比 の無限等比級数。これも収束し、和は
- どちらも収束するので、和は別々に求めてたしてよい。
ここで間違えやすい 初項を 1 としない。 は 1 から始まるので、初項は を入れた と 。初項を 1 とすると、2 つの和が と 2 になり、合計が になってしまう。
問 5 1 辺の長さが 2 の正方形 がある。 の各辺の中点を結んで正方形 を作り、 の各辺の中点を結んで正方形 を作る。これを限りなく続けるとき、(1) すべての正方形の面積の総和 (2) すべての正方形の周の長さの総和 を求めよ。
(1) 8 (2)
方針 となり合う正方形 と の 1 辺の長さの比(相似比)を求める。正方形はすべて相似なので、周の長さは相似比を公比とする等比数列に、面積は相似比の 2 乗を公比とする等比数列になる。
- の 1 辺の長さを とする。 の 1 辺は、 のかどにできる直角二等辺三角形(直角をはさむ辺が )の斜辺にあたる
- 直角二等辺三角形の斜辺は、直角をはさむ辺の 倍なので、。相似比は
- (1) 面積の公比は、相似比の 2 乗で 。初項は の面積 4
- 公比の絶対値が 1 より小さいので収束し、面積の総和は
- (2) 周の長さの公比は、相似比と同じ 。初項は の周の長さ 8
- は約 0.71 で、絶対値が 1 より小さいので収束する。総和は
- 分母は なので、総和は
- 分母と分子に をかけて有理化する。分母は になるので、総和は
問 6 座標平面上で、点 P が原点を出発し、 軸の正の向きに 1、次に 軸の正の向きに 、次に 軸の負の向きに 、次に 軸の負の向きに 進む。以下同じように、向きを右、上、左、下の順にくり返しながら、進む長さを毎回 倍にして進み続ける。点 P が限りなく近づく点の座標を求めよ。
方針 座標と 座標を別々に考える。 座標が変わるのは 1 回目、3 回目、5 回目……の移動で、向きが交互に変わる。 座標も同じ。それぞれが無限等比級数になるので、公比を求めて和を出す。
- 座標の変化を順に並べる。
- これは初項 1、公比 の等比数列(長さは 2 回ぶんで 倍、向きは逆になる)
- 公比の絶対値が 1 より小さいので収束する。和は
- 座標の変化を順に並べる。
- これは初項 、公比 の等比数列で、同じく収束する。和は
- よって、点 P は点 に限りなく近づく
ここで間違えやすい 公比を や としない。 座標だけを取り出すと、移動は 1 つとばしなので長さは 倍、しかも向きが逆なので、公比は 。